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介護事業者の倒産が過去最多!迫る報酬改定と介護事業を安定させる人材活用術

「医療・福祉事業の倒産状況(2018年1月/東京商工リサーチ)で発表されたデータは、医療・福祉事業の倒産件数が最多となったというショッキングなものになっています。
報酬改定を控える今、介護事業者は果たしてどのような運営を行っていけば良いのでしょうか?

介護事業者の倒産状況は?

2018年1月、東京商工リサーチが発表したデータでは「医療,福祉事業」の倒産は249件とされ、そのなかでも「老人福祉・介護事業」が最も多く111件となっています。
ちなみに2016年「老人福祉・介護事業」の倒産件数は108件となっており、昨年においても調査開始以降、最多を記録したと話題になっていました。

2017年に倒産した「医療,福祉事業」の内訳では、負債総額1億円に満たない小規模倒産が8割以上を占めているのが分かります。
このなかから「老人福祉・介護事業」に絞って倒産の原因をみてみると、トップが「業績不振」で51件となっています。
ただしこの業績不振については、前年比で26%と18件減っています。
目立っているのが「事業上の失敗」で26件。
事業上の失敗については、前年比で44.4%、8件の増加となっています。
前回の介護報酬改定では、基本報酬が引き下げられた介護サービスがあり、さらに介護人材の不足、介護サービス事業所の増加などが倒産の背景にあると考えられます。
また、この老人福祉・介護事業の倒産原因について東京商工リサーチでは、
「高齢化が進んでいるとはいえ安易に介護事業を起業して失敗したケースや、本業が不振で介護事業に参入したが、思惑どおりに業績を上げることができないケースが目立っている」と分析しています。
つまり、事前準備や事業計画の甘さが、倒産原因につながったと指摘しているのです。

報酬改定で打撃を受ける事業所はヘルパーとデイサービス!?

さて、2018(平成30)年度の介護報酬改定が近づいてきております。
2017年12月18日、政府は今回の介護報酬改定の引き上げ幅を0.54%とする方針を固めました。
介護報酬の単価については、1月下旬ごろに発表される見通しとなっています。
介護報酬改定の議論が進められている「社会保障審議会介護給付費分科会」の資料を見ていきますと、報酬の算定はなかなか厳しくなるのではないかと予想できます。
厚生労働省が公開している2018(平成30)年度介護報酬改定に関する審議報告の概要のなかには、「自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現」という項目が掲げられています。
これは、今後さらに膨らみ続ける介護費用を抑えるために、利用者の心身機能の現状維持、もしくは向上につながるサービスを提供した事業所を積極的に評価するというものです。
「自立支援型の介護保険サービス」とは、主にリハビリテーションなどによる心身機能維持を評価対象としています。
訪問介護での生活援助や預かり型の通所介護においては、自立支援として評価されずに基本報酬見直しの対象となっています。

ヘルパーの生活援助や、大規模預かり型デイサービスが自立支援の機能を果たしていないという認識については多くの異論もあります。
ただ今後、健康保険における介護報酬も含めて考えると、介護予防につながるもの(リハビリテーションなど)と、直接的には自立支援につながらないもの(生活援助など)の基本報酬については、議論が進んでいくものと推測されます。
つまり今後の事業所運営は、介護報酬の流れを踏まえて行わないと、介護報酬が減らされ、たちまち事業所運営ができなくなる可能性があるのです。

倒産原因から考える介護事業所運営とは

冒頭でもお伝えしましたが、東京商工リサーチでは介護サービス事業所の倒産原因を、事業計画の甘さであると指摘しています。
特に小・零細規模の事業者にこの傾向があるとも指摘しています。
その背景に、介護報酬改定の影響が少なからずあるのは間違いありませんが、そのほかにも考えられる原因として、介護業界の人材不足が挙げられるでしょう。
たとえば訪問介護の場合、サービス提供責任者の配置人数によって、利用者の数も決まります。
利用者の数が40またはその端数を増すごとに、1人以上の常勤ヘルパーをサービス提供責任者として配置しなければなりません。

またこのサービス提供責任者は、実務者研修または介護福祉士の資格取得者に限られています。
小規模の事業所において、常勤のベテランヘルパーを1人雇用するのは相当大変なことです。
雇用をするためにだす求人広告も、かけられる費用は限られていますし、給料や福利厚生といった雇用条件を、大規模事業所と同じように提示することは難しいからです。
もちろん日常的にヘルパーとして活動する職員も確保しなければなりません。
さらに2018(平成30)年度の介護報酬改定では、新たな介護資格を創設して、生活援助専門のヘルパーを要請する方向で審議されています。

現在ヘルパーの資格は「130時間以上の介護職員初任者研修を修了した者」とされています。
新たな介護資格についてはまだ詳細が決定していませんが、数十時間の研修で取得できるよう審議されています。
生活援助の介護報酬についても見直しが進み、ヘルパーに対する賃金を下げざるを得ない事業所もでてくるでしょう。
とはいえ、加算を取得して報酬を上げるということも、小規模の事業所ではかなりハードルが高いのが現状です。
このような厳しい状況のなかでも、介護人材を獲得していくにはどうすれば良いのか?といった対策方法は、明確にしておく必要があります。
もしも、きちんとした計画を立てずに介護サービス運営を続けていこうとすれば、事業所運営に大きな影を落とすことは間違いありません。
実際、大規模の法人においても、新たな介護サービス事業所の展開については、介護人材が不足しているという理由で躊躇しているところが多くあります。

今後も増加の一途をたどる高齢化社会のなかで、介護サービスを必要とする方も増えていくでしょう。
そうした「介護ニーズ」に応えていくには、なにより多くの人の手が必要です。
そして、その手を集め、規模を大きくして1人の利用者あたりのコストを下げることで、報酬改定によるダメージを最小限にし、事業所運営を安定させるための命綱となるのです。

まとめ

介護保険がこのままの状態で進んでいくのならば、今年度の倒産件数は昨年よりも増える可能性があります。新規事業者も増えてきているなか、設立前の綿密な調査が不可欠なのです。
厚生労働省でも人材確保対策として「雇用管理改善促進事業」を行っています。

多くの介護サービス事業所は、新たな人材、優秀な介護人材を獲得することは難しいとして、職員の採用や定着に関する取り組みに力を入れています。
厚生労働省においても、介護人材確保には「採用管理」「定着管理」が大事であるとして、さまざまな情報発信を行っています。

介護報酬改定の影響は小さくはありません。
また、今後も医療・介護分野の支出は減らされていくでしょう。
まずは介護人材の確保・育成についてしっかりとした計画を立てておくことが必要です。

参考:
時事通信 介護報酬0.54%引き上げ=18年度改定、経営に配慮-政府(2018年1月10日アクセス)
厚生労働省 2018(平成30)年度介護報酬改定に関する審議報告の概要(2018年1月10日アクセス)
厚生労働省 第156回社会保障審議会介護給付費分科会資料 2018(平成30)年度介護報酬改定に関する審議報告(案)(2018年1月10日アクセス)
厚生労働省 介護労働者の雇用(2018年1月10日アクセス)
厚生労働省 雇用管理改善促進事業 人材確保に「効く」事例集(2018年1月10日アクセス)
東京商工リサーチ 【2017年(1-12月)】「医療,福祉事業」の倒産状況(2017年12月29日現在)(2018年1月10日アクセス)
東京商工リサーチ 【2016年(1-12月)】「医療,福祉事業」の倒産状況(2018年1月10日アクセス)

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