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ルール化された混合介護をわかりやすく説明!訪問介護でのメリット

介護保険サービスだけでは高齢者のニーズに応えられない分野が多数あるため、混合介護が認められています。
しかし混合介護の扱い方がはっきりせず、自治体や事業所で異なる解釈などがあったため、2018年に厚労省より混合介護サービスの明確な指針が通達されました。
ここでは、訪問介護の混合介護をわかりやすくご紹介します。

金剛界後では大掃除も提供可能

混合介護サービスをわかりやすく説明

●混合介護とは?

介護保険では草取りやペットの世話、家族の居住部分の掃除や食事作りなどができません。
しかし、高齢者は体の機能低下のために、自分の食事作りや掃除すらできない状況です。
そのため厚生労働省は、高齢者が在宅で生活しやすいように、「介護保険のサービス」と「介護保険でできないサービス」を組み合わせて提供できるように「混合介護」を打ち出しました。
混合介護では、利用者がより必要としているサービスを行えるようになりましたが、利用料金は「介護保険サービス」の自己負担が1割(あるいは2割)に対して、「介護保険でできないサービス」は全額自己負担なので、経済的に余裕がある人とない人ではサービスに格差が出ると懸念されています。
「介護保険でできないサービス」を介護保険外サービスといいます。

●訪問介護の介護保険のサービスと介護保険外サービスの内容

介護保険サービス 介護保険外サービス
サービス内容 生活援助
  • ・本人の居住部分の掃除
  • ・本人の洗濯
  • ・本人の調理
  • ・本人の衣類の整理など
  • ・買い物代行
  • ・薬の受取
  • ・家族全員の居住部分の掃除や洗濯・布団 干しなど
  • ・家族全員の調理
  • ・家族全員の衣類の整理や衣類の補修
  • ・ペットの世話や犬の散歩
  • ・草取り
  • ・大掃除・窓ふき・ワックスがけなど
  • ・墓参りや散歩などの外出介助
  • ・車の洗車
  • ・正月料理などの特別な調理
  • ・病院の院内介助
  • ・散髪など
身体介護
  • ・排泄介助
  • ・食事介助
  • ・入浴介助
  • ・外出介助(買物同行など)
  • ・更衣介助

混合介護は、上記の介護保険と介護保険外のサービスをミックスして提供します。
たとえば、生活援助で45分間利用者の居住部分の掃除を行い、その後1時間介護保険外で窓ふきやベランダの掃除などを提供することができます。

訪問介護における混合介護のあり方

訪問介護における混合介護のあり方

従来の混合介護を利用する場合は、利用者にとって使いにくいことや、ルールが明確化されていないため自治体ごとに内容が異なっているという課題がありました。
そのため、訪問介護事業所では次のような方法がとられていました。

  • ○職員は介護保険と介護保険外の各サービスで違うネームプレートをつける
  • ○訪問介護を提供した後、事業所に戻ってから、再度訪問して保険外サービスを行う
  • ○介護保険サービスと介護保険外サービスを提供する介護職員を別にする

そのような背景から、2018年に混合介護が明確化され、介護保険サービスの前後や中途に介護保険外サービスを提供することができるようになりました。
ただし、混合介護では両サービスを明確に区分することを指針として示しています。

●混合介護を利用者本人に提供する場合

  1. 1)草取りやペットの世話などを、訪問介護サービスの最初か最後に提供するか、訪問介護サービスの合間で提供する。
  2. 2)買物同行などの外出介助サービスを提供後、そのまま介護保険外サービスで墓参りや博物館などに同行する。
  3. 3)自宅から病院へ通院等乗降介助(受診の手続きまで行う)し、保険外サービスの院内介助を行う。
  4. その後病院から自宅まで通院乗降介助をする。

●同居家族に混合介護サービスを提供する場合

  1. 1)介護保険外サービスでの家族の部屋の掃除や買い物、調理などの提供は、利用者の訪問 介護サービスの提供時間の前後あるいは合間に行うことができる。

※ただし、2018年の混合介護の通知では、訪問介護の家事援助での本人の食事作りと介護保険外サービスでの家族の調理を一緒に行うことは認められませんでした。

訪問介護事業者にとって混合介護はメリットがあるのか

混合介護サービスの明確化により、保険外サービスを提供する事業所は増えてきました。
では、混合介護は訪問介護事業者にメリットがあるのかをみてみましょう。

●混合介護のメリット

混合介護のメリット

  1. 1)通院等乗降介助サービスと、保険外での院内介助のニーズに応えられる
  2. 2)介護保険で認められていないことを介護保険外サービスで提供できる
  3. 3)年末の大掃除や墓参りなど、一時的なニーズに応えられる
  4. 4)混合介護を実施している事業者には、ケアマネジャーから仕事の依頼が増えると期待できる
  5. 5)保険外サービスで収益が上がると期待できる

メリットの反面、事業者が収益のために不必要なサービスを提供する可能性があるという意見もあります。
また、介護保険外ではプロ並みの食事作りを求められたり、大変な大掃除を求められたりなど、ヘルパーの負担が増える可能性も考えられます。

訪問介護で利用者の状況に応じた混合介護を提供しよう

混合介護の明確化により、利用者のニーズにマッチしたサービスを提供しやすくなり、本人や家族の負担を軽減できるようになりました。
今後、混合介護を行う事業者が増えれば、より質が高く安価なサービスを行う事業所が出てくるでしょう。
混合介護では利用者の状況を十分に把握して、どこまでサービスするかといった見極めも必要となるでしょう。

あわせて読みたい:
訪問介護の課題。それはホームヘルパーとご利用者の適切な関係づくり。最新現場の取り組み
医療行為の「できる」「できない」訪問介護と訪問看護の違いと、医療行為ではないサービス11種

参考:
介護保険最新情報vol.678.
https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2018/0928174308379/ksvol678.pdf(2019年8月22日引用)
未来投資会議構造改革徹底推進会合「健康・医療・介護」会合第5回
予防や健康増進に資する保険外サービスの活性化.

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/suishinkaigo2018/health/dai5/siryou7.pdf(2019年8月22日引用)

関連情報:
リハビリ・介護施設の施設基準や診療報酬・介護報酬(2023年4月30日引用)

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