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介護支援専門員研修を『eラーニング』で~研修負担の軽減に向けて

研修負担の軽減のために、介護支援専門員研修にeラーニングを導入している都道府県があります。
今後eラーニングは各都道府県にも広がる可能性がありますが、業務負担の軽減につながるかどうかは各事業所においても理解しておかねばなりません。
ここではeラーニングをメリット・デメリットとともにご紹介していきます。

ケアマネの介護支援専門員研修 eラーニングは増えてくる

介護支援専門員研修の『eラーニング』で~取り組み状況

介護支援専門員研修の『eラーニング』で~取り組み状況

介護支援専門員は業務負担がとても大きいことに加えて、受講しなければならない研修もあり、負担軽減の必要性について厚生労働省においても議論されています。

●介護支援専門員研修の現状

研修過程 研修時間
介護支援専門員実務研修 87時間以上
介護支援専門員専門研修Ⅰ 56時間以上
介護支援専門員専門研修Ⅱ 32時間以上
主任介護支援専門員研修 70時間以上

介護支援専門員が受講しなければならない研修の現状についてまとめてみました。
「実務者研修」とは、ケアマネジャー試験に合格した人が受講する研修で、この研修を受講しなければケアマネジャーとして活動することができません。
87時間ありますから、一日8時間の研修を受講したとしても、おおむね11日間の研修受講が必要となります。
「専門研修Ⅰ・Ⅱ」については、ケアマネジャーの実務者が3年以内に受講しなければならない研修で、あわせて88時間の研修時間となります。
これも一日8時間として11日間の研修期間となります。
「主任介護支援専門員研修」については、今後の管理者要件の厳格化に伴い、受講の推進が必要となります。
70時間の研修が必要で、一日8時間の研修として6~7日の研修期間となります。
いずれにおいても研修受講がかなり厳しいものであるのは間違いありません。

●介護支援専門員研修はなぜ必要なのか

そもそも介護支援専門員研修がなぜ必要なのかというと、ケアマネジャーの質を担保する目的があるからです。
数年前、厚生労働省の社会保障審議会において「ケアマネジャー不要論」が持ち上がりましたが、これは「御用聞き」と呼ばれる質の低いケアマネジャーに対するものです。
日本介護支援専門員会においては「国家資格化」を推進しており、その実現のためにはケアマネジャーの質の向上は必須であるといえます。
そのため今後も研修内容については、厳しく目を向けられることとなります。
ただし前述する通り、負担感が増していることが問題となっています。

●介護支援専門員研修に取り入れられている『eラーニング』の現状

『eラーニング』研修ができる都道府県 研修内容
北海道介護支援専門員会 ・介護支援専門員実務研修
 ※前期約30時間、後期約13時間
・介護支援専門員専門研修Ⅰ
 ※21時間15分
・介護支援専門員専門研修Ⅱ
 ※20時間05分
・介護支援専門員更新研修
 ※前期21時間15分、後期20時間05分
島根県介護支援専門員会 ・介護支援専門員実務研修
 ※前期約19時間、後期約12時間

介護支援専門員研修には上記の通り、一部の地域でeラーニングが取り入れられています。
北海道介護支援専門員会においては、「介護支援専門員実務研修」「介護支援専門員専門研修Ⅰ」「介護支援専門員専門研修Ⅱ」「介護支援専門員更新研修」で一部の研修をeラーニング受講が可能となっています。
たとえば「介護支援専門員実務研修」においては前期約30時間、後期約13時間がeラーニングに充てられています。
また島根県においても、一部の研修をeラーニング受講が可能となっています。
「介護支援専門員実務研修」においては前期約19時間、後期約12時間がeラーニングに充てられています。
今後さらにeラーニングの需要は高まってくることは間違いありません。

『eラーニング』のメリット・デメリット

『eラーニング』のメリット・デメリット

厚生労働省においても推奨するeラーニングですが、大きなメリットはあるものの、その反面デメリットがあることも把握しておきましょう。

まずはその両面を理解しておくことが大事です。

●『eラーニング』のメリット

  1. 1)好きな時間に研修受講が可能
  2. 2)業務内や休暇を活用して受講することができる
  3. 3)研修内容が統一化されている

eラーニングはこれらのメリットがあると考えられています。
特に大きなメリットは、受講しなければならないケアマネジャー自身が好きな時間に受講することができるという点です。
都合が悪い時間や日程を避けて受講できますから、大きな負担感の軽減につながります。
居宅介護支援事業所によっては、業務内に研修受講を優先することができますし、休暇を認めるようなところもあります。
eラーニングの研修内容は統一化されていますので、講師によって内容が異なることはありません。
eラーニングの後には集合研修が用意されており、そのまま事例検討などに生かすことができますので、研修効果は期待できるものとなるでしょう。

●『eラーニング』のデメリット

  1. 1)eラーニングでの受講時間が必要になる
  2. 2)プライベートの時間を活用しなければならない可能性がある
  3. 3)すべてeラーニングで受講できない

eラーニングといっても、研修を受講する時間に代わりはありませんから、どうしても研修に対する負担は生まれてしまいます。
さらに自分自身のプライベートの時間を活用しなければならない居宅介護支援事業所も存在するので、その場合には大きな負担となってしまいます。
またすべての研修時間をeラーニングで受講できる訳ではありません。
事例検討など主要な部分については、集合研修に参加しなければなりません。

『eラーニング』で負担軽減のために各事業所が取り組める点

『eラーニング』で負担軽減のために各事業所が取り組める点

eラーニングはケアマネジャーの負担軽減だけではなく、スキルアップにもつながる可能性のある研修方法であるといえます。
ただし研修受講する各居宅介護支援事業所においても現状の問題点にしっかりと向き合い、改善しなければ、結局はケアマネジャーの負担が増えてしまう可能性があります。

●『eラーニング』受講負担にも軽減策を考える

居宅介護支援事業所などにおいては、eラーニングの受講時間についても負担軽減策を考えておかねばなりません。
一定の休暇を認めることや業務時間内での受講、手当などに取り組むことも、負担軽減につながる一つの手段になります。
eラーニングは研修会場に足を運ばなくてもいいというメリットはありますが、パソコン上で研修を受講する必要があります。
パソコンなどで各自の学習をするというスタイルですから、プライベートの時間を活用しなければならないことが懸念されます。
たとえば北海道での介護支援専門員研修においては、実務研修で前期約30時間、後期約13時間、更新研修では前期21時間15分、後期20時間05分の受講が必要となります。
これらの時間を業務時間外で、自身の時間を活用して受講するということは、各ケアマネジャーにとっては大きな負担となってしまいます。

●『eラーニング』が負担軽減につながればスキルアップに

eラーニングでの受講がケアマネジャーの負担軽減になれば、しっかりと学習が進められますのでスキルアップにつながります。
介護支援専門員研修であれば、これから実務に就くなかでのスキルを身に付けることができます。
また主任介護支援専門員研修であれば、今後管理者として業務を担うために重要な研修となります。
いずれも受講に打ち込める環境を整えることによって、受講する人のモチベーションアップになるので、離職対策にもつながるといえるのではないでしょうか。

●自治体で行われている福祉人材育成支援助成事業などを活用する

自治体によっては、介護支援専門員専門研修や主任介護支援専門員研修などの、福祉人材育成に関わる研修に対して助成事業を行っています。
研修での費用負担が重いという居宅介護支援事業所であれば、これらの助成事業を大いに活用するようにしましょう。
たとえば名古屋市においては、福祉人材育成支援として事業所が負担した研修受講費用の4分の3、最大20万円まで助成しています。
まずは各自治体で、このような助成事業が行われていないか確認するようにしてください。

『eラーニング』での受講を負担軽減とするために

介護支援専門員研修の一部をeラーニングで受講できるようになってきました。
厚生労働省社会保障審議会においても、eラーニングの推進について検討されています。
ただしeラーニングでの受講であっても、研修時間に変わりはありませんので、受講するケアマネジャーの負担にならないように対策を講じることが大切なのです。

参考:
厚生労働省 主任介護支援専門員研修ガイドライン.(2020年1月27日引用)
北海道介護支援専門員協会 令和元年度 北海道介護支援専門員実務研修 募集要領.(2020年1月27日引用)
2019(平成31)年度 北海道介護支援専門員 更新研修(実務経験者)募集要領.(2020年1月27日引用)
2019(平成31)年度 北海道介護支援専門員 専門研修ⅠⅡ募集要領.(2020年1月27日引用)
島根県 2019(令和元)年度 介護支援専門員実務研修 開催要項.(2020年1月27日引用)

  • 執筆者

    井上 歳行

  • 特別養護老人ホーム責任者、居宅介護支援事業所の管理者を経て、介護コンサルタントを行っております。
    保有資格等:介護コンサルタント、主任介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

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