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ケアプラン「軽微な変更」の考え方~介護報酬返還にならないための注意点を専門家が解説します

ケアプランの「軽微な変更」の解釈について、理解していないケアマネジャーが見受けられます。
間違った判断が行政に指摘され、介護報酬を返還しなければならないといった事例がありますから注意が必要です。
ここではケアプラン「軽微な変更」の考え方についてご紹介していきます。

ケアプランの軽微な変更とは?その考え方

ケアプランの「軽微な変更」の解釈には注意が必要

ケアプランの「軽微な変更」の解釈には注意が必要

居宅サービス計画(ケアプラン)において「軽微な変更」が考えられる場合、サービス担当者会議の開催が義務付けされず、ケアプランの作成においても見え消しで対応することができます。
ただしこの「軽微な変更」がどのような状況に当てはまるのかについては、しっかりと確認しておく必要があります。
「軽微な変更」だと勘違いしてサービス担当者会議を開催しなかった場合、運営基準減算だけではなく、特定事業所加算がすべて返還になる可能性があります。
その場合には、かなり大きな金額を返還しなければならない場合があり、事業所運営ができなくなるほどの致命的なものになることもあります。
ここでは「運営基準減算」と「特定事業所加算の介護報酬減算」の内容についてお伝えしていきます。

●運営基準減算による介護報酬返還のリスク

「軽微な変更」だと勘違いして担当者会議を行わなかった場合には、運営基準減算により該当する状態から解消された前月まで減算となってしまいます。
運営基準減算では、所定単位数の50/100に減算されることになっています。
また違反している状態が2カ月以上継続している場合には、減算ではなく算定できなくなってしまいます。
法人全体で解釈が間違っているような場合では、最初の運営基準違反から間違った解釈のまま居宅介護サービス計画が実施されている可能性もあります。
その場合、運営基準が継続して算定できなくなるリスクがありますから注意が必要です。

●特定事業所加算の全額返還のリスク

居宅介護支援事業所にはⅠ~Ⅳまでの4種類の特定事業所加算が存在しますが、「運営基準減算」になるとこれらすべてが加算できなくなります。
特定事業所加算の算定要件として、「運営基準減算または特定事業所集中減算の適用なし」という項目があるからです。
居宅介護支援事業所はⅠ~Ⅲまでがケアの質を評価して算定でき、ⅣについてはⅠ~Ⅲを算定している事業所が退院・退所加算の算定や医療連携を評価して加算することができます。
ちなみに単位数は、特定事業所加算Ⅰでは月500単位、Ⅱでは400単位、Ⅲでは300単位となっていますから、これらが全額返還となってしまうとかなりの金額になることが想像できます。

「軽微な変更」と考えられない例

ケアプランの「軽微な変更」は後述しますが、「サービス提供の曜日変更」や「回数変更」「利用者の住所変更」など、9つの項目としてまとめられています。
冒頭からお伝えしている通り「軽微な変更」に該当する場合は、サービス担当者会議を省略することが可能になります。
しかし「軽微な変更」だと間違って解釈してしまい、実はサービス担当者会議が必要であったと指摘されている例が数多く見受けられます。
実際にどのような事例があったのかご紹介していきましょう。

●目標期間の延長での間違った判断

ケアプランにおいて「目標期間の延長」は、「軽微な変更」として認められています。
「目標期間の延長」とはケアプランの目標に変更がなく、単にサービス実施期間を延長するような場合を指しています。
しかしケアプランの更新時に何度も同じ短期目標を更新しているような場合には、「目標達成することができないプラン」と判断されてしまうことがあります。
目標達成できないと判断するのであれば、当然ながら別の目標に設定変更することが必要です。
目標を変更すれば、サービス担当者会議を開催しなければならないのです。
特に短期目標の更新は、多くのケアプランに見受けられます。
どのくらいの頻度で目標を変更しなければならないといった明確な基準はありませんが、一連のケアマネジメントの手順によって判断しなければなりません。

●目標を達成するためのサービス内容の変更での間違った判断

ケアプランにおいて「目標を達成するためのサービス内容の変更」は、「軽微な変更」として認められています。
しかし家事支援の調理が掃除や洗濯などへ変更になる場合においては、目標が変更になることがあり、目標変更するのであればサービス担当者会議が必要となります。
一連のケアマネジメントの手順が必要であると判断できるからです。
「軽微な変更」だと解釈できる例としては、栄養改善の支援が必要な利用者に対し調理を提供していて、弁当の買出しに変更したようなケースです。
この場合であれば、目標設定に変更がないためサービス担当者会議は必要ありません。

●継続的なサービス提供時間の変更

ケアプランにおいて「一時的なサービス提供日や時間、曜日の変更」は、「軽微な変更」として認められています。
しかし認められているのがあくまで「一時的」であり、もともと水曜日のサービスを木曜日に変更し、継続的に木曜日になったというケアプランであれば「一時的」ではなく「計画的」だと判断されます。
「軽微な変更」だと解釈できる例としては、毎週水曜日に利用していたデイサービスが、来週だけ用事があって木曜日に変更になるような場合です。
あるいは訪問介護において、利用者の時間の都合によって明日の支援時間が13時から14時に変更になるような場合も、同様に考えることができます。

●担当ケアマネジャーには変更がないものの居宅介護支援事業所が変更になる場合

ケアプランにおいて「担当ケアマネジャーの変更」は、「軽微な変更」として認められています。
ただし居宅介護支援事業所の変更は、軽微な変更には該当しません。
この場合、居宅介護支援事業所の変更のみでケアプラン内容には全く変更がないために、サービス担当者会議の必要性がないと勘違いしてしまいがちです。
あくまで同一法人内での担当ケアマネジャーの変更が「軽微な変更」に該当するのだと理解しておかねばなりません。

「軽微な変更」と考えられる例と取り扱い

「軽微な変更」と考えられる例と取り扱い

  1. 1.臨時的、一時的なサービス提供日、時間帯、曜日の変更
  2. 2.同一事業所における週1回程度のサービス利用回数の増減
  3. 3.利用者の住所の変更
  4. 4.単なる事業所の名称の変更
  5. 5.単なる目標設定期間の延長
  6. 6.福祉用具の同一種目における機能の変化を伴わない用具の変更
  7. 7.目標及びサービスの変更を伴わない(利用者の状況以外の原因による)単なる事業所の変更
  8. 8.目標を達成するためのサービスの内容のみが変わる場合
  9. 9.担当介護支援専門員の変更

「軽微な変更」として認められているのはこの9項目です。

●「軽微な変更」と考えられる例

「軽微な変更」の解釈が間違われるものの例として、「6.福祉用具の同一種目における機能の変化を伴わない用具の変更」があります。
たとえば使用している杖を別のものに変更した場合、機能には変化がなく、目標設定にも変更がないのであれば、軽微な変更として認められます。

●「軽微な変更」でサービス担当者会議を開催しない場合の取り扱い

「軽微な変更」に該当する場合で、サービス担当者会議を開催しない場合においては、その理由をはっきりわかるように記載しておく必要があります。
ケアプランで該当となっている部分を見え消しで変更し、第1表などにもその理由を記載しておかねばなりません。
さらに支援記録などにも詳細に理由を記載しておき、利用者などにサービス担当者会議を開催しない同意を得ておくことも必要です。
この取り扱いを間違っていることが多く、実施指導で指摘されている事例も見受けられるので注意しておくようにしましょう。

ケアプラン「軽微な変更」の解釈ミスで介護報酬返還にならないために

冒頭からお伝えしている通り、「軽微な変更」の解釈ミスによってサービス担当者会議を開催しない場合、運営基準減算、特定事業所加算の返還となり、事業所運営にとって致命的なものになりかねません。
「軽微な変更」に当てはまるのか悩ましい場合には、基本的にサービス担当者会議を開催するようにしておきましょう。
また解釈については行政に確認することがもっとも適切な対応です。

今一度、解釈方法については研修などでも周知しておくようにしましょう。

参考:
厚生労働省 居宅介護支援における加算等の概要.(2020年2月17日引用)
新宿区 集団指導 ケアプランの軽微な変更.(2020年2月17日引用)

  • 執筆者

    井上 歳行

  • 特別養護老人ホーム責任者、居宅介護支援事業所の管理者を経て、介護コンサルタントを行っております。

    保有資格等:介護コンサルタント、主任介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

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