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ケアプランで保険外サービスを位置づけするには~自立支援に必要な混合介護の現行ルール

高齢者の自立支援のためにケアプランには介護保険サービスだけではなく、保険外サービスも積極的に組み合わせることが求められています。
ただしこの混合介護は、基準が不明確な部分もありました。
ケアプランでどのように適切に位置づけていけばいいのか、現在のルールも示しながら解説していきます。

混合介護 介護保険サービスと保険外サービス

混合介護のケアプラン上での現行ルールとその概要

  1. 1)「介護保険サービス」と「保険外サービス」を明確に区分する
  2. 2)利用者や家族などに対し、サービス内容等を説明し同意を得る

厚生労働省が定めている混合介護のケアプランでの現行ルールは上記の通りです。
混合介護とは、介護保険サービスでは認められないサービスを補うために、保険外サービスと組み合わせながら多様なニーズに応えられるようにするというものです。
たとえばホームヘルプでの家事援助において、利用者が利用している部屋の掃除に加えて、普段は利用者が使用していない部屋の掃除を「連続」して行うといった場合です。
このような場合、利用者の部屋ではない掃除は介護保険サービスとしては認められていませんので、保険外サービスでの扱いとなります。
しかし「同時・一体化」の提供は利用不可となっており、どのような状況が認められるのか認められないのか判断することが難しかったのです。

●混合介護での問題点~自治体によって判断に差が

混合介護は多様なニーズに応えるために、必要なサービスとして厚生労働省も積極的にケアプランに位置づけるように求めています。
しかし今までは認めていない自治体も少なくありませんでした。
これは厚生労働省が推奨しているものの、明確なルールを示してこなかったために、自治体の判断にも大きな差があったのです。
たとえば部屋の掃除に続いて、利用者が使用しない部屋の掃除をする場合でも、認められないと判断する自治体と、認められると判断する自治体に分かれていました。
そのため混合介護そのものを認めないという自治体まであったのです。
しかしこれではニーズに応えられているとはいえなかったために、ルールを明確化することになりました。

●混合介護の弾力化~国によるルールの明確化

厚生労働省は2018年9月に通知を出し、『弾力化』と呼ばれるルールの明確化を行いました。
それまでもケアプラン上での位置づけは国のルールにおいて認められていたものの、自治体によって解釈に差があり、まったく認めていない自治体も存在したからです。
ただしこのルールの明確化においても「同時・一体化」は認められておらず、あくまで「連続」して提供しなければならないといったものでした。
たとえば利用者と家族の調理を同時に行う場合には、一体化されているサービスだといえます。
利用者の部屋の掃除の後に利用者以外の部屋掃除をすることは、連続されているサービスだと判断されます。
しかしそれでも利用者からは理解が得られることは難しく、この説明をケアマネジャーが行うのも難しいといった声が多く上がるようになりました。
そこでモデル事業として豊島区がこれらを解消するための取り組みを行うことになったのです。

豊島区が取り組む混合介護のモデル事業「選択的介護」の特徴

混合介護はケアマネジャーをはじめ現場の介護保険サービス事業者にとって、必要不可欠なサービスであると考えられてきました。
しかしそのような背景がありながらも、厚生労働省が明確なルールづくりをしてこなかったのは利用者に不利益になることや家族からの要望が中心になることを懸念してきたからです。
ただ自治体によって混合介護の取り扱いに差があり、「不可」とする自治体まで存在していたことから弾力化が図られるようになりました。
このモデル事業は「選択的介護」と呼ばれ、利用者にとって明確に選択できるようになっているのが特徴的です。
今後はこのモデルに沿ったルールが新たにつくられるものだと考えられます。
そのためここではどのような内容なのか事例を紹介していきます。

●豊島区でのモデル事業~混合介護「選択的介護」の特徴

混合介護は介護保険内と保険外でのサービスに分けられますから、利用者にとって理解しにくいサービスだといえます。
そのため高齢の利用者でも理解しやすいようにパンフレットを作成し、ケアマネジャーも説明しやすいサービスにしています。
パンフレットに活用方法が掲載されていることから、かなり柔軟に利用できるようになっています。
たとえば調理援助を実施し、その後ヘルパーさんと話をしながら一緒に食事を食べるといったサービスが可能となっています。
介護保険での要望が高い「話し相手」が、自立支援としてケアプランに位置づけされるということになります。

●ケアプラン記載のルール化

保険外サービスにおいても契約を義務付け、ケアプランへの記載が必須となっていることが特徴的です。
ケアプランに位置づけされるようになれば、本人への自立支援による目的が明確になります。
そのため家族からの要望でサービスするようなことをなくすことができます。
自立支援目的としてかなり柔軟に取り扱いをすることができます。
たとえば着替えの援助を行い、散歩にでかけたり、趣味にでかけるようなことが可能です。
今後このモデルを中心に新たな混合介護のルールが策定されることになると考えられます。
そのため自立支援に基づいてケアプランに位置づけることを、今からでも意識して取り組んでおくようにしなければなりません。

混合介護のケアプランでの位置づけの方法

厚生労働省からの通知によってルールが明確化され弾力化されたために、これまで取り組みができなかった自治体においても積極的に取り組めるようになりました。
現状としては、「同時・一体化」は取り組みができない状況にあります。
これは利用者にとって不利なサービスとなることや、自立支援には関係のないサービスが位置づけられてしまう可能性があるからです。
ただしケアプランにおいて必要なサービスであると位置づけすれば、積極的に利用が推奨されています。
より取り組みやすくなった混合介護について、ケアプランにどのように位置づけしていけばいいのかお伝えします。

●介護保険サービスと「連続」して保険外サービスを位置づける

厚生労働省から示されているルールとしては次の2点です。

  1. 1)「介護保険サービス」と「保険外サービス」を明確に区分する
  2. 2)利用者や家族などに対し、サービス内容等を説明し同意を得る

1点目についてはサービスが連続になっていればよいということですから、ホームヘルプの提供を中断して保険外サービスを提供し、さらにホームヘルプを提供するようなことが可能です。
あくまで自立支援の観点であることが前提にはなりますが、たとえばヘルパーが洗濯した後に話し相手になることや見守りをするようなことも考えられるでしょう。
2点目については、サービス内容についてしっかりと説明を行い、ケアプランにサービスを位置づけておくことが必要になります。
ケアプランの交付と同意を得ておけば、このルールに沿った対応ができます。

●デイサービスでも利用できる保険外サービス

デイサービスにおいても混合介護の対象として含まれています。
基本的には先ほどのルール通り、連続となるサービスで、説明と同意が必要なことに代わりはありません。
たとえばデイサービスの利用時間に理美容サービスを受けることや併設の医療機関に受診するようなことが可能となります。
デイサービスでの保険外サービスとして認められているものは次の通りです。

  1. 1)デイサービス内での理美容、巡回健診など
  2. 2)外出支援
  3. 3)物販、移動販売、レンタルサービスなどの利用支援
  4. 4)買い物など代行サービス

ただし理美容サービスや医療機関への受診以外は基本的に保険外サービス費を徴収することは認められていませんので注意が必要です。

混合介護の積極的な位置づけで自立支援を

混合介護は厚生労働省においても積極的に取り組むことを推奨しています。
そのため弾力化の取り扱いについては、利用者の自立支援のために大いに活用できるものだと考えられます。
ルールをしっかりと把握し、ケアプランに位置づけしていけばいいでしょう。

参考:
厚生労働省 アクションプラン2018への対応について.(2020年3月22日引用)
豊島区 選択的介護のご案内.(2020年3月22日引用)

  • 執筆者

    井上 歳行

  • 特別養護老人ホーム責任者、居宅介護支援事業所の管理者を経て、介護コンサルタントを行っております。
    保有資格等:介護コンサルタント、主任介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

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