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一人暮らし高齢者の孤独死を防ぐケアマネジャーができる心身に寄り添う対策

高齢者の単独世帯が増え、孤独死が増えているという報道があります。
孤独死には地域からの孤立が背景にあります。
ケアマネジャーが関わる場合においても福祉用具だけが位置づけされているような利用者の場合、福祉サービスとの関わりも少ないこともあり、孤独死に至ることもあります。
孤独死対策としてケアマネジャーができる支援方法を考えていきます。

一人暮らし高齢者は増え続けている

一人暮らし高齢者の孤独死は今とても増えている

年度 孤独死者数
2015(平成27)年 3,127人
2012(平成24)年 2,733人
2009(平成21)年 2,194人
2006(平成18)年 1,892人
2003(平成15)年 1,451人

※内閣府「東京23区における一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数」

一人暮らし高齢者の孤独死が増えています。
内閣府の調査では上記の表の通り、東京都23区における一人暮らし高齢者の孤独死は右肩上がりとなっています。
東京都の状況を見るだけでも、全国的に孤独死が増加している状況が想像できるのではないでしょうか。
その背景にはわが国の世帯構造の割合で「一人暮らし高齢者が増えている」ということと「子供夫婦との同居が減っている」ということが見受けられます。
その現状についてお伝えしていきましょう。

●一人暮らし高齢者が年々増加傾向にある

年度 高齢者単独世帯の割合
(男)
高齢者単独世帯の割合
(女)
2016(平成28)年 8.7% 18.5%
2013(平成25)年 7.4% 18.2%
2010(平成22)年 6.9% 17.4%
2007(平成19)年 6.1% 16.4%
2004(平成16)年 5.1% 15.8%

※厚生労働省「世帯構造別にみた65歳以上の者のいる世帯数の構成割合の年次推移」より

一人暮らしの高齢者は年々増えています。
厚生労働省の調査によりますと、世帯の構造の中で一人暮らしの高齢者世帯の割合はどんどん増えていることがわかります。
65歳以上の人がいる世帯で単独世帯は男女合わせると27.2%。
おおむね3割が単独世帯であることがわかります。
少子高齢化が進んでいるなかで、これからもこの状況が続くことは当然ながら考えられます。
つまり孤独死のリスクは年々上昇している状況となりますから、ますます孤独死の対策が必要になるといえるでしょう。

●子供夫婦と同居している高齢者が減少傾向にある

年度 子供夫婦と同居している高齢者の割合
2016(平成28)年 11.4%
2013(平成25)年 13.9%
2010(平成22)年 17.5%
2007(平成19)年 19.6%
2004(平成16)年 23.6%

※厚生労働省「家族形態別にみた65歳以上の者の構成割合の年次推移」より

一人暮らし高齢者が増えている状況とは反対に子供夫婦との同居は減少傾向にあり、孤独死が増えている要因と考えることができます。
ただし子供夫婦の仕事の問題、経済的な問題、人間関係など、さまざまな要因によってどうしても同居できない事情もあります。
そのため近居するなど対策を取っている家庭も少なくありませんが、介護離職など新しい問題が生まれていることも事実です。

●高齢者自身も孤独死を身近な問題と感じている

年度 孤独死を身近な問題と感じるものの割合
とても感じる 14.6%
まあ感じる 30.8%
あまり感じない 27.8%
まったく感じない 22.7%
わからない 4.0%

※内閣府「孤独死を身近な問題と感じるものの割合(2012年)」より

内閣府が行った「高齢者の健康に関する意識調査」の中で、孤独死を身近な問題と感じるかどうか調査が行われています。
上記は一人暮らしの高齢者を対象にした調査結果になりますが、「とても感じる」「まあ感じる」の割合を含めると全体の45.4%と高い数字になっています。
歳を重ねるなかで身体の衰えを感じることは少なくありません。
そのような中で孤独死に対して不安を感じている高齢者が多いことも理解できるのではないでしょうか。
ケアマネジャーが一人暮らし高齢者を支援する際には、このような不安にいかに寄り添うかがポイントになります。

一人暮らし高齢者に多い孤独死3つの原因

  • ●病気による突然死
  • ●事故などによって発見されない
  • ●自殺

一人暮らし高齢者が孤独死で発見される場合に多い原因に、上記3つのポイントがあります。
その原因を知った上で見守り体制や心身のサポートを行うことで、より適切な支援が行えるようになります。
高齢者の自殺に関しては孤独死の定義に当てはまらないとして、孤独死の数字から除外されていることがほとんどです。
しかし高齢者には自殺で亡くなる方が多いので、ここでは原因のひとつに含めてお伝えしていきます。

●病気による突然死

一人暮らし高齢者が突然死を起こしてしまう原因として多い疾患には「心疾患」「感染症」「入浴時のヒートショックなど」「脳血管障害」などがあります。
特に心臓に関する疾患によって亡くなられることが多く、心疾患が多いことはもちろんのこと、ヒートショックなど心臓に関するものを含めれば全体の半数以上だと考えられています。
基礎疾患のある高齢者に対しては、服薬などの支援のほかに生活習慣の改善などの視点も必要で、さらに入浴関連で突然死を起こさないような工夫も考えておかねばなりません。

●事故などによって発見されない

一人暮らしの場合、自宅内で転倒や転落などの事故が発生した場合、そのまま発見されずに経過してしまうというケースも珍しくありません。
住宅内での事故には次のようなケースが多く見られます。

  • ○階段や玄関の段差などを踏み外すなど
  • ○じゅうたんやマット、コンセントなどに足をとられる
  • ○風呂場ですべってしまう

転倒や転落の場合、打撲などで済むこともありますが、高齢者女性では骨粗しょう症の傾向が多いため骨折してしまうケースも数多く存在します。
そのまま身動きが取れないなかで発見されるのが遅れてしまうと、死亡に至る事故も起きてしまうのです。

●自殺

先ほども申し上げましたが孤独死のデータの中で自殺が含まれていないことが多いのですが、一人暮らし高齢者にとても多いことは理解しておかねばなりません。
厚生労働省が発表しているデータによりますと、自殺者全体の中で高齢者の割合は約4割であることがわかっています。
高齢者の自殺の引き金になるのは「うつ病」が多く、うつ病予防や悪化の防止がそのまま自殺防止につながるともいえます。
特に高齢になるにつれて、心身の不調を訴える高齢者は多くなり、その中で抑うつ傾向になることが少なくありません。
そういった喪失感や孤立に対して、どのようにアプローチしていくかが自殺予防に大事な視点であるといえるでしょう。

ケアマネジャーができる孤独死を防ぐ支援方法の考え方

高齢者が一人暮らしをしている場合、孤独死のリスクは抱えているものと考えて、どのように寄り添っていくかといった視点で支援することが必要です。
心身の両面でサポートしていくことが適切です。
そのため介護保険サービスや家族の見守りの強化は大切ではありますが、高齢者のライフスタイルの中で尊厳を支える支援方法を構築することも大事になります。
ここではいくつかの支援方法をご紹介し、どのようにケアマネジャーが関わっていくことができるのかお伝えしていきます。

●見守りできるサービスの構築

ケアマネジャーが一人暮らし高齢者の見守り体制を構築する上で、もっとも大事なことは適切な介護サービスを導入することだといえます。
切れ目のないサービスを導入することで見守りが行き届くようになり、何かあった際にでも対応することが可能となります。
ただし一人暮らし高齢者のなかには比較的元気に過ごしている方も少なくなく、福祉用具だけ利用しているようなケースもあるでしょう。
そのような場合では見守り体制ができていませんから、「緊急通報システムの設置」「配食の利用」「民間の見守りサービスの利用」など介護サービス外でのサービス利用も検討するようにしなければなりません。

●自治体・民生委員など近隣との連携

介護が必要な高齢者の場合、なかなか近隣との付き合いが難しくなっているケースも見受けられます。
そのような場合には、地域の自治体や民生委員などにお願いして、声掛けなどをしてもらうということも可能です。
特に近隣とのつながりは高齢者自身にも大きな安心感を持ってもらうことができます。
地域活動においてはケアマネジャーが把握していないことも少なくありませんが、行政で把握している場合が多く、地域包括支援センターにおいて連携が取れることもあります。
また家主さんや地域の商店などにお願いできるケースもありますから、その高齢者にどのような地域との関わりがあるのか普段からアセスメントしておくことも大事になります。

●家族との連携

一人暮らし高齢者に家族がいる場合、家族との連携を図ることも孤独死を防ぐ大事なポイントとなります。
家族との関わりは、高齢者にとって精神的な安定をもたらします。
生きがいを失くしたり、抑うつ症状を防ぐためにも家族との関わりは重要になります。
家族は普段から電話連絡など取っていることも多く、独自に高齢者に対してGPS機能を設置していたり、自宅に見守り設備を設置しているようなこともあります。
そのため家族と連携を図っておけば何か変わったことがあると伝えてくれることもあるでしょう。
またケアマネジャーが普段の心身の状況などを伝えておくことで、こまめに訪問してくれるような協力を得られる可能性もあります。

一人暮らし高齢者に寄り添うことが孤独死対策

高齢者の単独世帯は孤独死のリスクではありますが、尊厳を支えながらうまく支援を行う必要があります。
特に高齢者は不安を抱えながら生活していることが少なくありません。
そのためケアマネジャーにおいては介護サービスの構築だけではなく、いかに寄り添った支援を行うかといった視点が、孤独死対策には有効になります。
高齢者が孤立しないように配慮しながら適切な支援を行い、安心した生活を築くことができるような視点を持っておくことが大事です。

参考:
内閣府 高齢化の状況.(2020年3月26日引用)
厚生労働省 グラフでみる世帯の状況.(2020年3月26日引用)
厚生労働省 高齢者の自殺の特徴.(2020年3月26日引用)

  • 執筆者

    井上 歳行

  • 特別養護老人ホーム責任者、居宅介護支援事業所の管理者を経て、介護コンサルタントを行っております。

    保有資格等:介護コンサルタント、主任介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

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