介護施設で効率よく節電する方法!電子ブレーカーを導入した電気代対策のポイント
介護施設においては、電力コストがかなり高く、頭を悩ませている経営者も多いと思います。
こまめな消灯やエアコンの温度設定、LED照明への変更などに取り組んでも、省エネに限界を感じるときがくるのではないでしょうか。
この記事では電子ブレーカーを導入して、電力コストを下げる方法についてお伝えしていきます。
介護施設で思うように節電できないのはなぜ?
介護施設を運営していると、毎月の電力コストの高さに悩まされます。
さまざまな節電対策をしていても、それほどコストダウンに結び付いていないのが実情ではないでしょうか。
●介護施設内の節電対策だけでは頭打ち
そのため介護職員や施設スタッフに対して、節電意識を持ってもらうように取り組んでいるという介護施設も少なくありません。
介護施設が今すぐできる節電対策といえば、冒頭にもお伝えしましたが、こまめな消灯やエアコンの温度調整です。
日中に日当たりのよい場所では電気を消灯している施設、エアコンを効率よく稼働させるために、こまめにフィルター掃除を行っているという介護施設も多いでしょう。
また寿命が切れた電球からLEDに変更することも増えています。
LEDに変更することによって、それまでの電球による電力コストよりも抑えることができますし、さらに耐久性に優れているので将来的なコストダウンを見込むことができます。
ただし、すでにこれらの取り組みをしている介護施設にとっては、なかなか頭打ちの状況ではないでしょうか。
●介護施設の電力コストの傾向
介護施設の電力コストは、地域によっても違いはあるものの、夏場と冬場に高くなる傾向にあります。
これはエアコンなど、施設内の生活環境を維持するために必要な電力であることは、容易に理解することができます。
介護施設には多くの高齢者が入居されており、そのほかにもデイサービスなど施設を利用する方がたくさん生活を営んでおられます。
エアコンにかかる費用は、悩ましいものではあるものの、快適な環境を維持するためには仕方がないと考えてしまうものではないでしょうか。
節電だからといって、やみくもにエアコンを止めてしまうことはできないでしょう。
そのためエアコンにかかる節電対策としては、温度設定やフィルター掃除程度しか対策をしていない介護施設が多いのではないでしょうか。
しかし電力会社との契約内容を把握することによって、効率よく節電することが可能となります。
意外に知られていない電力会社との契約内容について
介護施設を運営する際は、地域の電力会社と契約を行い供給を受けることになります。
しかしこの電力会社との契約内容は、意外に一般的には知られていません。
この契約内容を把握することが、介護施設の節電対策の第一歩となります。
では電力会社との契約内容についてわかりやすく説明していきましょう。
●介護施設にとって不利な電力会社との「負荷設備契約」について
施設は「負荷設備契約」によって、電力会社から供給を受けています。
この負荷設備契約は、一番高い消費電力量にあわせて電気料金が計算されている契約になっているのが一般的です。
過去1年間のうちに、一番電力消費量の高い月を基準として、基本料金が設定されているのです。
●「負荷設備契約」での電力コストの計算方法
負荷設備契約では、介護施設を運営するに当たって、あらかじめ使用する電気機器を設定し、そのすべての容量を足したものを基本として、契約電力を決めていきます。
たとえばエアコンが10台ある場合、そのエアコンが持っている容量すべてを足して、基本料金が決められることになります。
つまり負荷設備契約においては、これらエアコンをすべて稼働させた状態を想定して、基本料金が決められています。
仮にエアコンをまったく稼働させていない時期であるとしても、基本料金は一番最大の電力消費量を想定した金額で計算されることになってしまいます。
また契約後においても、過去1年間の最大電気消費量をもとにして計算されることになります。
どれだけ職員が節電に取り組んだとしても、エアコンをフル稼働させた時期によって、一時的に電力消費量が高くなってしまうと、それが基準となり計算されてしまいます。
電力消費量が高くなる時期には、どうしてもつけっぱなしになることが多くなりますので、この時期に節電することはどうしても難しくなります。
これが節電に取り組んでも、なかなか電力コストが抑えられない最大の理由なのです。
効率よく節電できる電子ブレーカーとはどのようなシステム?
電力会社との契約で決められているのであれば仕方ないと考えてしまいがちですが、この契約を見直しできる方法があります。
それは電子ブレーカーを導入して「主開閉器契約」にすることです。
どのような方法なのか、わかりやすくお伝えしていきましょう。
●電力コストを抑える「主開閉器契約」について
先ほどお伝えしている通り、介護施設は一般的に「負荷設備契約」となっており、さまざまな電気機器の容量をすべて足した契約になっています。
これに対して「主開閉器契約」とは、自らが電力消費量の最大値を設定する契約で、電子ブレーカーを導入することによって効率よく節電が可能です。
電力会社も節電につながるために推奨しているシステムです。
介護施設だけではなく、電気消費量で頭を悩ます企業での導入は、どんどん増えています。
電子ブレーカーを導入した翌月から、設定した電力消費量をもとに電気代の計算がされますので、すぐに節電効果が現れるといったメリットがあります。
●電子ブレーカーとはどのようなシステムの機器なの?
電子ブレーカーとは、デマンドコントロールシステムに搭載されているシステムであり、最大電気消費量を抑制できる電子機器になります。
主開閉器契約では電力消費量の最大値を電力会社に設定することになりますが、その最大値を超えないように抑制するシステムがデマンドコントロールシステムです。
実際に最大値を超えるような場面がくると、このシステムの電子機器が感知し、電子ブレーカーを作動させることができます。
具体的にはエアコンの室外機を制御することによって、電力を抑制していきます。
制御している間に室内の環境が悪化してしまわないように、室内機の作業はし続けて、室外機で作られた快適な空気は吐き出すようにしているのです。
制御している時間は、ほんの数分から10分程度ですので、室内環境が悪化することもありません。
この電気機器の制御の方法は、販売されている電子ブレーカーによっても違いがあり、電子機器で自動制御できるものもあれば、手動で制御しなければならないものもあります。
●電子ブレーカー導入で実際どれくらいコストダウンできる可能性があるのか
実際に電子ブレーカーを導入した介護施設を事例にして、実際どれくらいコストダウンできる可能性があるのか考えてみます。
昨年8月の電気消費量が500kwであり、過去1年間のうち最高の電気消費量であったとします。
電子ブレーカーの導入で主開閉器契約を結ぶ際に、最大値を420kwとして契約した場合、月間80kw分の基本料金を削減することが可能です。
80kw分の基本料金の計算は以下の通りとなります。
80kw(契約電力)×約1,800円(基本料金単価)×85%(力率修正)=122,400円
月間122,400円の削減が期待でき、年間で1,468,800円、削減させることが期待できます。
多くの介護施設では、夏場および冬場に一番、電気消費量が高くなる傾向にあります。
しかも例年よりも暑くなった日には、最大電気消費量となることが多いのです。
主開閉器契約とした場合には、最大電気消費量となる瞬間に、最大値として目標にしている電気消費量を超えてしまう傾向にあります。
そのような日には電子ブレーカーが制御して、エアコンの室外機を停止させることによって目標値を維持することができます。
今すぐ電子ブレーカーを導入した電気代対策を
電子ブレーカーを導入した節電方法についてお伝えしました。
電力会社との契約を負荷設備契約から主開閉器契約に変更することができ、さらにすぐにその効果を反映させることができ、効果的な節電が可能です。
法人で節電を取り組んでいて、なかなか思うように電力コストが下げられないという介護施設であれば、導入を検討してみてもいいのではないでしょうか。
関連記事:
介護施設で電気代を節約する方法とは?経営者がコスト削減のために実践できる対策.
参考:
東京電力 低圧電力における契約電力の大きさや決め方について.(2020年5月8日引用)
東京電力 デマンドコントロールシステムのご紹介.(2020年5月8日引用)
A さん
2021年3月10日 1:12 PM
「主開閉器契約」とは、自らが電力消費量の最大値を設定する契約で、電子ブレーカーを導入することによって結ぶことができます。
とありますが、「主開閉器契約」は電子ブレーカーでなくても契約可能です。