緊急事態宣言の解除後のケアマネジメント~ケアマネジャーが意識しておきたい3つのポイント
2020年5月25日、政府から緊急事態宣言の解除が宣言され、少しずつですが元通りの生活に戻ろうとしています。
しかしいつ第2波が起こるとは限らない状況ですから、リスク管理をしながらケアマネジメントに取り組んでおく必要があります。
ここではケアマネジャーが意識しておきたい、緊急事態宣言解除後のケアマネジメントの方法について3つのポイントをお伝えしていきます。
①ケアマネジメント業務で可能な弾力対応の基本を押さえる
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の中でケアマネジメント業務の弾力対応が可能になっています。
まずこの対応方法の基本を押さえておくようにしましょう。
●押さえておきたい基本的な弾力対応の内容
- ○要介護認定や要支援認定の申請は郵送等で申請を行うことが可能
- ○初回訪問時のアセスメントは居宅訪問が必要
- ○サービス変更する場合はサービス変更後にケアプランを作成すればよい
- ○利用者の同意を得ていれば、サービス担当者会議は電話・メールで可能
- ○モニタリングも訪問しなくても電話で可能
弾力対応のポイントは上記の通りとなっています。
これらは厚生労働省通知で発表されている内容に基づいて、日本介護支援専門員協会が発表しているものとなっています。
初回のアセスメントでは必ず訪問が必要であること、利用者本人の同意についても文書による同意が必要であることに注意しましょう。
●ローカルルールの存在に注意
基本的には厚生労働省の発表に基づいてこれらの弾力対応に取り組むことになりますが、各自治体でのローカルルールには注意が必要です。
今回の新型コロナウイルス感染症については各自治体でも混乱しているため、厚生労働省通知が十分に行き届いておらず、通常対応が求められるということがみられています。
厚生労働省通知と自治体の指示との間に齟齬があるなかで弾力対応する際には、記録などに「厚生労働省通知による対応」という旨の記載をしておくと実施指導対策となります。
②訪問介護・訪問診療・訪問看護との連携を強化する
新型コロナウイルス感染症の影響によって、多くのデイサービスの利用ができなくなりました。
そのような事態になって、緊急的に訪問介護の導入に踏み切ったケアマネジャーも多いでしょう。
緊急事態宣言解除時点においては、多くのデイサービスが利用再開していますが、リスク回避するためには訪問介護との連携を強化しておくことが大事です。
●デイサービスの利用ができなくなる可能性も
新型コロナウイルス感染症の影響によって、利用制限に踏み切ったデイサービスが全国で800事業所を超えていると発表されています。
その後、利用再開したデイサービスも多いのですが、第2波を考えると今後さらに利用制限に踏み切る可能性も考えられます。
さらに感染を避けて、利用を控えたいと考える利用者も多いでしょう。
デイサービスが利用できない、利用したくないという状況の中では、訪問介護を中心としたサービスに切り替えておく必要があります。
特にデイサービス・ショートステイ中心のケアプランの場合であれば、幅を持たせたサービスにしておくことが大事です。
●訪問介護サービス事業所の状況も確認しておく
緊急事態宣言の最中においては、ヘルパーの利用頻度が増えているケアプランも多いのではないでしょうか。
特に独居高齢者や高齢者世帯の場合においては、デイサービス利用ができなくなることによって、深刻な影響を受けてしまう可能性があるからです。
しかしヘルパーには主婦も多く、小中学校の休校などによって休職を余儀なくされるという状況も少なくありません。
ヘルパー自身が体調不良になってしまうというケースも考えられます。
そのため訪問介護サービス事業所によっては、新規利用の制限などを行っている事業所も多くみられます。
そのため緊急的に利用を受け付けしている訪問介護サービス事業所を見つけておくようにしなければなりません。
●訪問診療・訪問看護を検討する
体調に不安を抱える高齢者が少なくありませんが、感染リスクにおびえて必要な受診をしない高齢者も多くなっています。
この状況を機会として、通院を訪問診療に変更し、訪問看護を導入することによって健康管理を行うことも検討するといいでしょう。
特に基礎疾患を持っている高齢者は、新型コロナウイルスに感染することによって重症化しやすいと考えられています。
そのため独居高齢者や高齢者世帯などにとっては、訪問医療の体制を整えておくことがとても重要になります。
新型コロナウイルス感染拡大の時期には、定期訪問を減らしている医師や看護師が多かったのですが、少しずつ利用の再開に取り組まれています。
③中長期にわたって入所できる方法を模索する
新型コロナウイルス感染が拡大している最中においても、利用者の安全や安心を確保するためにショートステイの利用を検討したケアマネジャーは多いでしょう。
ショートステイの状況がどのようになっているか、情報収集していたというケアマネジャーも少なくないはずです。
第2波の状況なども踏まえて、中長期にわたって入所できる方法を模索しておくことは今後も必要になるでしょう。
●ショートステイの中長期の利用が可能か探っておく
たとえば利用者家族が新型コロナウイルス感染症にり患したような場合、高齢者が一時的にショートステイを利用するような場合があります。
そのような状況において、中長期の利用が可能なのか確認しておくようにしましょう。
ちなみにショートステイの利用は、認定の有効期間のおおむね半数まで、連続利用は30日までと一般的には解されています。
しかし「認定の有効期間のおおむね半数」というのは、運営基準の中に「利用者の心身の状況等を勘案して特に必要と認められる場合を除き」という文言が入っています。
そのため今回のような緊急事態の場合には「おおむね半数」でなければならないことにこだわる必要はないということです。
さらに連続利用30日の利用制限については保険給付が認められないということだけですので、全額自己負担の日を挟めば30日を超えても連続利用とみなされないと解釈できます。
法令に従って正しく解釈しておけばいいでしょう。
●短期入所生活介護と短期入所療養介護の連続利用
近隣に短期入所生活介護と短期入所療養介護が存在する場合であれば、それらの連続利用によって中長期の入所を確保することも可能です。
この場合においても「連続利用30日まで」という利用制限を懸念するケアマネジャーがいますが、まったく別の介護保険サービスになることから連続利用は可能です。
つまり短期入所生活介護を30日利用した後に、そのまま短期入所療養介護に入所し30日利用することが可能であるといえます。
もちろん保険給付を受けることも可能となっています。
ただし「認定の有効期間のおおむね半数」は、短期入所生活介護と短期入所療養介護の合算であると解されていますので注意が必要です。
それでも先ほどもお伝えした通り、緊急事態の場合においては問題なく利用できると考えていいでしょう。
●行政にも相談する
何かしら緊急事態が起きた場合においては、まず行政に相談するようにしましょう。
たとえば先ほどお伝えした「認定の有効期間のおおむね半数」の解釈についていえば、法令の趣旨を掴んでおき、緊急事態であるということを伝えれば利用可能になる可能性もあります。
また行政の判断によって利用が認められるようなことになった場合には、「担当課長の許可により利用を開始する」などといった記録をしっかりと残しておくようにします。
そのような記録を残しておくことで、実施指導などにおいても利用の根拠として示すことが可能となります。
新型コロナウイルス感染症の第2波に備えて
緊急事態宣言の解除後のケアマネジャーが意識しておきたいケアマネジメントの方法を3つのポイントとしてお伝えしました。
2020年5月29日現在において、東京都の感染者は20人を超え、14日以来の増加であると報道されています。
まだ気を緩ませずに、リスクマネジメントが必要であることに違いはありません。
このような状況を踏まえて、ケアマネジメントに取り組んでおく必要があるのではないでしょうか。
参考:
日本介護支援専門員協会『新型コロナウイルス感染症拡大防止に係るケアマネジメント業務の弾力対応について』(2020年5月29日引用)
ANNニュース「東京都で新たに22人の感染確認 20人超えは14日以来」(2020年5月29日引用)