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新型コロナウイルス感染症におけるデイサービスの特例報酬~知っておきたい3つの注意点

新型コロナウイルス対策の一環として、デイサービスに対して特例報酬が2020年6月1日から認められることになり、一定の基準を満たす場合に「2区分上の算定」ができるようになりました。
この記事ではどのような場合に算定することができるのか具体例を示し、3つの注意点についてお伝えします。

デイサービスの特例報酬

デイサービスの特例報酬の概要について

デイサービスの特例報酬の概要について

厚生労働省は2020年6月1日に、「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第12報)」において、デイサービスに対して臨時的に特例報酬を認めると通知しています。
通所系サービスである「デイケア」などでも認められており、そのほかにショートステイにおいても算定が可能となっています。

●特例報酬が導入された背景

今回、新型コロナウイルスが拡大するなかで、デイサービスでの対応が評価されることによって導入が決定されています。
特に自粛期間においても、高齢者に対して外出支援を行ってきたり、家族のストレス軽減のために支援してきた広益はとても大きいものであるといえます。
ただその反面で、すべての介護サービスの中で、最も経営に影響のあったものの一つとして挙げることもできます。
そのため人員基準の緩和だけではなく、特例報酬を認めることは、今後の運営を考える上において重要なことであるといえるのではないでしょうか。

●特例報酬のポイント

  • ○サービス時間に応じた報酬区分の2区分上位において算定できる
  • ○利用者が複数のデイサービスを利用している場合でも算定できる
  • ○報酬区分が5時間未満の場合、月に1回の算定が認められる
  • ○5時間以上の場合、サービス提供回数に応じて月に4回を限度に認められる

ポイントをまとめると上記の通りになっています。
算定の回数には上限があり、サービス区分によって計算方法が定められています。

デイサービスの特例報酬を積極的に取得しておきたい3つの理由

デイサービスの特例報酬を積極的に取得しておきたい3つの理由

  1. 1)特例報酬を算定するには通常のケアマネジメントプロセスでよい
  2. 2)最大で月に4回まで算定ができる
  3. 3)経営状態が悪化しているデイサービスが多い

今回の特例報酬において、積極的に取得しておきたい理由を3つにまとめてみました。
それほどハードルは高くありませんし、ある程度の報酬アップを見込むこともできます。

●特例報酬を算定するには通常のケアマネジメントプロセスでよい

特例報酬を算定するために、人員基準などといった高いハードルはなく、通常のプロセスを守ることによって報酬を得ることができます。
厚生労働省通知の留意事項には、ケアマネジャーがたてたケアプランとの整合性を図っておくように示されています。
これは通所介護計画と、ケアプランとにおいて、デイサービスの提供回数に相違がなければ問題はありません。
日常的にケアマネジャーと積極的に連携を図っているのであれば、通常のプロセスだけで報酬を得ることが可能です。

●最大で月に4回まで算定ができる

5時間以上のサービス区分で運営しているデイサービスの場合、月に最大で4回まで算定することが認められています。
仮に「5時間以上6時間未満」でサービスを提供している場合、単位数は765単位となっていますが、2区分上位で算定する場合には887単位となります。
つまり通常よりも122単位多く取得することができます。
これを東京23区の地域区分で計算すると、1回につき約1,300円となります。
1日に10人算定できるとすれば約13,000円、月25日の営業であれば約325,000円の報酬アップとなります。

●経営状態が悪化しているデイサービスが多い

デイサービスの運営状況についての調査結果「新型コロナウイルス感染症に係る経営状況への影響について緊急調査(一般社団法人全国介護事業者連盟)」を見てみると、「影響を受けている」との返答が全体の約9割になっています。
これはほかのサービスとくらべても著しく高い状況であることがわかります。
厚生労働省によりますと、今回の特例報酬の趣旨は、デイサービスでの新型コロナウイルス感染症の対応を積極的に評価したものとなっています。
利用者に一部負担を強いるものにはなりますが、趣旨をしっかりと説明し、取得に向けた取り組みを行うようにしておきましょう。

デイサービスの特例報酬の算定で知っておきたい3つの注意点

デイサービスの特例報酬の算定で知っておきたい3つの注意点

  1. 1)事前に利用者の同意が必要
  2. 2)利用者負担が増えてしまう
  3. 3)支給限度額に変化はない

適切なケアマネジメントのもとに報酬が算定されなければならないという部分に十分注意が必要です。
後から報酬返還しなければならないという事態だけは避けるようにしておかねばなりません。
特に同意に関しては、厚生労働省通知においても改めて明記されていることから、監査対策として徹底しておくようにしましょう。

●事前に利用者の同意が必要

利用者に対しては、必ず事前に同意を取得しておく必要があります。
同意を取得しておくということは、利用者に対して算定の趣旨を説明しなければならないということです。
この同意に関しては厚生労働省通知でも明確になっていますので、必ず同意書を用意し、説明を行った旨を記録に残しておくようにします。
なおサービス担当者会議の開催は求められていません。
ただし利用者負担にも関わることですから利用者に対して十分説明をすることと、あらかじめ担当のケアマネジャーに対しても取得の意思を示しておく必要があります。

●利用者負担が増えてしまう

「利用者負担が増えてしまう」という部分については、先ほどの同意の取得と直結する内容となっています。
利用者にとっては、通常通りにデイサービスを利用しているにもかかわらず、負担が増えてしまうわけですから十分注意が必要です。
今回の特例報酬の趣旨は、「新型コロナウイルス感染症拡大防止に対する評価」です。
デイサービスの運営とともに感染対策の専門性に対する報酬となっていますから、その趣旨をしっかりと理解した上で利用者に対して十分に説明しなければなりません。

●支給限度額に変化はない

特例報酬が認められたものの、支給限度額には変化がありませんので、介護サービスを限度額いっぱいに利用している利用者に対しては注意が必要です。
仮に5時間以上のデイサービスを週3回程度利用しているような場合、特例報酬は4回算定が認められることになります。
2区分上位になるということは、1回の利用につき100単位以上のアップになる場合もあります。
仮に限度額を超えてしまう可能性がある場合、自費請求になってしまうリスクも考えられます。
そのようなことも踏まえてケアマネジャーとは連携を図っておき、取得の検討を進めておく必要があります。

デイサービスの特例報酬は注意点を意識しながら積極的に算定を

デイサービスにおいては、新型コロナウイルス感染症の影響によって、多くの事業所の運営が影響を受けている状態です。
今回の特例報酬については、それほど算定するハードルは高くありませんので、積極的に取得できる報酬だといえます。
ただし同意の取得やケアマネジャーとの連携などには十分に注意し、監査対策も踏まえながら進めていくことが必要になるでしょう。

参考:
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて」のまとめ(2020年6月29日引用)
一般社団法人全国介護事業者連盟「新型コロナウイルス感染症に係る経営状況への影響について緊急調査」(2020年6月29日引用)

  • 執筆者

    井上 歳行

  • 特別養護老人ホーム責任者、居宅介護支援事業所の管理者を経て、介護コンサルタントを行っております。
    保有資格等:介護コンサルタント、主任介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

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