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居宅介護支援の今後~介護報酬改定から考える方向性と事業所運営

2018年(平成30年)1月末、厚生労働省から介護報酬の見直し案が発表されました。
内容をみてみると、厳しい報酬改定内容が盛り込まれている介護サービスもあるなか、居宅介護支援では基本報酬を引き上げられていることがわかります。
介護保険が今後どう進んでいくのかその方向性を考えながら、事業所運営について見てきたいと思います。

医療連携が重要になってきます

医療連携が色濃くでている報酬改定

居宅介護支援の基本報酬アップについては、事業所を運営している法人からすれば、ほっと一安心というところかもしれません。
私がみた全体的な印象は、医療連携について色濃くでている報酬改定だということがいえます。
この医療連携については、在宅生活の継続を後押しするものですから、今後も重要な部分だといえるでしょう。
注目すべき改正内容をみてみますと、基本報酬について、取扱件数40件未満においては、要介護1~2で11単位、要介護3~5で15単位のアップになります。
利用者100人程度を受け持つ居宅介護支援事業所においては、年間で100~200万円の報酬アップになります。
医療連携の部分でいいますと、退院・退所加算においては、カンファレンス参加なしであれば300単位が450単位にアップ(連携1回)、カンファレンス参加ありであれば300単位が600単位にアップ(連携1回)と、大きく引き上げられています。
また新設の加算として、ターミナルケアマネジメント加算が創設されています。
これは、在宅で亡くなられた方が末期がんである場合に加算されるものであり、報酬は月400単位となっています。
さらに特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅲ)のいずれかを取得している事業所で、退院・退所加算取得のための医療機関との連携を年に35回以上、ターミナルケアマネジメント加算を年に5回以上算定している事業所においては、特定事業所加算(Ⅳ)として月125単位算定することができます。
ちなみに入院時情報連携加算の変更はありません。
今後医療においても在宅医療がどんどん進んできますし、介護保険においても病院や施設をでて、在宅で暮らすことが評価されていくのは間違いないでしょう。

「訪問回数の多い利用者への対応」にかかる手間

居宅介護支援の報酬改定において特筆すべき点は、なにも報酬が上がる医療連携だけではありません。
全体的にいえば、報酬アップというよりも、ケアマネジャーの負担が増えるという印象が強いです。

加算の取得状況によっては、居宅介護支援事業所の運営側は「業務量は増えたのに報酬はそれほど増えない」ということになり、現場のケアマネジャーからは「忙しくなったのに給料は増えない」という不満につながることにもなりかねません。
その原因となるのが「訪問回数の多い利用者への対応」といえます。
ケアマネジャーのケアプランのなかには、訪問介護の利用回数が著しく多い場合があります。
そのすべてというわけではないのですが、自立支援のための効率的な利用と呼べないものも含まれていることがあります。
たとえば、ケアマネジャーが訪問する居宅において、自身の主張が強い利用者から、もっと訪問介護に来てほしいと依頼があり応えてきたようなケースです。
このケースでいえば適切な介護サービス利用ではなく、ある意味お手伝いさんの代わりとして訪問介護を活用していることになります。
実際、厚生労働省の調査によりますと、月に100回以上利用している訪問介護サービスもあるようです。
今回の報酬改定のなかでは、訪問回数の客観的な指標として「全国平均利用回数+2標準偏差」というものを用いています。
これは全国の平均利用回数を厚生労働省がだし、それにプラス2標準偏差を設けたものです。
少々分かりにくい表現ですので、実際にどれくらいまでの回数を想定されているかみていきたいと思います。
厚生労働省の資料によりますと、生活援助の平均利用回数は全体で月10.6回となっています。
要介護度別に見ますと、要介護3であれば月13.2回と一番多い数字になっています。これに2標準偏差を加えると月42回となることが分かっています。
実際、ケアプラン全体をみると、5%弱程度はこの標準値から外れているという調査結果がでています。
もちろんこのなかには、本当に必要で計画されているものもあるとは思います。
しかし行政への報告が義務となり、報告を受けた市町村は必要に応じて是正を促してくる可能性もあるため、その分ケアマネジャーは大変な手間を負うことになるでしょう。
また、地域で行われている地域包括支援センターを中心とした「地域ケア会議」のなかでは、この届けられたケアプランの検証が位置づけられています。
この地域ケア会議は、ケアマネジャーへの支援機能を高めるために設定されていますが、今後この機能はさらに強化されていき、その負担もさらにケアマネジャーを圧迫するものと考えられるのです。
この「訪問回数が多い利用者への対応」については、4月に告知し周知期間を経て、10月から施行する方向で議論されています。

居宅介護支援事業所の安定的な運営には「主任ケアマネ」の存在が

ケアマネージャーの機能底上げを

今回の報酬改定において、単位数の案が明らかとなりました。
その内容をみると明らかであるのが、今後も質の高いケアマネジメントが求められるであろうという点だといえます。
冒頭でもお伝えしましたが、今回の報酬改定では特に医療連携が色濃くでていますので、ケアマネジャーも医師や看護師との連携が必要になってきます。
しかしケアマネジャーのなかには、医師や看護師など医療との連携が苦手な人が多くいます。
実際に「医師とどのように連携していいのかわからない」「医療とどのように関わっていけば良いのかわからない」といった声は、ケアマネジャーの研修においてもよく聞かれる言葉です。
こうした不安を取り除くべく、各事業所では、改定まえに医療連携に関する十分な研修を行っておくべきだといえるでしょう。
また、今回の報酬改定においては、主任ケアマネジャーを管理者要件にする方向で進んでいます。
経過措置期間内に主任ケアマネジャーを配置しなければ、加算の取得ができなかったり、減算になるといったことが考えられます。
つまり主任ケアマネジャーの配置は、安定的に事業所運営を進めるための必須条件だといえるのです。

主任ケアマネジャーは経験を積んだベテランですから、医療連携においても長けている者が多いといえ、配置すれば一般のケアマネジャーの育成にもつながります。
この報酬改正を機に、居宅介護支援事業所においては、主任ケアマネジャーの配置や機能強化、一般ケアマネジャーの機能底上げを図らなくてはならないでしょう。

まとめ

2018年(平成30年)介護報酬改定の全容が少しずつ明らかになってきています。
医療連携の方針については、これからも強化されていく部分になります。
各事業所運営においては、主任ケアマネジャーを中心に医療連携のあり方について取り組むべきでしょう。
さまざまな意見がありますが、こうした心構えとそれに伴う行動を先に行っていくことで、それが安定的な事業所運営につながるといえるでしょう。

参考:
厚生労働省 社保審-介護給付費分科会 平成30年度介護報酬改定 介護報酬の見直し案
厚生労働省 第152回社会保障審議会介護給付費分科会資料 居宅介護支援費資料
厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 平成30年度介護報酬改定に関する審議報告 平成29年12月18日

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