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介護サービス事業所に絶対必要な介護サービス計画書の整備~行政の実施指導に対する考え方

介護サービス事業所の運営において、頭を悩ますものとして「実施指導」があるのではないでしょうか。
しかし個人で経営されている介護サービス事業所において、実施指導対策をしっかり行っている事業所は少ないように感じます。
介護サービス事業所に必要な実施指導の考え方についてお伝えします。

行政の担当者は現場は知らないが、深く理解している事実

指定取り消しとなる事業所が増えている事実

私は介護コンサルティングを行うなかで、介護サービス事業所の管理者に対して「実施指導を終えて初めて介護報酬が得られる」という旨をお伝えしております。
行政が行う実施指導を受けられた介護サービス事業所であればお分かりかと思いますが、行政から指摘を受けるなかには不適切で過剰な報酬を得ているとして、自主返還や減算を求められる場合があります。
かなり悪質で不正な請求が多いのであれば、実施指導は行政監査となり、厳しい運営指導、報酬請求指導が行われることになります。
実際、厚生労働省のデータを見ると、実施指導から行政監査に移行し、指定取り消しや効力停止処分となる介護サービス事業所が年々増えている状況が分かります。
平成22年度には118件だったものが、平成26年には212件になっています。
なかでも社会福祉法人など大規模法人ではなく、営利法人である介護サービス事業所に多いことが分かっています。
さらに訪問介護、通所介護に多いというデータからみて、個人経営で中小の介護サービス事業所ではないかと推測できます。

実施指導対策としてまず最初に取り組むべきことは「介護計画書」の整備

忙しいのは事実。

個人で経営されている介護サービス事業所の管理者に実施指導対策についてお伺いすると、「忙しくて書類整備まで手がまわらない」という声をよく聞きます。
管理者自身がサービス提供責任者であって、自分自身も介護サービスに入る必要もあることから、必要な書類を整備する時間がないということです。
確かにサービス提供責任者の1日を見てみると、介護サービスに入る時間以外にも、サービスに入る介護職員の管理、ケアマネジャーからの依頼により担当者会議への出席、緊急依頼の対応など多岐にわたります。
なかなか書類整備まで手がまわらないのが現状だといえるでしょう。
さまざまな書類の整備が必要ですが、まず実施指導対策として取り組むべきことは「介護サービス計画書」の整備だといえます。
介護サービス計画書は、サービス提供の根本的なものとなりますから、必ず整備しておく必要があります。
1枚も欠けてはいけませんし、1日でも計画期間が足りなくてもいけません。
もしも介護サービス計画書そのものがないとしたら、計画もなくサービスを提供していることになります。
介護保険の考え方は、尊厳の保持、自立支援ですから、計画もなく行えるものではありません。
介護サービス計画書を作成するに当たり、ケアマネジャーの発行するケアプランを必ず入手するようにしましょう。
お分かりの通り、ケアマネジャーのケアプランはすべてのサービスの根本になる計画書になります。
このケアプランに準じて介護サービス計画書を作成しなければなりません。
ケアプランがないことには、介護サービス計画書を作成することができないということです。
この作成が滞ってくると、たちまち作成しなければならない書類が山のように蓄積してしまいます。
作成日程などを表にしてきちんと管理する必要があります。

実施指導に対する甘い考え方はなくす

実施指導に対して甘い考え方をしている介護サービス事業所の管理者は少なくありません。
「現場の介護で忙しいのだから、少々手がまわらなくても許してもらえるだろう」
「実施指導は現場を知らない行政の人間が来るのだから、現場の話は分からないだろう」
このような声は実際に私が事業所の管理者から聞いたことがあるものです。
実施指導に来られる行政の担当者は確かに現場を知りません。
現場に入られることはないからです。
しかし現場のことをかなり深くまで理解されています。
行政の実施指導担当者と話をするなかで、「書類を見れば、どのような取り組みをされている介護サービス事業所かが分かる」と聞いたことがあります。
書類の整備状況を見るなかで、いいサービスをしている介護サービス事業所なのか、よくないサービスをしている介護サービス事業所なのか判断できるというのです。
実施指導の担当者は、自主点検表を用いて実施指導を行います。
またさまざまな介護サービス事業所において書類の点検を行っていますから、自主点検表の内容について、相当深い知識を持っているといえます。
必要な書類の整備については自主点検表に記載している通りですから、現場が忙しいからという理由で言い逃れをすることはできませんし、決してごまかすことはできないと理解しておく必要があります。
一生懸命やっているにも関わらず、多少不備があるような場合においては、いきなり不正請求であるとして指定取り消しを行うようなことは絶対にありません。
安心してください。
多少の不備については、文書指摘となり改善報告を行えば済むのです。
多くの指摘については文書指摘になりますから、恐れずに少しずつ書類整備に取り組んでおけば、実施指導においても取り組みを評価してもらえると思います。

実施指導担当者から学ぶ姿勢を

前述の通り、実施指導に来られる行政の担当者は、介護保険サービスに関するかなり深い知識を持っています。
そのため実施指導に来られることは「チャンス」と捉え、効率のよい業務が行えるように実施指導から学ぶべきだと思います。
日々、取り組むべき書類についても、担当者に聞くと「別の介護サービス事業所ではこのようにしておられます」と事例を教えてくれたりします。
書類の整備が現場の負担になることは担当者は痛いほど分かっています。
学ぶべき姿勢を持っていて、利用者に対して少しでもいいサービスを提供しようとする介護サービス事業所であるならば、行政は必ず協力をしてくれるのです。

まとめ

実施指導については、各自治体によっても違いはありますが、新規開設後最初の3年以内には実施指導に来られると思います。
繰り返しますが、介護サービス事業所が受け取る介護報酬については、実施指導が済んで初めて事業所のものになると理解しなければなりません。
多額の返還を指導され、倒産となってしまう恐れもゼロではありません。
毎日少しずつ取り組むことで、そのリスクは限りなくゼロに近づくでしょう。

参考:
厚生労働省 介護サービス事業所に対する監査結果の状況及び介護サービス事業者の業務管理体制の整備に関する届出・確認検査の状況(2018年1月26日引用)

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