介護サービス計画書作成に悩む担当者に~実施指導対策に活かせる分かりやすい手順
介護サービス事業所の実施指導において、確実にチェックされる書面は「介護サービス計画書」です。
サービスが行われる根拠となりますので、大事な書面になりますが、作成の手順や考え方が間違っている事業所を見かけることが多くあります。
ここでは、実施指導に生かせる介護サービス計画書作成の手順をお伝えしていきます。
介護サービス計画書がないとサービスをすることができない
介護サービス計画書が作成されて初めて、介護サービスが行われることになりますから、とても大事な書面になります。
しかしサービスが開始されているにもかかわらず、介護サービス計画書が利用者や家族に交付されていないことや、計画書自体が作成されていないということがあります。
これらを介護サービス事業所に確認すると、
「業務に追われて計画書を作成している暇がない」
という理由が圧倒的に多いことが分かります。
確かに居宅介護支援事業所のケアマネジャーから、サービスの依頼がある場合、状況によっては急きょサービス担当者会議を開催し、即日サービスを開始しなければならないということも少なくありません。
また基本的にケアマネジャーから発行されるケアプランに沿って、この計画書を作成しなければなりませんから、ケアマネジャーが交付していなければ作成することができないことになります。
しかし、そのような場合であっても、暫定の計画書をいったん交付して、サービス開始後に正式な計画書を交付するという手順を踏まねばなりません。
なぜなら何度もいいますが、「介護サービス計画書なしではサービスができない」からなのです。
そのようなイレギュラーの場合においても生かすことのできる介護サービス計画書作成の考え方についてお伝えします。
介護サービス計画書作成の日付に注意する
ケアマネジャーからの通常のサービスの依頼の場合、依頼の段階や初回面談において基本情報などと共に、暫定プランをもらうことができます。
介護サービス事業所のサービス提供責任者は、初回面談の際に、必要なアセスメントを行います。
契約などを同時に行うこともあると思います。
たとえば、この初回面談を行った際に、最初のサービスは1週間後になるとしましょう。
その場合、介護サービス計画書は、その1週間後のサービス開始までに作成し、利用者や家族の同意をもらい、交付をしなければなりません。
この介護サービス計画書の日付には十分注意する必要があります。
作成日や同意、交付を必ず最初のサービス開始日までに行わねばなりません。
ついうっかり作成することを忘れていて、サービス開始後に作成してしまい、作成の日付がサービス開始後であった場合、介護サービス計画書なしでサービスが行われたことになります。
同意や交付の日付も同様の考え方になります。
もしも日付と合わないサービスの提供があるとしたら、それは実施指導上において、その報酬については自主返還の対象となってしまいます。
そんなときによく聞くのが、「サービス担当者会議の開催と同時にサービス提供するようなケース」です。
先ほどの章でご紹介した例になりますが、そのために暫定プランの考え方が大切になってくるのです。
とりあえず暫定のものを作成し、同意と交付を済ませておくことが大事になってくるのです。
正しい手順や方法をマスターすることで、実施指導の内容が見えてくる
介護サービス事業所のサービス提供責任者や管理者を見てみると、特に中小の事業所であればあるほど、サービス対しては真面目ですが書面の整備は苦手な方が多いように思います。
しかし要領を覚えてしまえば、それほど大変な作業ではありません。
実施指導があることが決定して焦る前に、きちんと整備しておくようにしましょう。
介護サービス事業所においては、利用者へのサービスに必要となる書面は、フェイスシート、アセスメント、介護サービス計画書、モニタリングなどになります。
ほかにも契約書や重要事項説明書、利用表、サービス記録などもありますが、特に介護サービス計画書にまつわる書面は抜けがちですから、この部分についてもう少し説明していきたいと思います。
1)フェイスシート、アセスメントはケアマネジャーを参考に
フェイスシート、アセスメントについては、介護サービス計画書につながるもので、なぜそのサービスが必要になったのかという根拠になるものですから、しっかりと記載する必要があります。
特に今後、報酬改定においてチェック機能が厳しくなることも考えられますから、この内容については、充実させておく必要があります。
こういうと難しく聞こえるかもしれませんが、どのように記載すればいいのかわからないのであれば、ケアマネジャーから交付してもらうケアプランなどを参考にすればいいでしょう。
そこには確実にサービスが必要になる根拠が示されているはずです。
そのために、ケアマネジャーからのケアプランなど必要書類は確実にもらうようにしなければなりません。
2)介護サービス計画書はケアプランとの整合性に注意
介護サービス計画書の記載内容に悩んでいる担当者を見かけます。
しかしそれほど難しく考える必要はありません。
これから行っていくサービス内容を端的に記載すればいいでしょう。
注意すべきポイントとして、ケアマネジャーから交付されるケアプランに沿った内容になっているかということです。
ケアマネジャーのケアプランにはそれほど詳細に書かれていないかもしれませんが、介護サービスの方向性についてプラン化されていると思います。
その内容とまったくかけ離れたものになっている場合、実施指導で指導対象となってしまいます。
もしもケアマネジャーのケアプランが間違っているとしたら、すぐに訂正してもらうように依頼しましょう。
また介護サービス計画書に記載するサービス期間については、ケアプランに記載されているサービス期間と同じにします。
ケアマネジャーは、介護保険証の有効期間に沿ってケアプランを作成しますから、この期間と同じにすると把握しやすくなります。
3)モニタリングは、サービス提供の必要性を必ず記載する
モニタリングは、1カ月ごとに行います。
1カ月間のサービスでの様子などを記載していきます。
サービスを受けられている利用者の状態などを記載し、必ずサービス提供の必要性について記載しておきます。
必要があるから次月もサービスを行うことになります。
それらの情報がすべてケアマネジャーが行うモニタリングやプランニングにも生かされることになります。
ケアマネジャーには忘れないように交付しましょう。
まとめ
介護サービス計画書の整備についてポイントをお伝えしました。
行政が行う実施指導では、介護サービス計画書などを中心にして、サービスがどのように提供されているのか確認されます。
そのため1枚でも足りなかったり、1日でも足りないような状況になると、それがそのまま指導の対象になると考えておかねばなりません。
できる限り、まとめて作成するのではなく、抜けがないように、こまめに作成するようにしましょう。
参考:
厚生労働省老健局総務課介護保険指導室 介護保険施設等実施指導マニュアル(改訂版)について(2018年2月8日引用)
石山 優 さん
2022年2月25日 8:10 PM
確かに、ケアマネが作成するケアプランは重要ですが、
実践するのは、あくまで現場の介護職員です。
極端な話、ケアマネはプランを現場に丸投げするという事ですよね。
ここに、介護保険制度の矛盾を感じるのですが、
いかがでしょう。
繰り返しますが、プランを実行するのはあくまで現場の介護職員です。
介護職員がそれをできない場合はどうしますか。