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【訪問看護の関係者が語る】リハビリ職と訪問看護師の強みを最大限に生かすための戦略

訪問看護ステーションでは、スタッフが利用者さんのお宅を訪れて必要なケア・リハビリを提供します。
訪問という分野においては、「訪問リハビリ・訪問看護の必要性をどのように周知していくべきか」という大きな課題があります。
今回は、リハビリ職・訪問看護師がそれぞれの強みを上手に発揮していくために必要なポイントについて、「さくらナースケアステーション」の理学療法士・浦波唯史さんにお話を伺いました。

意外と理解されにくい訪問看護師の役割

訪問看護ステーションでは、看護師や理学療法士などのリハビリスタッフが業務にあたっています。
東京都内で展開している訪問看護ステーションである「さくらナースケアステーション」のうち、浦波さんが働く事業所ではリハビリスタッフ5名、看護師5名で構成されています。
浦波さんは、「利用者さんのお宅を訪問するというスタイルのなかで、看護師ができること、リハビリ職ができることを周知していくことが必要」と話します。
訪問看護ステーションが提供するサービスは、「病院にも通っているから不要」と認識されてしまうケースもあるため、まずは事業所ができることを知ってもらうことが大切なのだそうです。
また、訪問看護師の強みがどこにあるのか、わかりにくいと感じる方が少なからず存在するという側面もあり、訪問看護ステーションの役割を周知していく必要があります。

「在宅で訪問看護師が貢献できる部分は大きいです。たとえば、週に一度のフォローで予防できることもたくさんあります。医学的観点から健康状態の確認をすることはもちろん、薬の管理・食事や栄養の指導・病気の再発予防など、看護師が利用者さんのお宅を訪問することでできるケアは多いのです」

浦波さんが話すように、訪問看護では病院のように病態が急変したときのケアをするのではなく、日々の生活を支援したり、予防的な視点でアプローチできる点に意義があります
また、さくらナースケアステーションの場合は「ユマニチュード」という認知症ケアに関するコースを受講したスタッフも在籍しており、利用者さんのご家族・ケアマネジャーの目線ではここも魅力的なポイントとして映るでしょう。
このように、医療の知識に基づいて在宅での生活を支援できることが、訪問看護師の最大の強みであるといえるのです。
※ユマニチュード:フランスで生まれた認知症ケア。4つの柱(見る・話しかける・触れる・立つ)を基本として150ほどの手法がある。

訪問リハビリでは「生活上のニーズ」に応えることがカギとなる

訪問リハビリの内容は、病院で行う一般的なリハビリとは少し異なります。
単に運動療法を提供するというよりは、ご本人が実生活のなかで抱えている課題やニーズを探っていくことも重要な役割の一つです。
浦波さんが訪問リハビリを実施しに利用者さんのお宅に出向くときは、最初の5分〜10分を使って、最近の様子を伺いながらバイタルサインのチェックなどを行います。

浦波さんは、「病院のリハビリのように、1時間ずっと運動をするようなことはありません。ご高齢の方が多いので、激しい運動を長く行うことに意義はないのです。適切な体の使い方の習得・環境調整を含め、ニーズに合った対応を重視する」といいます。

たしかに、高齢者が自宅で生活をするなかで、最大筋力を発揮することが求められるシチュエーションは限られているでしょう。
それよりは、利用者さんが生活のなかでどのようなニーズを抱えているのか確認しながら、必要なアプローチをしていくことが求められているのです。
また、訪問看護ステーションのリハビリにおいては、事業所によってもその方針に大きなばらつきがあるものです。
訪問リハビリのスタッフがマッサージなどを行っている訪問看護ステーションもあるなど、特色はさまざまですが、提供するサービスの質は統制されていく必要があるでしょう。
訪問リハビリでは、利用者さんの自立支援を目指すのは当然のこととして、それぞれの利用者さんのニーズに応じたアプローチが求められます。

需要が高まる訪問リハビリ 訪問看護師と連携したアプローチを

先にご紹介したとおり、さくらナースケアステーションには看護師とリハビリスタッフが5名ずつ在籍しています。
浦波さんは、「私たちの事業所では、訪問看護と訪問リハビリを比較した場合、どうしてもリハビリというわかりやすいサービスの需要が多くなる傾向にある」といいます。
しかし、訪問リハビリの需要が高まってきた経緯から、一層リハビリ職と訪問看護師との連携が必要になってきているのだそうです。

さくらナースケアステーションでは、訪問サービスの使い方について次の3つのパターンがあるといいます。

  1. 1) 訪問リハビリのみ利用
  2. 2) 訪問看護のみ利用
  3. 3) 訪問リハビリ・看護を併用

要介護度に応じて、介護保険のなかで使える単位数には上限があるため、必ずしもすべての方が訪問リハビリのサービスを受けることはできません。
そのため、訪問リハビリだけを利用する人もいれば、訪問看護だけを利用する人もいます。

「訪問リハビリの需要が多いこともあり、看護師もリハビリ的な役割を担っていければと考えています。リハビリスタッフが訪問に行けない場合でも、看護師がリハビリの知識を持って必要なことをお伝えできるよう、事業所内で連携を図っています。特に、心臓などの内部障害をお持ちの方の運動療法は看護師が担うこともあります」

本来ならばすべての利用者さんに訪問リハビリ・訪問看護を提供できることが理想ですが、実際には介護保険上の制限が伴うケースも多いため、「職種間の連携」によって課題解決に向けて取り組んでいることがうかがえました。
訪問看護ステーションでは同じような課題を抱えていることも多いと思いますが、リハビリスタッフと看護師が連携しながらフォローをしていく体制が確立されることで、限られた条件のなかで必要なケアを提供していけるのでしょう。

訪問看護ステーションができることをケアマネジャーに発信していく

利用者さんが介護保険のなかで使うサービスについては、ご本人やご家族、ケアマネジャーが決定していきます。
訪問看護ステーションの機能が十分に理解されていないと、真に必要なサービスを提供できなくなる可能性があります。
ケアマネジャーの資格を有する方のバックグラウンドはさまざまであり、介護福祉士・看護師などベースの経験が異なるため、訪問看護ステーションの機能をPRしていくことが求められています。

「自分たちが訪問看護ステーションという形でできることを、具体的にアピールしていかなければならないと感じます。現状では、介護や病気の『予防』という考え方が不十分なのです。ケアマネジャーの方々はもともとの職種やご経験が異なるといったバックグラウンドもあるため、私たちのできることをお伝えしていく姿勢が必要になると思います」

そうした経緯もあり、さくらナースケアステーションでは、定期的に「さくら〜にんぐ」という勉強会を実施しています。
浦波さんは、「事業所ではパンフレットの整備なども進めていますが、この勉強会の発足によって地域との連携が密になった」と話します。

さくらナースケアステーションの勉強会には、地域のケアマネジャーも参加できる仕組みになっています。
スタッフが講師になることもあれば、外部から専門家を招くこともあります。
この勉強会を通して、地域のケアマネジャーさんとネットワークをつくること、そして訪問看護ステーションの位置づけを周知していくことを目指しているのです。
やはり地域のケアを支えるためには、まずは多職種が「顔なじみになること」が重要だといえるでしょう。

まとめ

今回は、訪問看護ステーションの役割や課題について、さくらナースケアステーションの浦波さんにお話を伺いました。
まずは訪問事業所の機能を理解してもらうための取り組みを行うこと、そして訪問看護師とリハビリ職が連携しながら理想のケアを提供していくことの重要性がわかりました。
本当の意味で地域に根ざした事業所にするためには、利用者さんやご家族だけでなく、ケアマネジャーを含む関係者とも顔なじみになり、よりよいケアを提供することが理想の姿なのでしょう。

プロフィール

浦波 唯史(うらなみ ただし)

理学療法士の資格を取得してから14年間、臨床で経験を積む。心臓リハビリテーション指導士・専門理学療法士(運動器)などの資格を有し、さまざまなフィールドで活躍してきた。2016年からは東京都渋谷区に拠点を置く「さくらナースケアステーション」で訪問リハビリに携わり、地域に根ざした事業所づくりに尽力している。

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