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なぜ高齢者へリハビリとして早口言葉やパタカラ体操を行うの?その理由を解説します

介護施設で行われている、早口言葉やパタカラ体操。
これらはただのレクリエーションではなく、高齢者へのリハビリとして行っています。
今回は、なぜ早口言葉やパタカラ体操を高齢者のリハビリとして行っているのか、その理由を解説します!

発声練習や早口言葉・パタカラ体操を行う理由は「嚥下(えんげ)」にあり!

介護職員にとって、食事前は配膳準備やトイレ介助などが立て続けにあるため、とても忙しい時間帯です。
そういったときになぜ、早口言葉やパタカラ体操を行っているのでしょうか。
それは、嚥下(えんげ・物を飲み込む動作)をしやすくするためです。
高齢者が早口言葉やパタカラ体操を行うことで、嚥下に対して以下のような効果が期待できます。

●物を飲み込む部位の準備運動になる

物を飲み込むという動作は、口や舌、喉といった部位を複雑に動かして行います。
その行程は、医学的に以下の4つにわけられています。

第Ⅰ期 認知期 食べ物を認知する
第Ⅱ期 準備期 食べ物を口の中で噛み、唾液を含ませて飲み込みやすいように準備する
第Ⅲ期 口腔期 舌と喉を動かして、食べ物を口の奥の部位である咽頭(いんとう)まで移動させる
第Ⅳ期 咽頭期 反射によって、咽頭の食べ物を気管ではなく、食道へ運ぶ

この行程を行っている部位には、嚥下以外にもう一つ、言葉を出すという大切な働きもあります。
食事をする前に早口言葉やパタカラ体操を行うことで、物を飲み込む部位にとって準備運動になり、食事をスムーズに行える効果が期待できます。

●発語する機会を増やす

嚥下と言葉を話す行為は、身体のほぼ同じ部位を使います。
そのため、よくお話をされる方の場合は、それだけ多く口や舌、喉を使う機会も多く、嚥下機能も保ちやすくなります。
しかし高齢者のなかには、おしゃべりよりも一人で静かにゆっくり過ごしたいと考える方も多くいらっしゃいます。
一人で家や部屋に引きこもり、発語する機会が減れば減るほど、嚥下機能も低下してしまいます。
そこでリハビリとして早口言葉やパタカラ体操を取り入れることで、発語する機会を増やし、嚥下や発語機能の低下を防ぐ、という狙いもあります。

パタカラ、それぞれの言葉が採用されている理由

発声練習として、医療現場や介護施設でよく取り入れられているパタカラ体操。
たくさんある文字の中からこの4文字が選ばれているのには、以下のような理由があるからです。

文字 動かす部位 発音方法 採用理由
唇をしっかり閉じる 嚥下は唇をしっかり閉じないとできないため
舌の前方 舌の前の部分が
口の上前方に触れる
嚥下第Ⅲ期での、食べ物を咽頭へ送る際、
舌の前方をしっかりと口の上前方へ押す必要があるため
舌の後方 舌の奥の部分が
口の上後方に触れる
嚥下第Ⅲ期での食べ物を咽頭へ送る際、
舌の奥がしっかりと動く必要があるため
舌の先端 舌の先端を丸めて
口の上につける
口の前方にある食べ物を咽頭へと送り出す際、
舌の先端部分がスムーズに動く必要があるため

このようにパタカラという4つの文字は、ほかの文字にくらべてより物を飲み込む上で重要な唇と舌の準備運動ができるため、選ばれています。

発声練習や早口言葉・パタカラ体操を行う際に介護職員が注意したい、3つのポイント

早口言葉やパタカラ体操は、特別な器具や知識がなくてもできるリハビリです。
早口言葉やパタカラ体操のリハビリ効果を高めるために、ぜひ押さえておきたいポイントを紹介します。

●パタカラ体操はゆっくり、しっかりと

発声練習は1文字1文字をゆっくり、そしてしっかりと行うことで、より口周りの筋肉の緊張をほぐし、舌や口の動きを促すことができます。
忙しいなか行うのでつい急いでしまいがちですが、リハビリ効果を最大限に高めるためにも、担当した時はゆっくり、しっかりパタカラ体操を行うように心がけてみてください。

●早口言葉は季節ごとに変化させよう

早口言葉は、どんな言葉でも行うことで口周囲の筋肉をほぐすことができるリハビリです。
そこで、いつも同じ早口言葉ではなく、季節やイベントに合わせて早口言葉を変化させると、より楽しみながら行うことができます。
また、変化させる以外にも時々一人ずつ言っていただくようにすることもおすすめです。
上手に言えたら全員で拍手、間違えてしまってもみんなで大笑いできるなど、リハビリとして以外に、レクリエーションとしての効果も上がります。

●なるべく大きな声を出そう

パタカラ体操や早口言葉は、気恥ずかしさからつい小さな声で参加してしまいがちです。
このリハビリは大きな声で行うことでお腹に力が入り、腹筋にも効果が期待できます。
高齢者が大きな声で参加できるような環境作りを、ぜひ意識してください。

照れていては意味がない!介護者側から積極的に行おう

早口言葉やパタカラ体操は、大きな声で行うとより効果が期待できます。
そこでぜひ、介護職員の皆さんが積極的に参加し、声を出すようにしてみてください。
実際に筆者が勤務したデイサービスでも、職員が積極的に声を出すことで周囲の高齢者も一緒に大きな声で参加してくださっていました。
発声練習や早口言葉の担当ではない日でも、介護職員として積極的に参加することを、意識してみてください。

参考:
国立特別支援教育総合研究所 構音とは・構音障害とは?(2018年7月17日引用)
滋賀県 トレーニングメニューの例(2018年7月17日引用)
日本訪問歯科協会 口腔リハビリテーション 発語のリハビリ(2018年7月17日引用)
長崎県医師会 嚥下の仕組みと食事支援のポイント(2018年7月17日引用)
長谷川歯科医院 パタカラ体操の意味(2018年7月17日引用)
尾上尚志他:病気がみえる Vol.7 脳・神経,メディックメディア社,東京,2017,pp.148-159.

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