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高齢者にお勧めの立ち上がり練習!意外と知らない正しいやり方を理学療法士が伝授します

介護士が現場で行う運動として、椅子からの立ち上がりの練習を行うことは少なくありません。
単純な運動ですが、利用者さんの状態に合わせて正しく行うことが重要です。
今回は、高齢者の立ち上がり練習をするためのコツや効果を高める方法と器具を紹介します。

練習をする前に高齢者の立ち上がりの特徴を知ろう

正しい立ち上がり練習をするためには、高齢者が椅子からどのように立ち上がるのか特徴を知ることが重要です。
そこで、高齢者の立ち上がりの特徴について解説します。

●立ち上がりの方法は2種類ある

立ち上がりの方法は勢いをつけて立つ方法とゆっくりと重心を移動して立つ方法の2種類があります。
年齢が若い場合は体を前に倒す勢いを利用して立ち上がりますが、高齢者の場合は体の機能が低下して勢いよく体を動かすことができなくなるため、ゆっくり重心を移動して立つ方法になります。

●高齢者の立ち上がりの特徴

高齢者の立ち上がりは、以下のように2段階で行います。

  • ○しっかり体を前に倒して重心を前に移す
  • ○重心が十分に前に移ったあとにゆっくりと体を起こす

体の重心は座っている状態でおへそのあたりにあるため、両足の間に移動するまでしっかり体を前に倒してから、体を起こさなければ安定して立ち上がることができません。
そのため、立ち上がりには前方に十分なスペースが必要になります。

高齢者の正しい立ち上がり練習のポイント

高齢者の立ち上がりの特徴を取り入れた、正しい立ち上がり練習のポイントを紹介します。

●前に十分なスペースを確保しよう

高齢者の立ち上がり練習では、壁についた手すりを持って立ち上がり練習を行いがちです。
しかし、それでは立ち上がりに必要な体を十分に前に倒す動作が妨げられてしまいます。
まず、体を前に倒すための十分なスペースを確保しましょう。

●足はしっかりと引くように心掛けよう

重心を両足の間に移動させるためには、足を引いてあらかじめ重心に近づけておくことも有効です。
立ち上がる前の準備として、日頃から足を引くようにしておけば、スムーズな立ち上がりを身につけることができます。

●筋力に合わせてレベルを変化させよう

高齢者は筋力低下によって脚の力だけでは十分に立つことができない場合があります。
その場合は、自分の太ももを支えにして立ったり、手すりなどを活用しましょう。
下肢の筋力低下の程度は、実際に立ち上がり練習を行いながら確かめることができます。
まず、両手を胸の前で組んで立ち上がってみて難しければ、筋力低下によって脚の力だけでは立つことができなくなっています。
そのため、次のステップとして、自分の太ももを支えにして立ってもらいましょう。
それでも、立つことができない場合は、下肢の筋力がかなり低下しているので、手すりなど支えるものを持って立つ練習をしましょう。
ただし、手すりを使用する場合は、手すりを引っ張って立つのではなく、体を十分に前に倒してから手すりを支えにできるように、スペースを考えて配置しましょう。
普通の立ち上がり練習では物足りない体の機能が高い方には、リハビリ機器の活用がおすすめです。

器具の活用で立ち上がり練習をより効果的にしよう!

立ち上がり練習をより効果的にするためには、リハビリ機器などの器具を積極的に活用しましょう。ケースごとにおすすめの器具を紹介します。

●より高い負荷をかけるための立ち上がり用練習器具

立ち上がり用練習器具は、10cmから40cmまで10cm単位で高さを変えることができます。
通常の椅子の高さは40cm程度ですが、低くすればそれだけ、負荷を高くすることが可能です。
筆者は、入浴時や農作業時などに使用する椅子が低めであることが多いため、高齢者の立ち上がり練習などにも積極的に活用しています。

●立ち上がりにくい方にはクッションを活用してみよう

クッションなどを使用して座面を高くすることで、体を前に倒す距離が短くなり、体を起こしやすくなるため、立ち上がりが簡単に行えるようになります。
そのため、筋力が低下して十分に立ち上がり練習を行うことができない方は、手すりなど手の力に頼るほかにも、クッションなどを活用して座面を高くすることもおすすめです。
もし、高い座面で立てるようになれば、座面を徐々に低くしていくことで、段階的に立ち上がりの能力を高めていくことができます。

高齢者の立ち上がりの特徴を知って効果のある運動をしよう

高齢者の立ち上がりは健常者と異なる特徴があるため、特徴に合った練習を行う必要があります。
普段何気なく行う運動も、しっかりとメカニズムを理解して行うことで、より効果的な運動になります。
ポイントは決して難しくないので、器具などを駆使しながら、ぜひ明日からでも実践してみましょう。

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参考:
阿南雅也:立ち上がり・着座動作障害のバイオメカニクス.理学療法31(11):1084-1094,2014.
勝平純司,山本澄子:介助にいかすバイオメカニクス.医学書院,東京,2011,pp.54-71.

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