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膝折れの対策におすすめの運動は?介護現場での膝折れをなくして転倒を予防しよう

介助中、急に膝が「ガクッ」と曲がる膝折れを一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
膝折れによる転倒を防ぐには、膝折れの原因を知り、適切な運動を行うことが重要です。
今回は、すぐ実践できる膝折れ対策の運動をお伝えします。

膝折れはなぜ起こる?膝折れの原因を理解しよう!

膝折れ対策の運動を行うために、まずはなぜ膝折れが起こってしまうのかを解説します。

●膝折れに関わる主な筋肉は3つ!

膝折れは、筋力が低下することで起こりやすくなります。
膝折れの原因を把握するためには、どこの筋力が低下することで膝折れが起こるのかを知ることが重要です。
膝折れに関わる筋肉は、主に次の3つの筋肉になります。

●太ももの前面の筋肉(大腿四頭筋:だいたいしとうきん)

大腿四頭筋は膝を伸ばす筋肉ですので、脚をついたときに膝を伸ばす力が不十分だと、体重を支えきれず、膝が急に曲がってしまい、膝折れが生じてしまいます。

●お尻の筋肉(大殿筋:だいでんきん)

脚をついたときにお尻の筋肉である大殿筋が働かなければ、うまく体重を支えきれず、膝の筋肉に大きな負担がかかり、膝折れの原因になってしまいます。

●ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋:かたいさんとうきん)

ふくらはぎの筋肉である下腿三頭筋も、体重が脚にかかった際に、膝が曲がりすぎないようにブレーキをかける役割を果たします。

以上のように、3つの筋肉とも、歩行中に体重がかかったときに膝が急に曲がらないような役割を果たしているため、これらの筋力が低下することで膝折れが起こりやすくなります。

膝折れ対策の運動をするためのポイント3つ

膝折れに対する運動をするためには原因となる筋肉を知ること以外に、以下の3つのポイントがあります。

●運動は遠心性(えんしんせい)収縮を意識する

遠心性収縮とは、筋肉が伸ばされながら力は入ることをいいます。
たとえば、膝を伸ばす運動は、大腿四頭筋に力が入って縮むことで生じます。
逆に膝を曲げるときには、大腿四頭筋は力が入らずに、伸ばされます。
しかし、ゆっくり膝を曲げると、大腿四頭筋はブレーキをかけるために力が入ります。
そのため、大腿四頭筋が伸ばされながら力が入るという、遠心性収縮が生じます。
この遠心性収縮の働きによって、体重が脚にかかって膝折れしそうになっても、ブレーキがかかって、膝折れを防ぐことができます。
膝折れの対策を行う際は、遠心性収縮を意識して行う必要があるのです。

●少し疲れるくらいまでの回数を行う

膝折れを経験した方の多くは、ある程度歩いたあとに膝折れが生じているはずです。
それには、筋肉の疲労が原因となっていることが考えられます。
膝折れを防ぐ筋力をつけるためには、トレーニングは少し疲れるくらいまでの回数を行って、ある程度疲れにくい筋肉にしてあげる必要があります。

●姿勢に注意する

全体的な姿勢が悪ければ、効率の良い運動にはなりません。
たとえば、膝を伸ばす運動でも、十分に膝が伸びきっていなかったり、背中が丸まっていては、せっかく膝を伸ばす筋肉を鍛えようとしても、十分には鍛えることができません。
運動方法だけではなく、姿勢にも注意して、質の高い運動を行いましょう。

介護現場で即実践!膝折れを改善するための具体的なトレーニング方法3選

介護現場でも簡単に実践でき、安全性も高いトレーニングを紹介します。
姿勢などのポイントも解説しますので、注意して行いましょう。

●ゆっくりスクワット

脚の全体的な筋力を鍛えるには、立って膝の曲げ伸ばしをするスクワットがおすすめです。
ただし、スクワットを効果的に行うためには、次のポイントに注意しましょう。

  • ◯便座に座るような感じで、少しお尻を突き出す
  • ◯膝を曲げた際に、つま先より前に出ないようにする
  • ◯背中は丸めない
  • ◯しっかり膝を伸ばしきる
  • ◯膝をあまり深く曲げない

以上のポイントを守ることで、膝の負担を減らしつつ、大腿四頭筋を効率的に働かせることができます。
また、遠心性収縮の運動にもなりますので、ゆっくりと行うことも重要なポイントです。
5〜6回を1日3回から始めて、なれてきたら徐々に回数を増やしましょう。

●フロントランジ

姿勢良く立った状態から、片足を一歩前へ出します。
片足を前に出した状態で、ゆっくり腰をおろしていきます。
前に出した脚をゆっくり元に戻して1セットになります。
スクワット同様に、ランジでも大殿筋や大腿四頭筋を連動して働かせることができます。
膝が内に入ったり、外に開いたりしないようにするのがポイントです。
5〜10回を1日2〜3回から始めてみましょう。

●ゆっくりカーフレイズ

姿勢良く立ち、膝を伸ばした状態で、踵の上げ下ろしを行います。
主に下腿三頭筋を鍛える運動です。
可能な方は、踵が床に着ききる前に再び上げることで、より負荷の高い運動となります。
スクワット同様に、遠心性収縮を働かせるため、ゆっくり行いましょう。
10〜20回を1日2〜3回から始めてみましょう。

膝折れの原理に沿った運動を行って転倒を予防しよう!

高齢者になると、手術や病気の影響を受けやすいため、すぐに筋力低下が生じます。
また、膝折れの原因となる筋肉は、体重を支える筋肉で、年齢とともに特に衰えやすいといった特徴もあります。
膝折れは突然に起こるため、介助中の転倒を招きやすい現象です。
ご紹介した運動をぜひリハビリに取り入れていただき、筋力低下を防ぐことで、介助中の転倒予防を目指していただけたらと思います。

参考:
山田実:「膝折れ」する方の転倒を防ぐ、具体的対応策.Rehaje vol.2:23-26,2017.
武富由雄:理学療法プログラムデザイン,ケース別アプローチのポイントと実際.市橋則明(編),文光堂,東京,2009,pp.226-227.
勝平純司,山本澄子,他:介助にいかすバイオメカニクス.医学書院,東京,2011,pp.96-97.

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