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  • syusei

    公開日: 2018年10月23日
  • リハビリについて

買い物をするためのリハビリをしよう!介護現場でできる評価・リハビリのポイント

買い物は高齢者に介護が必要になりやすいIADLの一つです。
そのため、高齢者がリハビリを受ける上で必要なニーズとして挙げられることも少なくありません。
そこで、介護現場で買い物を行うために必要な評価やリハビリのポイントについて紹介します。

介護現場で買い物を行うために必要な評価やリハビリのポイント

買い物の自立を目標にしたリハビリが必要な理由

●介護が必要になるきっかけはIADLの低下から

IADLの低下が介護のきっかけ

高齢者はADLより先に、IADLから徐々に低下し始めるため、介護が必要になるきっかけとなるのは、買い物や家事などのIADLが自分でできなくなった場合です。
そのため、要介護状態の悪化を防ぐためには、IADLの向上・維持を目標にしたリハビリが必要になります。
とりわけ、買い物は最も早く低下しやすいIADLの一つなので、リハビリのニーズとしてあがりやすい項目です。

●介護現場では自立支援型のリハビリニーズが増加

ケアマネジャーがケアプランを作成する際に重要となるのが、自立支援を目標にしたプランです。
そのため、単純に健康を維持、筋力を向上というだけではなく、買い物や調理といった具体的な生活の目標にそったプランに対するリハビリサービスが求められます。
実際に「買い物リハビリ」として、事業所の職員と利用者さんが一緒に買い物をするというサービスも始まっています。
今回は実際にスーパーなどで練習が行えない場合に、現場で行うことができる評価やリハビリを紹介します。

買い物に必要な動作とは?項目に分けて評価しよう

IADLの評価では、動作を細かく工程に分けることが重要です。
買い物の評価でも、買い物に必要な動作を細かく評価して、つまずいている工程を見つけることで、どこにアプローチすれば良いのかが分かります。

●買い物を実施するための動作

買い物に必要な動作

買い物に必要な動作は以下のように分けることができます。

  1. 1.購入品のリストアップ
  2. 2.自宅から店までの移動(公共交通機関の利用含む )
  3. 3.店内での移動
  4. 4.品物を探す
  5. 5.品物を取る
  6. 6.金額の計算
  7. 7.お金の出し入れ

買い物を自分で行うためには、これらの動作を一つずつ評価していき、できていない部分をリハビリしていくことになります。

●評価はできるだけ数値化することが大事

買い物をするという目標を持ってリハビリをしても、すぐに結果が出なければモチベーションが下がってしまいます。
そのため、結果を可能な限り数値で示して、改善している部分を具体的に伝えることが大事です。
以下の表は買い物に必要な動作を評価する場合に、数値化する方法です。

評価する項目 数値化の方法
品物のリストアップ 品物カードをいくつか用意して、必要な品物を選ぶ正答率
品物のリストアップ
移動のための持久力 エルゴメーターやトレッドミルの使用
6分間歩行テスト
移動のための持久力
品物を取るためのバランス 片脚立ちテスト
ファンクショナルリーチテスト
片脚立ちテスト
金額の計算力 計算プリントや品物カードで正答率や計算できた時間を計測
金額の計算力
お金の出し入れ お金の出し入れにかかる時間を計測
お金の出し入れ

介護現場でできる買い物の自立に向けたリハビリ

評価した結果をもとに、難しかった工程を練習するようにしましょう。
IADLのリハビリは実際の場面を想定したリハビリをしていくことで、応用力を身につけることが重要です。
施設で品物の写真を貼ったカードに値段をつけたり、職員が店員役をしながら、店内での買い物を模擬的に実践しましょう。
ここでは、具体的なリハビリ方法やリハビリ器具の活用法を紹介します。

●品物のリストアップ・選択の練習

実際に自宅で必要な日用品、料理の献立に必要な食材などをリストアップしてもらいましょう。
また、施設内にさまざまな品物を点在させて、必要な品物を選択できるか練習しましょう。

●屋外・店内を移動するための練習

実際のお店までの道を想定したリハビリをすることが重要です。
屋外でお店までの道のりを想定した歩行練習をしたり、事業所内に坂道や階段など屋外を想定したリハビリ器具を導入したりする工夫ができます。
また、目的地までの道のりや店内を回るための持久力がない場合は、エルゴメーターやトレッドミルを活用して、有酸素運動を行いましょう。
人混みを歩く可能性もあるため、あえて事業所で人が多い場所や時間に歩行をすることで練習ができます。
買った物を持って移動する際は、買い物カートの代わりにシルバーカーなどを活用して、品物を運ぶ練習をしましょう。

●品物を取る練習

品物を取るためのリーチ動作が不十分な場合は、立位でのリーチ練習が必要です。
店の色々な高さの棚を想定して、品物をとる練習をしましょう。
また、移動の練習にも言えることですが、純粋に立位を保ったり、歩いたりするための筋力やバランスが低下している場合もあります。
立位でうまくバランスをとれない場合は、重錘やトレーニングマシンを使って筋力を鍛えたり、片足立ちや不安定な場所での立位練習でバランスを鍛えたりといった練習も必要です。

●お金の管理をする練習

施設の物品や品物の写真を貼ったカードに値段を決めて、購入する品物の金額を計算しましょう。
お金のイラストが入った計算プリントで練習をする方法もあります。
また、お金を財布から出す動作は、実際に利用者さんが使用する財布を持参してもらい、小銭、お札の両方とも出し入れをする練習をしましょう。

自分で買い物がしたい!ニーズに応えられるようにしよう

IADLのニーズは重要

買い物を含めたIADLのニーズを介護現場でかなえていくことは、これからリハビリを行う上で非常に重要です。
買い物の中でも、どの動作ができないかをしっかり把握し、小さな目標を達成していきながら、意欲的にリハビリを行ってもらいましょう。
また、リハビリでなかなか達成できない部分は、福祉用具を活用することで、可能になることも少なくありません。
評価をしっかり行い、福祉用具の事業所とも連携をしていきましょう。

  • 執筆者

    syusei

  • 整形外科クリニックや介護保険施設などで理学療法として従事してきました。
    現在は県下でも有名な地域包括ケアシステムを実践している法人で理学療法士として勤務しています。
    そのため、施設内のリハビリだけでなく、介護予防事業など地域活動にも積極的に参加しています。
    医療と介護の垣根を超えて、誰にでもわかりやすい記事をお届けできればと思います。
    保有資格:理学療法士、介護支援専門員、呼吸療法認定士、認知症ケア専門士、介護福祉経営士2級

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