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リハビリについて

  • yukie

    公開日: 2018年10月31日

事例からわかる買い物リハビリのIADLアプローチ〜介護事業所・地域向け〜

日々の生活にはさまざまな活動がありますが、「買い物」というIADLにはさまざまな要素が含まれています。
たくさんの工程を含むことから、買い物をするだけで自然とリハビリにつながるという考え方が浸透してきています。
今回は介護事業者が知っておきたい高齢者の買い物リハビリについてお伝えしていきます。

心と体を元気に!注目を集める買い物リハビリとは?

高齢者になると、心身機能の低下や交通手段の問題から買い物の機会は減少してしまいがちです。
実際に、掃除や洗濯などのIADLの中でも、買い物は早い段階から制限が生じやすいといわれています。
「買い物」という何気ない活動から得られる恩恵は大きく、リハビリの要素も多く含んでいるので、制限されることのないように対応していく必要があります。

●買い物をすると自然にリハビリできる

買い物という活動には、買うべきものを決める・移動する・品物を探す・品物を取る・計算するなど、さまざまな要素が含まれています。
リハビリといえば理学療法士や作業療法士が関節を動かしたり、バランスの訓練をしたりすることを思い浮かべることも多いです。
しかし、実際の生活動作の中で頭や体を使い、「自然にリハビリする」ということは健康を維持する上でも非常に重要となります。
単調なトレーニングとは異なり、買い物などの活動には楽しみの要素もあることから、高齢者の生き生きとした様子が見られることも多いです。

●自治体・介護事業所・商業施設の関心が集まる

買い物リハビリは、高齢者の健康を増進したいと考える自治体や介護事業所、高齢者に買い物の機会を提供したいと考える商業施設から注目を集めています。
「買い物でリハビリができる」という認識は多くの機関が賛同できるものといえます。
実際にはどのように導入してよいかわからないという方もまだまだ多いですが、事例を知ることでヒントが得られます

全国各地で高齢者の買い物リハビリ事例が増加中

高齢者の買い物が制限されるケースが増え、「買い物難民」と呼ばれる層がいることも社会的な問題となっています。
そのような中で、自治体や介護事業所が連携して取り組みを始める事例も出てきています。

1.山形県天童市の事例

2018年10月、山形県天童市では、介護事業所と商業施設が連携しながら、高齢者に「買い物リハビリ」を提供する事業を開始しました。
この事業は市が介護事業所で組織される連絡協議会に委託を行っています。
自宅からスーパーまでは介護事業所のスタッフが車で送迎を行い、高齢者が買い物をします。
買い物リハビリの対象となるのは要支援1、2もしくは生活機能が低下していると判断される65歳以上の高齢者です。
初年度は716万円を予算として、買い物リハビリの取り組みを週に1回の頻度で継続し、効果の検証を行っていく見込みです。

2.兵庫県神戸市の事例

兵庫県神戸市でも、一部の地域で買い物リハビリの導入が始まっています。
この事例でも、地域の高齢者施設で買い物に行けない方を対象に、施設や店舗の車で送迎を行い、買い物リハビリを行っています。
ボランティアが参加し、到着した高齢者を出迎えることから、店内の移動や買い物までサポートしています。
「買い物に困っている高齢者のお手伝いがしたい」というボランティアのニーズもうまく反映している事例です。

3.北海道函館市の事例

函館市では2017年から「おでかけリハビリ」を導入して、高齢者の外出機会を増やすための試みを続けています。
海の幸で有名な函館で、当初は朝市で始めた取り組みでしたが、活動の舞台が徐々にスーパーや百貨店などへ拡大していきました。
おでかけリハビリは函館朝市協同組合連合会がスタートさせた事業で、介護施設や社会福祉協議会からの申し込みを受けて、買い物と食事に出かける内容となっています。
買い物難民の高齢者を救済するだけではなく、地域経済を活性化させる側面もあり、地域の課題を解決する一助となることが期待されます。

これらの事例のように、買い物リハビリは介護施設だけで実施できるのではなく、商業施設や自治体をはじめ、地域の協議会や連合会といった組織との連携があってこそ実現できるものです。
やはり高齢者の暮らしを支えるためには地域とのつながりが欠かせません。
高齢者を支援することは地域にとっても恩恵があるので、まさにWin-Winの関係といえるのです。
地域全体で高齢者の買い物を支援する取り組みとして、こうした事例から学ぶべきことは多いです。

高齢者施設でも買い物関連のサービスを導入してみよう!

自治体によっては買い物リハビリを導入したり、コミュニティバスを運行して商業施設にアクセスしやすくしたり、対策を始めているケースもあります。
しかし、全国各地で高齢者の買い物支援が充実しているわけではなく、「モデルの構築段階」といえます。
次に、高齢者施設で比較的導入が簡単な買い物代行とレクについてお伝えしていきます。

●買い物代行サービス

まず、介護の業界で増えているのが「買い物代行サービス」です。
特にサービス付き高齢者住宅や有料老人ホームでは買い物代行のサービスがついており、それをPRポイントの一つにしていることも多いです。
もちろん買い物代行サービスの需要があることも確かですし、買い物に行けないことによる生活上の不便を解消できるのなら、それに越したことはありません。
しかし、できることなら実際に店舗に行って、「自分の力で買い物をしてもらうことがリハビリになる」という意識を持ち、対応を考えるようにしましょう。

●レクとして買い物を導入してみよう

いきなり週1回の買い物リハビリを行うとなれば、時間もコストもかかってしまいます。
まずは月に1回などの頻度で、レクリエーションの一環として買い物を導入してみてはいかがでしょうか。
事前に店舗のチラシを見て商品を確認したり、実際にお店で商品を探して支払ったりする過程を通して、自然とリハビリにつながります。
実施する規模や頻度は、付き添えるスタッフの人数などをもとに調整してみてください。

実際に商業施設に足を運ぶことは難しいという場合、次の記事(買い物をするためのリハビリをしよう!介護現場でできる評価・リハビリのポイント)を参考に、評価やリハビリを行ってみてください。

買い物でエンターテインメント性のあるリハビリを

買い物は長い人生の中で継続的に行ってきたIADLです。
普段のリハビリではつまらない顔をしている高齢者でも、買い物に行くと生き生きとされた様子になるというエピソードはとても多いです。
エンターテインメントの側面もある買い物をリハビリやサービスに取り入れて、利用者さんの笑顔を引き出していきましょう。

参考:
山形新聞 買い物で楽しくリハビリ 天童市が新事業、健康寿命伸長図る(2018年10月29日引用)
生活協同組合コープこうべ 地域連携事例集(2018年10月29日引用)
函館新聞 電子版 おでかけリハビリ 開始1年普及に手応え(2018年10月29日引用)

  • yukie

    公開日: 2018年10月31日

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