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リハビリについて

  • syusei

    公開日: 2018年10月31日

IADLのリハビリには応用歩行練習が重要!一人ひとりの生活を想定した実施方法

買い物や外出などのIADLではさまざまな歩行能力が必要となります。
また、利用者さんはそれぞれ生活する環境が異なるため、一律の練習をしても生活に反映されにくいことがあります。
そこで、利用者さんの生活を想定した応用歩行練習の実施方法を紹介します。

達成可能な目標を設定!IADLの歩行練習は最初が肝心

漠然と「外を歩く」といった目標だと、歩行練習も漫然と実施してしまいます。
そのため、「どのIADLを改善したいか」、「何のために歩けるようになりたいか」をしっかり評価する必要があります。
目標設定のポイントは「できるだけ具体的に」かつ「達成可能な目標を設定する」ことです。

●目標を具体的かつ達成可能にするメリット

歩行練習をする前に目標を具体的かつ達成可能なものに設定することによるメリットを以下に紹介します。

  • ○一人ひとりの生活に即した具体的な歩行練習が実施できる
  • ○成功体験を繰り返すことで意欲を高められる
  • ○途中で修正や方針転換がしやすい

先の見えない目標では、漫然とした歩行練習になりやすいだけではなく、いつまでも達成ができないため、利用者さんの意欲も失いかねません。

●歩行練習の目標設定の具体例

以下に筆者が実践している目標の具体例を示します。

利用者さんの希望 希望達成までの課題 利用者さんの状態 目標設定
友達の家に行きたい 友達の家まで500m 200m歩行可能 1カ月に100m歩行を伸ばす
近所のスーパーまで買い物に行きたい スーパーに行くまでに15cmの段差がある 5cmほどの段差は昇降可能 1カ月に5cmずつ段差をあげる
畑仕事がしたい 土が柔らかく不安定 柔らかい地面では5分でふらつき大 5分ずつ柔らかい地面を歩く時間を延長

まずは、利用者さんの希望を把握した時点で、希望を達成するまでに解決しなければならない、具体的な課題を絞ります。
最初から最終目標を目指すのではなく、少しずつ目標を達成していけるように設定することが重要です。

応用歩行練習を実施するために練習環境を工夫しよう

しっかり歩行練習をする目的が決まったら、目標に合わせた応用歩行練習を実施しましょう。
リハビリ器具を活用すれば、屋内でもさまざまな歩行練習ができますので、具体的な方法を紹介します。

●階段・段差昇降練習

階段や段差は外出などに最も必要な応用歩行の1つです。
目標設定のときに以下の2点をしっかり把握して、練習環境を調整しましょう。

  • ○段差の形状(高さや踏面の幅)
  • ○段数

屋内で実施する場合は、施設に階段や段差があれば活用しても良いですが、無い場合はリハビリ機器の歩行練習用の階段がおすすめです。

●坂道の歩行練習

屋外を歩く場合は坂道がある場所も少なくないでしょう。
屋内に坂道は設定しづらいので、歩行練習用の斜面といった器具が活用できます。
また、施設にスロープがあれば活用することができます。

●障害物の歩行練習

目標とするIADLで障害物を避けるような歩行が必要な場合は、実際の場面を想定した障害物を置くようにしましょう。
たとえば、料理をするためキッチンへ行くには敷居をまたぐ必要がある場合、杖などを敷居に見立てて、またぎながら歩行する練習を行います。
人の往来も障害物を避けるといえますので、あえて人が行き来するような時間帯に歩行練習をすることも工夫の1つです。

●ものを持っての歩行練習

ものを持っての歩行練習といえば、買い物や洗濯などが代表的です。
持つものの重さや大きさを想定して練習をしましょう。
加えて、持ちながら実際に移動する場所を想定して、練習を実施するとより効果的です。

●不安定な地面の歩行練習

畑仕事をするための土の上は柔らかくて不安定なため、バランスが取りづらいです。
そのため、マットや布団など柔らかい素材のものを活用して歩行練習を工夫します。
もちろん、可能であれば実際に土の上を歩行練習をすることが重要です。

このほかにも、狭いところを歩いたり、凸凹した道を歩いたりとIADLに必要な環境を作って歩行練習を実施しましょう。

結果をうまく伝えて、やる気アップ!歩行練習をすすめるコツ

うまく目標設定をして、歩行練習を工夫していくなかで、結果をうまく伝えることで、より効果的な歩行練習を進めることができます。

●結果は具体的に伝える

目標設定をできるだけ具体的に設定するようにした理由の1つに、結果を具体的に伝えることができるという点があります。
「先週より50m長く歩けています」といったように具体的な数字で変化を伝えることで、効果を実感できたり、目標までの道のりをしっかり把握することができます。

●こまめに報告する

結果を伝える頻度は、できるだけこまめに行うようにしましょう。
こまめに伝えても変化が無いと思うかもしれませんが、大きな変化がなくても、前回との違いや残されている課題などを繰り返し伝えて、目標を忘れないようにすることが重要です。
また、職員も利用者さんの細かな変化も見落とさないようにする意識付けを行うことができます。

利用者さんに合わせた歩行練習の実施でIADLの向上を目指そう

歩行練習といっても、バリアフリーの施設内を歩いたり、平坦な道路を歩くだけでは、IADLの向上につながりにくくなります。
しっかりと利用者さんの目標に合わせて、歩行練習をする環境を工夫することで、オーダーメイドの応用歩行練習が実施可能です。
スモールステップで目標達成による意欲向上を図りながら、利用者さんはもちろん、職員も前向きになれるような歩行練習を実施して、IADLの向上を目指しましょう。

参考:
山﨑裕司:理学療法士・作業療法士のためのできる!ADL練習. 南江堂, 東京, 2016, pp.26-43.

  • syusei

    公開日: 2018年10月31日

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