リハビリにおけるエルゴメーターの使い方・用途とは?おすすめの機器や価格も紹介
介護施設のリハビリでもよく用いられるエルゴメーターは、多目的で使える機器です。
高齢者に運動やリハビリを提供する施設では、保有していて損はないアイテムです。
今回は、エルゴメーターの導入を迷っている方のために、具体的にどんな特徴があるのか、どのようなリハビリに活用できるのか解説していきます。
エルゴメーターとは?メリット・トレッドミルとの違い
エルゴメーターは自転車型のリハビリ機器ですが、どのような特徴があるのでしょうか。
まずはエルゴメーターの基本的な特徴を整理していきましょう。
●エルゴメーターの特徴、メリット
自転車で外出するだけでも運動にはなりますが、特にリハビリやトレーニングにおいてはエルゴメーターが活用されています。
エルゴメーターを使うメリットには、以下のようなものが挙げられます。
- ●ペダルの重さで運動負荷を調整できる
- ●定量的な負荷をかけることができる
- ●整形外科的な疾患や肥満があっても使用しやすい
- ●転倒のリスクが少ない
- ●幅広い疾患・障害の方が使える
- ●天候に関わらず屋内でリハビリ・運動ができる
特に膝痛や肥満の方でも利用しやすいこと、安全にリハビリを提供できることは大きなメリットといえます。
自転車のように座る「アップライト型」と、背もたれのある「リカンベント型」があるので、その人に合ったエルゴメーターを選択することができます。
エルゴメーターは、高齢者の運動に関わるリスクを減らす上でも非常に有用なリハビリ機器なのです。
なお、運動の強さを表す単位である「ワット」についてはこちらの記事(自転車エルゴメーターで表示されるワットの意味は?理学療法士がわかりやすく解説します)でも解説しています。
●エルゴメーターとトレッドミルの違いとは?
エルゴメーターと同じように、リハビリでよく使用する機器がトレッドミルです。
トレッドミルは、ランニングマシンやウォーキングマシンといったタイプの機器であり、歩行運動をすることができます。
速度や傾斜を調整できますし、運動負荷を上げることも可能ですが、転倒の危険性があるのでエルゴメーターと使い分ける必要があります。
エルゴメーターは運動量の少ない高齢者でも実践しやすいため、老健やデイサービスをはじめ、地域の集会所などに設置すると重宝します。
エルゴメーターとトレッドミルにはそれぞれ魅力があるので、対象となる方の状態に合わせて選択し、程よい負荷でリハビリ・運動の機会を提供していきましょう。
介護施設のリハビリにおけるエルゴメーターの使い方・用途
ある疾患や障害について専門的にリハビリを手がける病院もありますが、介護施設の多くにおいては入居者さん・利用者さんが抱えるニーズも多様です。
エルゴメーターの使用目的は単に「運動の機会にする」というだけではありません。
エルゴメーターをどんなリハビリの目的で使っていけるのかチェックしておきましょう。
1.生活習慣病の予防につながる
厚生労働省が掲げる「健康日本21」の中で、身体活動量(「身体活動の強度」×「実施した時間」の合計)が増加するほど生活習慣病の予防効果が高まるとされています。
庭仕事やゲートボールなどの軽い運動も良いですが、自転車エルゴメーターは屋内でも手軽に実施できるので、運動を習慣化しやすいです。
介護施設でのリハビリや運動を通して高齢者の活動量をアップさせ、健康増進につなげていきましょう。
高齢者の運動量については、こちらの記事(高齢者にとって理想の運動量はどのくらい?目安を知って健康増進に役立てよう!)も参考にしてください。
2.心臓リハビリの評価と介入に
「心臓が悪い」と聞くと安静にしていなければならないと考えてしまいがちですが、ずっと臥床していると体力は低下していきます。
心臓リハビリにおいて、エルゴメーターやトレッドミルは運動負荷試験を行う際にも活躍します。
検査の結果をもとにエルゴメーターやトレッドミルを使った運動を行い、生活における息切れなどの症状の改善を目指していきます。
ただ、負荷が強すぎるとかえって心臓の負担となってしまいますし、息切れなどのサインがないか観察する必要があるため、専門家がサポートするようにしましょう。
心臓リハビリについて理解を深めたい方は、こちらの記事(心臓リハビリテーション指導士に聞いた!心臓の健康を考える人が自宅で実践している運動・食事のコツ)もご覧ください。
3.認知症予防を目的とした有酸素運動に
運動不足が認知症の発症リスクを高めることがわかっており、脳の健康のためにも運動は欠かせないものと認識されています。
特に有酸素運動の恩恵が注目を集めており、記憶を司る海馬の体積が増えるという報告もあるほどです。
エルゴメーターは、認知症予防という目的でも使う価値があるといえます。
認知症と運動の関係については、こちらの記事(認知症と運動の関係は?有酸素運動が効果的といわれる理由と介護施設での導入方法)でも詳しく解説しています。
導入したい!オージーウエルネスのエルゴメーター
オージーウエルネスでは、いくつかのタイプのエルゴメーターを取り扱っています。
利用する高齢者の層に応じて、ニーズに合ったエルゴメーターを探してみてはいかがでしょうか。
●シンプルな定番モデルの「メデルゴ」
メデルゴというシリーズのエルゴメーターは、シンプルな設計。
アップライト型で価格が350,000円(税抜)と導入しやすく、リカンベント型でも価格は380,000円(税抜)となります。
いずれもまたぎ動作を軽減できるウォークスルーシステムとなっており、リハビリ現場で使う場合も安心感があります。
サイズがコンパクトなので、デイサービス、区民センター、地域の集会所などにも設置しやすいです。
●多機能モデルの「ニューステップ」
ニューステップはメデルゴよりも価格が高く、1,280,000円(税抜)となりますが、全身運動機器として大活躍してくれます。
上肢、下肢の単独運動だけではなく、上下肢の全身運動も可能となるのです。
また、フットステップとハンドルレバーが連動する仕様になっており、片麻痺のある方の自動他動運動にも活用できるため、リハビリの幅が広がります。
見た目のデザインも凝っていますが、実際の機能も充実しているモデルです。
1台目のエルゴメーターを導入する場合は、定番のメデルゴが無難といえるでしょう。
片麻痺の利用者さん・入居者さんのニーズがある場合や、全身運動が必要な方が対象となる場合は、ニューステップも視野に入れたいところです。
エルゴメーターで高齢者の健康増進!
エルゴメーターを使ったリハビリや運動は、生活習慣病や認知症の予防の一助となります。
どんな運動でも行うに越したことはありませんが、エルゴメーターには転倒のリスクが少ないながらも、程よい負荷で体を動かせるというメリットがあります。
高齢者の健康を支えたいと考える施設や機関では、エルゴメーターを導入してみてはいかがでしょうか?
参考:
厚生労働省 健康日本21 身体活動・運動.(2018年11月27日引用)
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執筆者
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作業療法士の資格取得後、介護老人保健施設で脳卒中や認知症の方のリハビリに従事。その後、病院にて外来リハビリを経験し、特に発達障害の子どもの療育に携わる。
勉強会や学会等に足を運び、新しい知見を吸収しながら臨床業務に当たっていた。現在はフリーライターに転身し、医療や介護に関わる記事の執筆や取材等を中心に活動しています。
保有資格:作業療法士、作業療法学修士