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リハビリについて

  • syusei

    公開日: 2018年11月30日

情報収集と資源把握。社会参加を目標にしたリハビリのためにPT・OTが習得すべき2つのポイント

社会参加を目標にしたリハビリに重要なのは、情報収集と資源把握です。
しかし、どちらもPT・OTが学生時代に学ぶ機会はほとんどなく、現場で困ることも少なくありません。
そこで、社会参加のためのリハビリをスムーズに進めるため、必要なポイントを事例を交えて解説します。

情報収集と資源把握

情報収集はサービス利用前に評価表を使って実施

情報収集はサービス利用前に評価表を使って実施

事前の情報収集と情報の共有

PT・OTは利用者さんがサービスを利用するとなって、事業所で初めて顔を合わせることが少なくありません。
しかし、重要なのはサービス利用前に情報を集め、社会参加の目標をはっきりさせて、利用者さんや家族、多職種で共有することです。
そこでサービスの利用前に情報収集をするメリットやスムーズに情報を集めるためにおすすめの評価表を紹介します。

◯サービス利用前に情報収集をするメリット

サービスの利用前に、利用者さんがなにに興味を持ち、どのような社会参加をしたいかがはっきりしていれば、サービス利用後はスムーズに目標に合わせたリハビリの実施ができます。
サービスの利用後に情報収集をしても、目標が不明確なままでサービスの実施が始まっているため、リハビリの内容やサービスプランが中途半端になってしまいます。
また、情報収集を利用者さんの自宅で行えば、自宅や周辺の環境を把握でき、社会参加のために、どのようなリハビリを実施していけばいいか、早いタイミングで考えることができます。

◯情報収集で活用したい評価表

情報収集を円滑にするためには、評価表を活用するのがおすすめです。
以下におすすめの評価表として、興味関心チェックリストと作業聞き取りシートの特徴を表に示します。

評価表の種類 特徴
作業聞き取りシート 実行度や満足度を点数化して目標の進捗状況を把握できる
興味・関心チェックリスト ADLやIADL、趣味や仕事などからなにに興味や関心を持っているか細かく聞き取ることが可能

社会参加の目標を引き出すためには、病気や障害になる以前の自分を思い出してもらい、できなくなった趣味や仕事、家族や友人との付き合いなどを思い出してもらうことが必要です。
そして、上記の評価表を活用して、現在でも興味があること、またしてみたいことを聞き取りましょう。

職場や利用者さんの自宅周辺にある社会資源を把握しよう

職場や利用者さんの自宅周辺にある社会資源を把握しよう

素早い情報収集により社会参加の目標が明確になっても、目標となる場所や環境の具体的なイメージがなければ、なかなかリハビリに反映しにくいものです。
そのために、自分の働く職場や利用者さんの自宅周辺の社会資源を把握することが重要です。
そこで、社会参加のリハビリに取り組むために、把握したほうがよい資源をいくつか紹介します。

◯集会所で行われるサロンや体操

地域の集会所では、住民が主体的に運営しているサロンや体操が行われています。
住み慣れた地域で、顔見知りの人同士で集まる場所に参加することは、心身ともに健康を保つために、重要な社会参加です。
そのため、集会所でどのような取り組みが行われているかを、近くの地域包括支援センターに聞いてみましょう。

◯公園や体育館などでのスポーツ

高齢者向けのスポーツとして多いのが、グラウンドゴルフやゲートボールです。
これらは、公園を利用して行われており、男女問わず楽しんでいます。
もちろん、体育館やプールでのスポーツを社会参加の目標にすることもあります。

◯趣味や娯楽の教室

集会所や個人宅、公民館などで、手芸や楽器の演奏、囲碁や将棋といった趣味・娯楽の教室や活動が行われています。
病気によって、そのような趣味や娯楽を諦めてしまうことは、少なくありません。

◯公共交通機関

場合によっては公共交通機関を利用して、社会参加の場へ行く必要があります。
そのため、どのような公共交通機関があり、バリアフリーや職員の対応がどれくらい整っているかを把握することが重要です。

◯介護保険における通所サービス

病気や障害になる前と同じように、社会参加ができることが目標ですが、障害の重症度によっては難しい場合もあります。
そのような場合、通所介護などで介護サービスを受けながら、楽しみにしていた趣味や役割を果たすことも一つの社会参加です。
そのため、近隣の通所サービスの特徴を知って、職員と顔見知りになると連携がスムーズにとれます。
たとえば、大工仕事が好きな認知症の利用者さんに、もう一度特技を生かして社会参加をしたいということで、作品作りに積極的に取り組まれているデイサービスを紹介して、日用大工を生きがいとして取り組まれている事例もあります。

事例で紹介!ポイントを押さえた社会参加のリハビリ

紹介したポイントを踏まえて、社会参加のリハビリの事例を紹介します。
より理解を深めるために、失敗例と成功例の事例を紹介します。

◯情報収集のタイミングや社会資源の把握が不十分だった失敗例

以前、私が関わった利用者さんで、デイサービス利用後に、特に評価表を使わずに目標を問診で聞き取りました。
もう一度近くの公園でグラウンドゴルフがしたいという目標を聞き取りましたが、サービス利用時のプランに組み込むのが遅くなり、十分に実用性のある練習が組めませんでした。
また、事前に利用者さんが通っていた公園の環境把握が不十分で、社会参加に必要な評価が不足してしまいました。
以上のように、情報収集のタイミングが遅れると、目標が不明瞭なままサービスが始まってしまう恐れがあります。
また、社会資源の把握が不十分だと、リハビリにおける評価やアプローチが不足する可能性があります。

◯目標設定を明確にして多職種でうまく連携できた成功例

私の働くデイケアにサービス利用の相談が入ってすぐに、デイケアの相談員、ケアマネジャーと利用者さんの自宅に情報収集に行きました。
そこで、なぜサービス利用をしたいと考えられたのか、本人・家族・ケアマネジャーとしっかりニーズの把握をしました。
そこで、「また近所の囲碁教室に通いたい」というニーズがあったため、作業聞き取りシートを活用して、達成度や満足度を聞き取り、現状の把握と目標が達成可能なのかを検討しました。
そして、目標を共有しながら、サービス利用までの間に、利用時の対応やアセスメント内容を検討・準備しました。
また、囲碁教室は近所の集会所で行われており、障害があってもどこまで対応可能か、集会所はバリアフリーになっているかを把握しました。
いざ、サービス利用時には社会参加に向けたアプローチが明確になっており、多職種でスムーズに連携しながら実践できました。
以上のように、情報収集や社会資源を把握するタイミング・方法を適切に行うことで、社会参加のリハビリがスムーズに実践できます。

社会参加のリハビリにしっかり対応できるPT・OTになろう

これからのリハビリは心身機能の改善はもちろん、社会参加をみすえたアプローチが求められます。
情報収集や社会資源を把握するためには、施設の中だけにとどまるのではなく、施設の外に積極的に出ていくことが重要です。
利用者さんだけではなく、PT・OTも積極的に地域に関わりを持ち、より広い視野を持って、社会参加のリハビリに対応できるPT・OTを目指しましょう。

  • syusei

    公開日: 2018年11月30日

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