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  • syusei

    公開日: 2019年07月26日
  • リハビリについて

つまずくことへの対策をして転倒予防!介護現場で実践できる対処法やトレーニングを理学療法士が紹介

高齢者が転倒する原因の1つとして、「つまずく」ことがあげられます。
そのため、介護現場で転倒予防を目標にする場合、つまずくことに対して適切な助言や運動をする必要があります。
今回は、明日からすぐに実践できる、対処法やトレーニングについて、通所リハビリや介護老人保健施設で働く理学療法士が解説します。

介護現場で実践できる対処法やトレーニング

つまずきやすい生活環境をチェックして対策をしよう

つまずくことを防ぐために、すぐにできる対策は生活環境の調整です。
通所サービスであれば、利用者さんが暮らす自宅の環境をチェックしましょう。
入所サービスであれば、居室や食堂、リハビリ室など移動が多いスペースの環境をチェックして、つまずきやすい場所を無くす対策をしましょう。

●低めの段差に要注意!スロープやテープで対策

段差は蛍光テープを

低い段差でもスロープを

電池式でないセンサーライトを

つまずくといえば段差ですが、階段のような高さのある段差よりも、敷居のような低い段差のほうが、段差に気づきにくいためつまずきやすいです。
そのため、低い段差でもスロープを設置して段差の解消をするように勧めましょう。
また、段差の解消が難しくても蛍光テープなどで色の目印をつけることで、段差を意識しやすくなります。

また、暗い中では段差に気が付きにくく、夜のトイレに行くときなどにつまずいて転倒する原因となります。
センサーライトの設置で明るさを確保できるようにすることで解消できます。
ライトは電池式にすると、電池切れで暗闇に対応できなくなる可能性があるので、使用しないようにしましょう。

●コード類はしっかり片付けよう

コード類でも利用者さんにとっては、つまずきの原因となる立派な障害物です。
自宅では家電製品、施設ではリハビリ器具などのコード類につまずいて転倒することがあります。
コードをまとめる道具は100円均一やホームセンターなどで簡単に手に入るので活用しましょう。

●まだまだあるつまずきに注意すべき障害物

以下のような障害物もつまずく原因となります。

  • ○カーペットの端
  • ○タンスや椅子のかど
  • ○洗濯物
  • ○置物
  • ○ゴミ箱
    など

まずは、不要なものは床に極力置かないようにして、片付けるように助言しましょう。
利用者さんが自分で片付けることが難しい場合は、必要に応じてケアマネジャーと相談して、ヘルパーの導入を検討する必要があります。
これらの障害物をすべて無くすことは難しいので、カーペットであれば、端がめくれないように部屋一面に敷き詰めたり、両面テープでフローリングに固定したりする工夫をしましょう。
段差のように、蛍光テープで視覚的に認識しやすくするのもオススメです。

つま先を上げる履物を使ってつまずきを防ごう

生活環境の調整のほかに、すぐにできる対策は履物の工夫です。
特につま先を上げる補助機能がついてある履物を使うことで、つまずきを防ぐことができます。

●室内でも靴を使用してつまずきを防ごう

つま先が上がりやすい室内履き

自宅での履物が転倒の原因となる場合もあります。
つまずきに関しては、スリッパを履くことでつま先が上がりにくくなり、つまずきを引き起こします。
そこで、スリッパの代わりに室内用の靴の使用を勧めましょう。
つま先が上がりやすい構造をしている商品を選べば、つまずきによる転倒予防ができます。
施設内であれば、靴を着用することは少なくありませんが、しっかり足にあった靴を選択することが重要です。
利用者さんが来所した場合に、靴が合っているかチェックして、合わない靴を履いている場合は、適切な靴の着用を助言する必要があります。
高齢者の靴の選び方に関する記事は別記事(高齢者の靴の選び方は足の状態や目的に注目!医療介護現場で正しい靴を履いてもらおう)で詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

●つま先を上げる機能がついている転倒予防靴下もオススメ

日本人は室内で靴を着用する習慣が少なく、助言をしても抵抗を感じる利用者さんがいるかもしれません。
そこで、転倒予防機能がついた靴下をオススメする方法があります。
足関節や足趾の背屈を補助する機能がある靴下を着用することで、つまずきを予防する効果が期待できます。

つま先を上げる練習だけじゃない!つまずき防止のためのトレーニング

つまずかないための運動といえば、「つま先を上げる」トレーニングを想像するかもしれません。
もちろん、必要な運動の1つですが、しっかり地面を蹴る運動や障害物を認識する練習が必要になります。
今回は、特別な器具がなくても実施できるトレーニング方法を解説します。

●つま先を上げる前脛骨筋(ぜんけいこつきん)を鍛える運動

つま先を上げる前脛骨筋(ぜんけいこつきん)を鍛える運動

つま先を上げるために必要な、前脛骨筋を鍛える運動を紹介します。

  1. 1.姿勢は立った状態もしくは椅子に座って膝を伸ばした状態で行う
  2. 2.できるだけゆっくりつま先を上げる
  3. 3.つま先を最大限上げた状態で2〜3秒保持する
  4. 4.ゆっくりつま先を下ろす

可能な場合は、立って行うことで、歩行の姿勢に近い状態でのトレーニングができます。
筆者が働く施設でも実施しますが、単純で動きの少ない運動ですので、動きが速くなったり、不十分になることが多いです。
そのため、ゆっくりと大きく動作をして、しっかりスネの外側にある前脛骨筋に力が入っているのを意識してもらいながら、少しだるくなる程度の頻度を実施するのが効果的です。

●地面をしっかり蹴ってすり足を改善しよう

地面をしっかり蹴ってすり足を改善しよう

つま先が上がらず、すり足になる原因として、しっかり地面を蹴ることができていない点があげられます。
なぜなら、しっかり地面を蹴ることで、足を十分に振り出すことができ、つま先を上げる時間が確保されるためです。
地面を蹴る力をつけるためには、下腿三頭筋(かたいさんとうきん)を鍛えるカーフレイズがオススメです。
カーフレイズは膝折れなどほかの転倒を引き起こす要因への対策にもなりますので、ぜひ次の記事(膝折れの対策におすすめの運動は?介護現場での膝折れをなくして転倒を予防しよう)を参照にして実施していきましょう。

●しっかり障害物を認識してつまずかないようにしよう

つま先を上げる力があっても、障害物を認識できず、必要なタイミングでつま先を上げることができなければ、つまずきを防ぐことはできません。
とりわけ、何かを考えたり、別の動作をしながらだと、障害物を認識しにくくなります。
そのため、上記のような2つの課題を同時に実施する「二重課題(デュアルタスク)」の能力を鍛えるトレーニングが必要です。
特に難しい道具は必要なく、以下のような「運動」と「認知課題」を同時に行う方法でトレーニングができます。

  • ○「足踏み」しながら「しりとり」
  • ○「つま先上げ」をしながら「計算」
  • ○「グーパー」しながら「野菜の名前を思い出す」
    など

詳しい方法は別記事(二重課題(デュアルタスク)のトレーニング例は?リハビリ室ですぐに使える訓練のアイデア3つ)で紹介していますので、参考にしていただければと思います。

介護現場でつまずきを防ぐために包括的な対応をして高齢者の転倒を防ごう

介護現場で利用者さんのサービス計画を作成するなかで、「転倒を防ぐ」という内容が含まれることは少なくありません。
そこで、「つまずきを防ぐ」ことは重要な対応の1つになります。
つまずきを引き起こす原因は1つでありませんので、原因を詳しく知るために、介護現場だけでなく、家族、ケアマネジャーやリハビリ職などと連携を取ることが重要になります。
そして、得られた情報から、環境の調整や履物の工夫、利用者さん自身の機能向上など包括的な対応をできるよう、今回ご紹介した方法を参照にしていただければと思います。

  • 執筆者

    syusei

  • 整形外科クリニックや介護保険施設などで理学療法として従事してきました。
    現在は県下でも有名な地域包括ケアシステムを実践している法人で理学療法士として勤務しています。
    そのため、施設内のリハビリだけでなく、介護予防事業など地域活動にも積極的に参加しています。
    医療と介護の垣根を超えて、誰にでもわかりやすい記事をお届けできればと思います。
    保有資格:理学療法士、介護支援専門員、呼吸療法認定士、認知症ケア専門士、介護福祉経営士2級

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