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理学療法士直伝!介護施設で指導できる3つの腰痛予防ストレッチ

高齢者の腰痛は、介護施設においてよく見られる症状です。
痛みにより活動量が低下し寝たきりとなることや、それに伴い重力が加わらず腰椎の変形が進行することも考えられます。
そうした腰痛を予防するためには、ストレッチが効果的であることをご存じでしょうか?
その内容についてまとめました。

筋肉や筋膜が由来の腰痛ストレッチ

腰痛の原因となる筋肉はこれ!

腰痛を引き起こす原因としては、整形外科領域にとどまらず、内科や婦人科で対処する病気でも、腰痛を引き起こすことがあります。
以下に、いくつか例をあげます。

整形外科領域 内科領域 婦人科領域
圧迫骨折 大動脈瘤 子宮筋腫
椎間板ヘルニア 肝硬変 子宮内膜症
筋筋膜性疼痛 尿路結石 卵巣炎

上記の表のように、多様な病態が隠れているのが腰痛の特徴といえます。
腰痛の症状は、上述した内科疾患や婦人科の疾患によっても、同じように引き起こされる恐れがあります。

今回は、筋筋膜性腰痛の高齢者にオススメなストレッチを厳選してお伝えします。
筋筋膜性腰痛とは、文字通り筋肉や筋膜と呼ばれる組織が原因で、腰痛になっている状態です。
これらの予防や改善に効果的な、ハムストリングス、大殿筋(だいでんきん)、広背筋(こうはいきん)の3つのストレッチ方法をお伝えします。

腰痛の原因となる筋肉はこれ!

●ハムストリングス

ハムストリングスは太ももの後ろ側にある筋肉で、大腿二頭筋(だいたいにとうきん)と半腱様筋(はんけんようきん)、半膜様筋(はんまくようきん)の3つを総称した呼び名です。
椅子に座り、お尻と座面のあいだに手をいれていただくと、ゴツゴツとした骨が触れます。
この骨を坐骨といい、姿勢を正すと坐骨が立つように、姿勢を悪くすると坐骨が寝るように動くのが分かります。
ハムストリングスはこの坐骨から、脛(すね)の骨である脛骨(けいこつ)、その外側にある腓骨(ひこつ)にくっつきます。
ハムストリングスが硬くなると、座ったときに坐骨を立てることができなくなり、よい姿勢を保つことが難しくなるのです。
このため、ハムストリングスが硬くなると、悪い姿勢が続いてしまい、腰痛になると考えられます。

●大殿筋

大殿筋はお尻の筋肉です。
腰のくびれを、横から両手で触ると、硬い骨が背中の方までぐるっと触れます。
この骨を腸骨(ちょうこつ)といい、骨盤のまるで象の耳のような部分の骨になります。
この左右の腸骨の背中側と、それを真ん中でつなぐ仙骨(せんこつ)、先ほどの坐骨から、太ももの大腿骨(だいたいこつ)へ大殿筋がくっつきます。
この筋肉が硬くなると、骨盤を後ろに倒すように引っ張ってしまいます。
すると、先ほどのハムストリングスと同じように、骨盤を悪い姿勢へと誘導してしまうのです。
このため、大殿筋を柔らかくする必要があります。

●広背筋

広背筋は字のごとく、背中側に広くくっつく大きな筋肉です。
この筋肉は先ほどの腸骨の背中側から、肩甲骨(けんこうこつ)、腕の骨である上腕骨(じょうわんこつ)までくっつきます。
背中の筋肉は、ミルフィーユのように層になっており、この広背筋は上の層にあります。
ミルフィーユを上からフォークで圧迫すると、下の層も圧迫されてしまいます。
この原理と同じで、上の層の広背筋が硬くなることによって、その下層にある筋肉も圧迫され硬くなり、血流が悪くなることで痛みが生じます。
このため、広背筋の柔らかさも非常に重要となります。

理学療法士が厳選するストレッチ3選!

ストレッチの内容は、厚生労働省介護予防マニュアル(2012)を参考にまとめました。

●ハムストリングスに対するストレッチ

  1. 1)椅子に浅く腰掛けます。
  2. 2)右膝をできるだけ伸ばし、踵(かかと)を床につけつま先を持ち上げます。
  3. 3)股関節から曲げるようにしながら、右のつま先を触るように手を伸ばしていきます。
    このとき、膝が曲がらないように注意しながら、無理せず実施しましょう。
  4. 4)太ももの裏側にストレッチ感がでてきたら、心地よいところで止め20秒数えます。
  5. 5)終わったら膝を曲げ、反対側も行います。
  6. 6)それぞれ2~3セット実施しましょう。

●大殿筋に対するストレッチ

  1. 1)椅子に深く腰掛けます。
  2. 2)右の股関節を胸にかかえこむように、手の力で引き上げながら曲げていきます。
    このとき反対側の足は、床にしっかりつけておきます。
  3. 3)かかえている側のお尻にストレッチ感がでてきたら、心地よいところで止め20秒数えます。
  4. 4)終わったら足を下ろし、反対側も行います。
  5. 5)それぞれ2~3セット実施しましょう。

●広背筋に対するストレッチ

  1. 1)椅子に腰掛けます。
  2. 2)右手をできるだけ高くバンザイします。
    このとき、できるだけ耳に腕が触れるように、無理せず上げていきます。
  3. 3)胸を張ったまま、体を真横に倒していきます。
  4. 4)倒した反対側の脇腹あたりにストレッチ感がでてきたら、心地よいところで止め、20秒数えます。
  5. 5)終わったら3)の姿勢に戻り、反対側も行います。
  6. 6)それぞれ2~3セット実施しましょう。

どのくらいの頻度で実施すればいいの?

中尾ら(2015)によると、ハムストリングスのストレッチ効果について、大腿二頭筋と半腱様筋は10分後、半膜様筋は20分後まで効果が持続したと報告しています。
逆にいいますと、10分以降から徐々に筋肉の緊張が高まってしまいます。
このため、日中にできるだけ頻回に、実施していただくことをオススメします。
決して難しい内容ではありませんので、最初のみ方法を指導し、セルフエクササイズとして実施していただくとよいでしょう。

また、実施頻度と同じくらい、注意していただきたいポイントが3つあります。

1)呼吸を止めない

呼吸を止めてしまうと、筋肉の緊張が強くなってしまうため、逆効果です。
ゆっくりと深呼吸しながら行うことを意識しましょう。

2)無理をしない

ストレッチ感がでたところから無理に伸ばそうとすると、痛みがでてしまいます。
この痛みが、ストレッチしてはいけないという情報になってしまい、余計に固くしてしまいます。
このため、心地よいところで止めるようにしましょう。

3)反動をつけない

筋肉は、ある一定のところまで伸ばしてしまうと、逆に縮んでしまう性質があります。
この現象を防ぐには、反動をつけずにゆっくりとストレッチすることが必要です。
ゆったりと伸ばすことを意識しましょう。

まとめ

腰痛に対するストレッチ方法についてまとめました。
腰痛に関わる筋肉の特徴や、なぜ硬くなってしまうのかを理解することでもストレッチの効果が高まります。
普段から姿勢に気をつけていただくことはもちろん、効果的にストレッチを実施することで腰痛の予防に努めていただけたらと思います。

参考:
中尾彩佳,中村雅俊,他;ハムストリングスのストレッチング効果の持続時間の検討.理学療法学Supplement.2015(2018年2月5日引用)
厚生労働省 介護予防マニュアル 運動プログラム事例(2018年2月5日引用)

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