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リハビリについて

介護現場で低周波を使っていますか?リハビリに導入したい効果や活用方法

低周波は整形外科では珍しくない治療機器ですが、介護施設では導入されているところは多くありません。
ここでは、介護施設で活用するために、低周波のリハビリ効果や活用方法について、具体例を交えてご紹介します。

低周波ってなに?低周波治療機器について分かりやすく解説します

最近はさまざまな電気治療機器が普及しており、一言で低周波といっても、どんな治療機器なのか分かりづらいのではないでしょうか?
そこで、低周波治療機器について、どのようなメカニズムで人体に作用するのかを解説します。
また、人体に与える影響を踏まえ、使用上の注意点や禁忌事項を紹介します。

●低周波が人体に作用するメカニズム

低周波は皮膚を介して体内に電流を流す治療の一つですが、なぜ電流を流すことが治療につながるのでしょうか?
それを理解するためには、まず私たちが筋肉を使って体を動かすメカニズムを理解する必要があります。
筋肉を動かすためには、脳からの指令が電気信号となって神経を伝わっていく必要があります。
そして、神経からの刺激が筋肉へと伝わることで、筋肉が収縮して体が動くのです。
低周波機器によって電流を流すことで、脳からの指令がなくても、神経や筋肉に刺激が加わります。
その結果、刺激された筋肉が収縮して、手足の運動が生じるのです。
また、村岡ら(2017)によると、神経や筋肉に電流を加えることで、脊髄などの
中枢神経も刺激され、病気によって失われた機能を回復させる働きがあることも認められています。

●低周波を使用する上での注意点や禁忌事項

低周波機器により電流が人体を流れることや、皮膚を介して実施する治療であることなどを考慮して、以下のような注意点、禁忌事項があります。

  1. 1)心臓ペースメーカーや重篤な心臓疾患のある方
  2. 2)血栓のある方
  3. 3)皮膚の傷や腫脹のある方
  4. 4)妊娠中、生理中の方
  5. 5)悪性腫瘍の方
  6. 6)頸部や喉(のど)への使用
  7. 7)知覚障害のある方

心臓ペースメーカーは電気刺激により心臓を動かすため、低周波により誤作動を招くリスクがあります。
血栓や皮膚の傷は、筋肉の収縮が血栓の遊離や傷の開放を招く恐れがあります。
頸部や喉への刺激は、頸動脈洞と呼ばれる血圧を調整する部分が刺激される恐れがあり、使用しないようにしましょう。
また、妊娠、生理、悪性腫瘍などは、腹部や患部に電流が流れることで悪影響をおよぼすリスクが考えられるため、使用は控えましょう。
知覚障害がある場合は、皮膚に刺激を感じにくくなるため、強すぎる刺激を与えないように注意が必要です。

麻痺があってもトレーニングが可能!低周波の効果は運動機能の改善と痛みの緩和

低周波には、主に2つの治療効果があります。
一つは運動機能の改善、もう一つは痛みの緩和です。
ここでは、文献を交えながら、低周波のリハビリ効果を解説していきます。

●低周波による運動機能に対する効果

庄本ら(2013)によると、心不全や慢性閉塞性肺疾患の方で自力での筋力トレーニングが十分に行えない場合でも、低周波機器による電気刺激が、筋力を改善させる効果があるとしています。
また、人工膝関節置換術後の方では、理学療法のみ実施するよりも、理学療法と電気刺激を併用したほうが脚の筋力が有意に改善したとの報告もあります。
これらの報告から、低周波による電気刺激は筋力を改善させる効果が期待できます。
脳卒中後の麻痺に対する効果は、村岡(2017)の研究が興味深いです。
電気刺激を与える低周波機器を使用した結果、脳からのわずかな指令を感知して、脳卒中により障害されていた上肢の機能が改善されたと報告しています。
脳卒中理学療法診療ガイドラインでも、電気刺激療法はエビデンスレベル2「行うように勧められる科学的根拠あり」とされており、麻痺のある方に対しても、低周波機器の使用は有効です。
以上のように、低周波機器は筋力低下や麻痺など運動機能の障害に対して有効なのです。

●低周波による痛みに対する効果

低周波は痛みに対する効果も認められています。
ただし、中野ら(2016)によると、手術直後の急性期の痛みには効果が確認されているものの、その他の場合は高いエビデンスが得られていないと報告されています。
また、痛みの原因を判断して、治療を行うには医師の診察や診断が重要です。
そのため、医師が不在である介護施設などでは積極的に実施することが難しく、痛みに対しての効果を目的に低周波機器を使用するリスクは高いといえます。

低周波を使いこなすためには!?介護事業所での活用法を実例を交えて紹介します

ここでは、実際に低周波を使用している介護事業所を例にあげて、その活用法を紹介します。
松山ら(2008)によると、デイケアを利用する方に低周波機器を使用したところ、患側の膝を伸ばす筋肉の力が改善したと報告しています。
安全面も問題なく、介護事業所における有効性が示された研究です。
実際に筆者の施設でも、電気刺激と歩行やスクワットなどの運動を併用しています。
介護事業所では、利用中の運動時間、スタッフの指導時間が限られており、利用時間の中で、より効果的な運動を実施する必要があります。
そのため、ただ運動だけを行うよりも、運動と電気刺激を併用することで、より効果的な運動効果を得るようにしています。
最近は、在宅向けの低周波治療機器も発売されており、操作方法も分かりやすくなっています。
筆者の働く事業所でも、何度かスタッフと操作方法を練習して、機器の装着から操作まで、自分で実施される方もいます。
また、男性の利用者さんに興味を持つ方が多く、運動に対する意欲が高まっている方もいます。
これらの取り組みにより、サービスの利用増加や口コミによる利用者の増加につながったケースもあります。

介護施設への低周波機器の導入は、サービスの質を向上させる!

介護事業所において低周波はあまりなじみのない治療機器かもしれません。
しかし、さまざまな研究の結果、運動機能に対する効果が示されており、介護事業所における低周波機器の導入は、サービスの質を向上するための一助となります。
ほかの事業所との差をつけ、地域で評判の介護事業所になるためにも、低周波機器の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

参考:
伊橋光二,斎藤昭彦:電気療法,標準理学療法専門分野物理療法学 第2版.網元和(編),医学書院,東京,2004,pp126-167
庄本康治:物理療法のグローバルスタンダードの理解と展開.理学療法学40(7):583-588,2013.
村岡慶裕:IVESの開発と今後の展開.Journal of Rehabilitation Medicine54:23-26,2017.
中野治郎,坂本淳哉,他:疼痛に対する物理療法の基礎的背景とエビデンス.理学療法33(5):416-423,2016
松山旭:要介護者への電気刺激による筋力増強効果とその安全性.名古屋市立大学看護学部紀要7,2008.
脳卒中理学療法診療ガイドライン(2018年1月23日引用)
オージー技研株式会社 OGwellness. (2018年1月23日引用)

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