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リハビリ専門職が看護師に伝えるADL改善のリハビリ

医療現場において、看護師とリハビリ職が連携をとることは一般的になりつつあります。
本記事では、連携に悩む病院勤務の看護師に向けて、リハビリ専門職とどう連携を図ればいいのか、またリハビリ専門職はなにを考えているかについて、現役の理学療法士が解説します。

病棟でのリハビリなくしてADLの改善はない?看護師には感謝の日々

リハビリと聞くと、リハビリ室での関節運動や歩行練習がイメージしやすいですが、ここでは看護師がおこなうリハビリの重要性について解説します。

●セラピストの介入だけでは患者さんのADLは向上しない

どこの病院にも共通することですが、リハビリ専門職(以下セラピスト)が介入する時間は1日20〜60分とごくわずかです。
日常的に食事や排泄、更衣や入浴動作を介助するのは看護師であり、限られたリハビリ時間よりも、いかに普段の病棟生活のなかで活動量を上げることができるかが重要になります。
セラピストが患者さんの運動能力を見極め、看護師が適切な動作介助をおこなうことによって、できる動作を増やしていくことが理想的なリハビリであるといえます。

●患者さんの「できる可能性」を看護師が教えてくれる

限られた時間内で、担当セラピストが患者さんの「どこまでできるか?」といった能力を把握するには限界があります。
そのため、事前に「要介護4」「ベッド上の生活が中心」という情報があれば、起き上がり練習や座位練習を中心にメニューを組んで、現状維持を目標にすることも多いです。
しかし、病棟の看護師さんから「自分でトイレに移乗できましたよ」や、「手引きで歩くことができますよ」などと、セラピストが気づかなかった能力を教えてもらえれば、患者さんの実際の状態に見合ったトレーニングを行うことができます。
ここでの連携がうまくいくと、その後のリハビリ目標やメニューの変更も適切に行えるので、患者さんの「できる可能性」をさらに広げることができます。

リハビリ専門職は、同じ動作介助でも見ている視点が違う?

今度は、病棟で経験することが多い車椅子への移乗と歩行を例にあげて、セラピストがなにを考えて介助をしているかについて解説します。

●車椅子移乗では、動作を通じて必要な介助量を見極めている

脚の筋力が低下している方や、こちらからの指示がうまく伝わらない方の場合、どうしても介助量が多くなりがちです。
しかしセラピストは、どのタイミングでどの程度介助すればよいかを、動作のなかで確認するようにしています。
「看護師と同じ体格の女性セラピストがなぜ一人で介助できるの?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、この介助量の見極めがセラピストの特長的な能力といえるでしょう。

●歩行練習では、転倒予防の対策を常に考えている

トイレへの移動などで、患者さんの歩行介助をする機会は多いと思いますが、「フラフラしているけど転倒しないかな?」と不安に感じることはないでしょうか。
筆者は、病棟の看護師と歩行練習について話をするときには、転倒予防のために以下の点を伝えるようにしています。

  • どんな状況が危険か
  • なにが原因で転倒するか
  • どうすれば予防できるか

セラピストがこうした情報を細かく伝えることで、やみくもに「歩行が危ない」といった認識を薄め、看護師が注意すべきポイントが明確になるのです。
例として、「20mくらい歩くと疲労で膝が崩れる可能性があるので、それ以上の距離を歩くときは歩行器を使ったほうがいいですよ」と具体的に話すと伝わりやすいです。

看護師がリハビリ専門職と連携するために確認しておきたい2つのポイント

ここでは、看護師が病棟でリハビリを実施する際、担当セラピストに確認しておきたいこと、連携を進めるためにおさえておきたいポイントについてご紹介します。

1.起き上がりや移乗動作にどのくらいの介助が必要か

日々の看護業務のなかで、起き上がりや車椅子移乗の介助を実施することは多く、適切な介助方法を確認しておくことは重要です。
以下に要点をあげておきます。

◯どの行程に介助が必要か

ベッド上では、寝返りから起き上がり、座位保持など複数の行程があります。
どのタイミングでどの程度の介助が必要かを確認し、過度な介助をしないことが患者さんの能力を伸ばすための第一歩です。

◯一人で対応可能か

入浴や検査の予定が入っている場合、あらかじめ必要な介助量を把握しておくことは、日々の業務を円滑に進めるうえでも重要です。
要介護度が高い患者さんでは、車椅子移乗をするために何人のスタッフが必要かを確認しておくことをおすすめします。

2.病棟でできるリハビリメニューを確認する

病棟でのリハビリは重要ですが、ほかの業務との兼ね合いもあり、マンツーマンで機能訓練を実施することは難しい場合が多いです。
そのため、普段の看護業務のなかでリハビリ効果を得られる動作を取り入れることが望ましいといえます。
以下にトイレ介助場面を例にあげて、看護業務のなかに取り入れられるリハビリのポイントをご紹介します。

◯起き上がりと車椅子移乗

前項でご紹介したとおり、まずはどの行程に介助が必要なのかを確認し、できる動作を自分でしてもらうことが重要なリハビリになります
便座への移乗の際は、手すりを把持すれば自分で立てるのか、方向転換のときに転倒のリスクはないかを確認しておくことも忘れないようにしましょう。

◯歩行介助

どのくらいの距離を歩けるか、介助するときはどこを把持すればよいか、転倒するとしたらどのような場面であるかを確認し、それらを考慮して安全に歩行ができる環境を整えることが大切です。
つえや歩行器などの歩行補助具が必要な場合は、担当セラピストに連絡して貸し出しの依頼をするとよいでしょう。

◯ズボンの上げ下ろし動作

立位での更衣動作は、下肢の筋力やバランス能力が必要になるため、転倒のリスクが高いです。
しかし、手すりを把持すれば片手でズボンを上げることができる方もいるので、患者さんの能力によって、リスクや介助量も変わってきます。
言葉で説明されてもわかりにくい場合は、最初のトイレ介助場面でセラピストに同席してもらうことも有用です。

気心知れた関係づくりが連携への第一歩

現役理学療法士の立場から、リハビリ専門職と看護師の連携に重要となるポイントについてご紹介しました。
多職種との連携は顔の見える関係づくりにはじまり、お互いの専門性を認め合うことが重要となります。
お互いに「リハビリの人はなにをしているのかわからない」、「看護師さんは忙しそうだからあまり話せない」という気持ちのままだと、質の高い医療は提供できないでしょう。
まずは、気心知れた仲間をつくるために、声をかけるところからはじめてみませんか?

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