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20歳以上の女性の8人に1人は低栄養?新型栄養失調について、医療者が把握しておきたいポイントを解説!

皆さんは、新型栄養失調という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
飽食と呼ばれる現代なのにも関わらず、高齢者から若い世代にまで、栄養失調状態の方が増えているのです。
今回は、医療者としてぜひ把握しておきたい新型栄養失調についてご紹介します。

栄養失調の診断基準をおさらいしよう

新型栄養失調について知る前に、まずは栄養失調の診断基準について、おさらいします。
焼津市立病院の栄養サポートチーム(NST)が栄養状態の評価時に使用している検査項目および参考値は、以下の通りです。

正常値 軽度栄養障害 中度栄養障害 高度栄養障害
Alb(g/dl)
血清アルブミン
4.0~5.0 3.0以下 2.0~3.0 2.0以下
Ch-E(IU/I)
コリンエステラーゼ
男性:242~495
女性:200~459
設定なし 50~100 50未満
Hb(g/dl)
ヘモグロビン
男性:13.5~17.6
女性:11.3~15.2
設定なし 7~9 7未満
TLC(/μl)
総リンパ球数
2,000以上 1,200~2,000 800~1,199 800未満

血液データの参考値は医療機関によって数値に違いがあるため、この数値はあくまで参考値となります。
では、それぞれの検査項目について、もう少し詳しく見ていきましょう。

●Alb アルブミン

血清アルブミンとは、血液に含まれているタンパク質のうち約6割を占めている成分です。
血液中において、栄養や代謝物質の運搬をしたり、水分を血管内にとどめられるよう、浸透圧の維持が主な役割です。
アルブミンが低下すれば、栄養や代謝物質の運搬ができなくなるため、体内の栄養状態を測る上で重要な指標となります。

●Ch‐E コリンエステラーゼ

コリンエステラーゼとは、肝臓で合成され、血液中に分泌されている酵素の一種です。
肝臓は栄養分の分解・合成や栄養分を貯蔵する働きがあります。
コリンエステラーゼは肝臓の機能がどれくらい働いているかを示す数値となるため、この値が低いと、タンパク質やエネルギーが十分に摂取できていないことによる低栄養状態であることが分かります。

●Hb ヘモグロビン

ヘモグロビンとは、赤血球に含まれる成分であり、酸素を運搬する働きを担っています。
ヘモグロビンの生成には食事から摂取する鉄分やビタミンが必要なため、これらが欠乏すると、数値も低下します。

●TLC 総リンパ球数

総リンパ球数は、免疫機能を測る指標の一つです。
栄養が不足すると、リンパ節や扁桃腺などの免疫組織が委縮してしまいます。
また末梢血のリンパ球数も減少するため、体内の異物を排除する機能が低下してしまいます。
体内の免疫組織そのものの委縮、そして異物を排除する機能の低下。
栄養状態が悪化すると、この2つの低下によって免疫機能は低下してしまいます。
よってこの数値を測定し、低い値だった場合は栄養状態が悪いという指標になります。

新型栄養失調は、食べているのに栄養が摂れていない状態

栄養失調とは、これまで「食事量が少ない、あるいは食事が取れないために起こる状態」を指していました。

先ほどご紹介した栄養状態の評価時に使用される検査項目から、栄養状態を維持するためには

  • ・タンパク質
  • ・ビタミン
  • ・鉄分
  • ・エネルギー

が重要であることが、お分かりいただけるかと思います。
しかし新型栄養失調とは、食事量が少ない、あるいは食事が取れないために起こる状態ではなく、食事そのものは取れているにも関わらず、

  • ・同じものを食べる
  • ・買い物や料理がおっくうになる
  • ・食生活が単調である
  • ・食事の回数が減る
  • ・肉や魚を食べない
  • ・野菜を食べない

といった状態のために、栄養バランスが崩れてしまうことで起こります。

厚生労働省が2016年に行った調査によると、65 歳以上の高齢者のうち、17.8%、高齢者の6人に1人が低栄養状態であることが分かっています。
しかし、新型栄養失調は高齢者だけの問題ではありません。
NHKの報道によると、20代から30代の女性が1日に摂取するエネルギー量の平均が1,479kalと終戦直後よりも栄養飢餓状態であることが分かった、というのです。
若い女性が栄養飢餓状態であることを裏付けるように、

  • ・働く女性の5人に1人は3カ月以上生理がこない無月経を経験している
  • ・低出生体重児の割合が増加傾向

といったような体や将来への影響がすでに出始めています。

若い方であっても、仕事で忙しいなどの理由により、

  • ・ご飯やパンなど、主食だけで食事を終わらせてしまう
  • ・食事のカロリーだけを気にしてしまい、肉や魚を控えてしまう
  • ・丼ものやファストフードで食事を終わらせてしまい、野菜を食べていない

といった状態が続くと、栄養状態を維持できず、栄養失調状態となってしまうのです。
このように、新型栄養失調は高齢者の問題だけではなく、もはやどの世代にとっても深刻な健康問題である、ということがいえます。

20歳以上の女性のうち、約8人に1人は低栄養状態の中リスクに分類

高齢者に限らず、どの世代であっても注意したい栄養状態。
低栄養状態かどうかを判断する指標の一つとして、厚生労働省が提示している「低栄養状態のリスクの判断」があります。
それが、下記の表です。

低栄養状態のリスクの判断
リスク分類 低リスク 中リスク 高リスク
BMI 18.5~29.9 18.5未満
体重減少率(※1) 変化なし
(減少率3%未満)
1か月に3~5%未満
3か月に3~7.5%未満
6か月に3~10%未満
1か月に5%以上
3か月に7.5%以上
6か月に10%以上
血清アルブミン値 3.6g/dl以上 3.0~3.5g/dl 3.0g/dl未満
食事摂取量 76~100% 75%以下
栄養補給法 項目なし 経腸栄養法
静脈栄養法
褥瘡 項目なし 項目なし あり

※1 体重減少率の算出方法
(通常時体重−実測時体重)/通常時体重×100

この表ですべての項目が低いリスクに該当する場合のみ、「低リスク」と判断されます。
項目のうち、1つでも高リスクに該当すれば、ほかの項目は関係なく高リスクと判断します。
それ以外の場合は、中リスクと判断されます。

この項目のうち、特に注目したいのがBMIです。
厚生労働省の「2016年度国民健康・栄養調査結果の概要」によると、20歳以上でBMIが18.5未満である女性の割合は12.7%です。
この数値は、20歳以上の女性の約8人に1人は低栄養状態の中リスクに分類されてしまう、ということを示しています。
若い世代であっても新型栄養失調に陥っていることが、このデータからもお分かりいただけるかと思います。

どんな患者さんでも栄養状態も確認する習慣をつけよう

高齢者はもちろんのこと、若い方であっても栄養失調の状態であることは、珍しいことではありません。
栄養失調状態になることで、易感染状態になる、筋力が低下するなどさまざまな影響がでる恐れがあります。
患者さんをアセスメントする際は年齢に関わらず、必ず栄養状態を確認する習慣をつけることをおすすめします。

参考:
焼津市立病院 低栄養患者の診断基準(2018年6月25日引用)
チクバ外科・胃腸科・肛門科病院  血清アルブミン についてもっと知ろう!(2018年6月25日引用)
一般財団法人 日本健康増進財団 肝臓の検査(2018年6月25日引用)
一般財団法人 日本健康増進財団 貧血の検査(2018年6月25日引用)
大洲記念病院 NSTニュース 2013年6月号(2018年6月25日引用)
NHK 終戦直後より飢餓状態?(2018年6月25日引用)
健康長寿ネット 高齢者の低栄養対策ための食生活とは(2018年6月25日引用)
健康長寿ネット 低栄養(2018年6月26日引用)
健康長寿ネット 体重減少(2018年6月26日引用)
厚生労働省 18【栄養マネジメント加算様式_FIX】(2018年6月26日引用)
東員町 高齢者の栄養(低栄養)について(2018年6月26日引用)
厚生労働省 2016年度 国民健康・栄養調査結果の概要(2018年6月26日引用)

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