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急変時の報告がうまくできない?SBAR(エスバー)を活用すれば、情報伝達力をスキルアップできます

急変時の報告が苦手だという看護師は多いものです。
しかし、患者さんの変化をキャッチできても、伝達できなければその情報を生かすことはできません。
本記事では確実なコミュニケーションのためのツール、SBAR(エスバー)についてお伝えします。

効果的なコミュニケーションに必要な4つの要素

まず、相手に伝えるためにはどんなことが必要なのかを確認してみましょう。
鈴木らは、効果的なコミュニケーションの特徴は以下の4つであると述べています。

完全であること 必要な情報をすべて揃えて
明確であること(Clear) 分かりやすい言葉、共通の用語を使ってはっきり理解できるように
簡潔であること(Brief) 手短に
適時であること(Timely) 適切なタイミングで 適切な時間枠内で

どれも当たり前のことのようですが、多くの情報を明確に、簡潔に、適時に伝えることの難易度は考える以上に高いものです。

SBAR(エスバー)は報告で活用できるコミュニケーションツール

SBAR(エスバー)は、もともとアメリカ海軍が潜水艦内での情報伝達手段として使っていたツールです。
状況・背景・評価・提案の頭文字をとってSBAR(エスバー)と呼ばれています。

Situation(状況) 患者さんになにが起こっているか
Background(背景) 今までの経過
Assessment(評価) どのようなことが考えられるか
Recommendation(提案) 具体的になにを依頼したいか

コミュニケーションエラー防止を強化するために、I(自分が何者で、誰の報告をしているのか)とC(復唱して確認する)を追加して、ISBARCとすることもあります。

Identity(報告者、対象者の同定) 自己と患者さんの同定
Confirm(口頭指示の復唱確認) 指示内容の復唱

SBARの具体的な使いかた

SBARのそれぞれの項目で報告するべき内容を以下にまとめます。

I(自己、患者さんの同定) ○○病棟のK(自分)です。
△△先生の患者Sさんについてです。
(夜間など、主治医以外への報告もあり得る)
S(状況) 緊急性の高い情報から伝える
B(背景) 今回の入院理由(手術や治療の内容)
既往歴やアレルギーなど
A(評価) フィジカルアセスメントから自身が考えること
私は~ではないかと思う
原因ははっきりしないが、悪化している
R(提案) すぐに来てほしい
指示がほしい
さらに悪化するようならどの時点で再度報告すればよいか
C(復唱) ~ですね(指示を復唱して確認する)

SBARの構成が分かったところで、実際にSBARを使った報告を考えてみましょう。

●事例

幸一さん(仮名)85歳男性。
既往歴に心房細動があり、ワーファリン内服中。
ソ径ヘルニア手術のため一週間前からワーファリンを中止していました。
手術当日病室へ行くと、幸一さんはベッドに横たわりボーっとしています。
声を掛けると言葉をはっきり話すことができず、手足の動きも悪いようです。

これは筆者が病院勤務をしていた頃に実際にあった事例をもとに作成しました。
当時、慌てながら主治医に報告し「だから、何なの?」といらだった返答をされて落ち込んだことを覚えています。
なにかおかしいと分かっていても、順序だてて説明できず、前置きが長くなってしまい緊急性が伝わらなかったのだと推測できます。
医師に伝わらない報告は、結果として患者さんに不利益をもたらします。
この事例を、ISBARCで報告するとどのようになるでしょうか。

  • I:看護師のKです。本日ソ径ヘルニアで手術予定の幸一さんについてご報告です。
  • S:9時に術前処置で訪室したところ、意識レベルJCSⅠ‐3、構音障害、右半身に不全麻痺がありました。 夜勤の看護師が6時に訪室した際は変わりなかったそうです。バイタルサインは○○です。
  • B:幸一さんは既往に心房細動がありますが、手術のため、一週間前からワーファリンを休薬しています。
  • A:脳梗塞を起こしたのではないでしょうか。
  • R:すぐに診察をお願いします。
  • C:頭部MRIの依頼をすればよろしいのですね。

自身の所属、名前、患者さんの名前を告げたあと、S(状況)で一番初めに意識レベルの低下、構音障害、麻痺という「緊急性の高い情報」を伝えることで、相手に「これは重要な報告だ」と認識してもらうことができます。

●フィジカルアセスメント力を向上させることも必要

SBARで一番の難関はA(アセスメント)ではないでしょうか。
確かにS(状況)とB(背景)だけでも、患者さんの状態を伝えることはできます。
しかし、看護師はフィジカルイグザミネーション※1を駆使して患者さんの情報を収集し、患者さんの訴えと併せて「状態が変化している」または「普段と変わりない」というフィジカルアセスメント※2に結び付けているはずです。
フィジカルアセスメントによって「状態が変化している」と考えたうえで、その後の行動(報告)を起こしているのですから、報告の際は自身はなにが問題だと考えているのか、どんなことが起きていると予想しているのかを伝えることは大切ではないでしょうか。
そのためにはフィジカルアセスメント力向上のための取り組みが必要です。

※1 フィジカルイグザミネーション(身体診査):患者さんの客観的情報を得るための方法や手段(視診・触診・聴診・打診・バイタルサイン測定など)のこと
※2 フィジカルアセスメント:問診によって患者さんやご家族から得た主観的情報と、フィジカルイグザミネーションで収集した客観的情報を統合して、患者さんの状態を総合的に判断すること

SBARは急変時以外のコミュニケーションにも使える

SBARは急変時に限らず、通常のコミュニケーションでも使うことができます。
多職種連携が叫ばれ、特に看護師は他職種との密接な関わりを求められています。
多職種間での報告・連絡・相談に、SBARを活用してみてください。
相手に確実に伝えるコミュニケーションを意識することで、連携も強化できるでしょう。

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参考:
鈴木明,種田憲一郎:チームSTEPPS(チームステップス)‐チーム医療と患者の安全を推進するツール‐,日臨麻会誌Vol.33No.7,999‐1005,2013.
東京慈恵会医科大学附属病院看護部・医療安全管理部:TeamSTEPPSを活用したヒューマンエラー防止策 SBARを中心とした医療安全のコミュニケーションツール,日本看護協会出版会,2017,pp.42‐44.

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