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クリニック・治療院 OGメディック

  • 桑原

    公開日: 2019年01月24日
  • 患者さんのケア

内部障害リハビリは生命予後・入院期間にも影響する!包括的リハの重要性

内部障害のリハビリにおいて推奨度の高いエビデンスは、心疾患、呼吸リハビリの一部で有効性が示されています。
そして生命予後や入院期間に影響を与え、QOLの向上などさまざまな効果が存在します。
内部障害リハビリは運動療法だけでなく、栄養や薬物指導など多職種による長期的かつ包括的な評価が必要です。

内部障害リハビリは生命予後・入院期間にも影響する!包括的リハの重要性

内部障害のリハビリはどうして必要なのか

部障害のリハビリはどうして必要なのか

我が国での内部障害の定義は、◯視覚 ◯聴覚 ◯言語 ◯肢体不自由と内部に分けられた身体障害の1つであります。
厚生労働省は心臓、呼吸器、腎臓、肝臓、膀胱直腸、小腸、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能不全(HIV)の7つ分類しています。
内部障害は症状と程度により、身体障害者手帳の交付を受けられることがあります。

・内部障害にリハビリが必要なわけ

内部障害はその種類にもよりますが、疾患の増悪や病態によっては安静が必要なことから、廃用性症候群を起こしやすくなります。
そして根本である内部障害も悪化してしまうという悪循環に陥ることがあります。
例えば、内部障害の一つである心疾患の患者さんは血圧や脈拍のコントロール不良などにより、運動制限を必要とします。
呼吸器疾患の患者さんは、運動ならびに日常生活動作での息切れの出現や、血中酸素飽和濃度の減少により活動範囲が制限される場合もあります。
上月によると、こうした身体活動の制限は、さまざまな臓器の機能低下、能力の低下を引き起こし、また精神面などにも影響を及ぼします。
そして、高血圧や肥満、糖尿病なども引き起こし、結果的に寿命を短縮してしまうという悪循環に陥ってしまいます。
そのため、薬物療法や食事療法などの治療に加えて運動療法を行うことで、悪循環の連鎖を断ち切ることが必要となります。(出典:日本リハビリテーション医学会)

内部障害リハビリは寿命の延長や入院期間の短縮にも効果がある

内部障害の中でも呼吸や心疾患に対するリハビリは、それらのガイドラインにも明記され、推奨される有効な治療として重要な位置を占めています。

・内部障害リハビリの効果

内部障害リハビリの効果は以下があります。
◯運動耐容能の改善
◯QOLの改善
心疾患においては
◯生命予後の改善
◯冠危険因子の是正
◯冠循環の改善など
呼吸器疾患において
◯入院回数や日数の減少
◯呼吸困難感の改善
腎疾患においては
◯サルコペニアの改善
PEW(Protein-Energy Wasting)と呼ばれる蛋白質・エネルギーの摂取障害による栄養障害の予防
などが主なものです。

・内部障害のリハビリにおけるエビデンス

内部障害のリハビリにおけるエビデンス

心臓リハビリは、社会復帰を目標に行われる数ヶ月の回復期リハビリによりエビデンスが達成されます。
また心筋梗塞、狭心症、冠動脈バイパス・弁膜症・動脈瘤術後、心不全などの長期生命予後を改善するエビデンスがあるとしています。
心臓リハビリの場合、急性期は発症や術後から自宅に帰るまでとされ、回復期は社会復帰などを目的としています。
呼吸リハビリは患者教育や栄養指導、運動療法をもとにする6~12週の有益な効果があり、エビデンスがあるとしています。

◯社会復帰のために

復職の必要性、居住地域などにもよりますが、歩行などの運動に対する耐容能、薬の服用、冠危険因子是正のための栄養指導などの要素をクリアしていく必要があります。

◯長期に渡る治療

運動能力に合わせ、強度を徐々に強くしたり、薬の飲み忘れがないかどうか、体重増減や血液検査などによる冠危険因子の数値の推移などを確認することが必要となります。
(出典:上月正博:内部障害のリハビリテーション理論と実際)

内部障害リハビリは運動療法だけではなく包括的なアプローチが重要

具体的には薬物療法、栄養指導、患者教育、カウンセリングなどと運動療法を組み合わせたものであり、社会や家庭復帰だけではなく、再発や増悪の予防などを見据えたものとなっています。
このような包括的なアプローチは、さまざまな職種の医療従事者がチームを作って、患者さん個人の能力や疾患に合わせて行う必要があります。

・内部障害に対するさまざまな認定資格と資格取得可能な職種

内部障害のそれぞれに特化した学会があり、中には認定資格を制定しているものもあります。以下はその一部です。

3学会合同
呼吸療法認定士
胸部外科、呼吸器、麻酔科学会の3つの学会で構成される委員会よる認定資格。
資格取得が可能な職種:看護師、准看護師、臨床工学技士、理学・作業療法士
心臓リハビリ
テーション指導士
日本心臓リハビリテーション学会の認定による認定資格。
資格取得が可能な職種:医師、看護師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、管理栄養士、薬剤師、臨床工学技士、臨床心理士、健康運動指導士
日本糖尿病療法
指導士
糖尿病学会、病態栄養学会、糖尿病・教育看護学会が設立した指導士認定機構による認定資格。
資格取得が可能な職種:看護師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士、臨床検査技師。
栄養サポート
チーム専門療養士
静脈経腸栄養学会が資格を認定する
資格取得が可能な職種:歯科医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師、理学療法士、言語聴覚士、作業療法士、歯科衛生士
呼吸ケア指導士 呼吸ケア・リハビリテーション学会が認定する資格。
資格取得が可能な職種:医師、看護師、歯科医師、薬剤師、理学療法士、放射線技師、作業療法士、栄養士・管理栄養士、臨床検査技師、臨床工学技士、言語聴覚士、介護福祉士

このようにさまざまな職種が認定資格により知識や技術の共有が可能であり、内部障害の患者さんに対してより良い医療が提供可能です。

内部障害リハビリは継続したリハビリが大切

内部障害リハビリは、いくつかのエビデンスが示されたものがあり、運動療法だけでなく、薬物や栄養などの側面からのアプローチも必要です。
それには、リハビリスタッフだけでなく、さまざまな職種がチームを組んで、患者さんにあった包括的なリハビリが重要となります。
また短期間ではなく、長期のリハビリにより高いエビデンスが得られるため、継続したリハビリを行えるようにすることが大切です。

参考:
公益社団法人 リハビリテーション医学会 腎臓、肥満、糖尿病、サルコペニアのリハビリテーション(2018年7月26日引用)
厚生労働省 身体障害者手帳制度における肝臓機能障害について(概要) (2018年7月26日引用)
上月正博:内部障害のリハビリテーション:理論と実際 ,Jpn J Rehabil Med 2013 ; 50 : 212-224 .2013
上月正博、上好昭孝:第44回日本リハビリテーション医学会 学術集会 パネルディスカッション 内部障害リハビリテーションの実学- 心臓・腎臓・呼吸- .Jpn J Rehabil Med 2008 ; 45 : 157.183 .2008

  • 執筆者

    桑原

  • 1998年理学療法士免許取得。整形外科疾患や中枢神経疾患、呼吸器疾患、訪問リハビリや老人保健施設での勤務を経て、理学療法士4年目より一般総合病院にて心大血管疾患の急性期リハ専任担当となる。
    その後、3学会認定呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士の認定資格取得後、それらを生かしての関連学会での発表や論文執筆でも活躍。現在は夫の海外留学に伴い米国在中。
    保有資格等:理学療法士、呼吸療法認定士

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