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後遺症の残りやすい踵骨骨折!後遺症軽減のために取り組みたいリハビリを紹介します!

踵骨骨折は疼痛や変形、可動域制限など多くの後遺症が残りやすい骨折です。
後遺症が残ってしまうと趣味活動や職場復帰が制限されるなど、患者さんのQOL(生活の質)の低下につながります。
ここでは実際に治療しているセラピストに向けて、少しでも後遺症を軽減するために取り組みたいリハビリを紹介します。

踵骨骨折の大半は転落による受傷!距骨下関節内での骨折は予後不良に・・・

踵骨骨折は高所からの転落により踵を強打して起こる圧迫骨折です。
踵骨は形が複雑で関節面が多く、骨折の形も複雑になりやすいことから治療の難しい骨折といわれています。

●まずは骨折の分類を理解しよう!

踵骨骨折で使用されるEssex-Loprestiの分類は、関節内骨折を舌状(tongue)型と陥没(depression)型に分類しており、治療を選択する際に有用です。
またsandersの分類はCTで距骨下関節内の損傷度を把握するのに使用されています。

●受傷する方は高所作業をする方が多い!そのため後遺症が致命的になることも

高所で作業をする仕事といえば大工、とび職、左官業などが挙げられます。
これらの仕事に就く方は足場の悪い不安定な場所での作業を強いられているのですが、このときに疼痛や可動域制限があった場合、安全に作業を行えるとはいえない状況になってしまいます。

後遺症はこんなにある!代表的な後遺症を知ろう

ここでは踵骨骨折にどのような後遺症があるか、代表的なものを挙げていきます。

●変形癒合

骨折が重度になると手術を行っても完全に整復することが難しい場合があります。
この場合、

  1. 1.踵骨の外壁の膨隆
  2. 2.踵骨の横径増大
  3. 3.ベーラー角の減少
  4. 4.距骨下関節の不適合

などの変形治癒がみられます。
特に注意したいのは外壁の膨隆と横径の増大です。
これらは外側を通る腓骨筋腱や腓腹神経を圧迫し、腓骨筋腱炎や腓腹神経の絞扼性神経障害を起こす可能性があります。

●荷重時痛

荷重時痛は踵骨骨折の後遺症の中でも最も頻度が高く、ADLに影響を与えます。
痛みの原因は

  1. 1.関節拘縮による立位時足部アライメントの不良
  2. 2.骨萎縮による刺激痛
  3. 3.変形癒合による距骨下関節の不適合

など、ここで述べている後遺症が重なりあって痛みを引き起こしているものと考えられます。

●関節拘縮

踵骨骨折では内がえし、外がえしの可動域制限が残りやすいです。
足関節の背屈、底屈は比較的改善しやすいですが、足部の腫脹が強かったりする場合は制限が残る場合もあります。
内がえし、外がえしの制限は荷重時痛や立位時の足部アライメント不良や不整地への対応に影響してきます。

●骨萎縮

踵骨骨折後は施設にもよりますが6週間近くの長い期間免荷が必要となってきます。
踵骨は海綿骨でできているため、長期免荷による骨萎縮を起こしやすくなります。
骨萎縮が起きてしまうと荷重時痛を引き起こす原因になってしまいます。

●足趾の変形

踵骨骨折は受傷後の腫脹が強く、足部の循環障害などが生じやすい骨折になります。
足趾のかぎ爪趾変形やハンマー足趾変形を残しやすいです。

これら複数の因子が重なることで、後遺症が出現し、患者さんのQOLの低下につながってしまいます。

少しでも楽に動けるために!意識して取り組みたいリハビリメニュー

ここからは後遺症を軽減させるために取り組みたいリハビリについて紹介していきます。

●まずはRICE処置で腫脹の軽減を図ろう!

踵骨骨折の場合、皮下出血と腫脹が著明に出現します。
この腫脹をできるだけ軽減させるために、安静(rest)、冷却(icing)、圧迫(compression)、挙上(elevation)の頭文字をとったRICE処置を行います。
初期に腫脹をコントロールすることができれば、可動域制限や足趾の変形の予防につながります。
RICE処置については、こちら(選手を1日も早く現場に!そのために理学療法士やトレーナーができる受傷後の初期対応)でも紹介しています。

●早期の足関節背屈の練習は慎重に行おう!

踵骨の踵骨隆起にはアキレス腱が付着しています。
術後早期に過度に足関節背屈を強制してしまうとアキレス腱が伸張され、踵骨の骨折部にストレスが加わる恐れがあります。
特に保存療法の場合や、踵骨隆起の骨折や舌状型で骨折線が踵骨隆起まで伸びているような骨折には注意が必要です。
また、下腿三頭筋の過度な収縮も骨折部のストレスにつながりますので注意しましょう。

●内がえし、外がえしの可動域獲得を!

林らの書籍では、疼痛が残った症例の歩行時のアライメントに着目してみると、荷重に伴い踵骨が回外する症例が多いとあり、特に回内(外がえし)の可動域の改善が重要であると述べています。
このときに重要なことは内がえし、外がえしは距腿関節、距骨下関節、横足根関節など複数の関節の複合運動だということです。
足部に強い腫脹がある状態が続くと、足根骨の可動性も制限されてしまいます。
距骨下関節の可動性はもちろん重要ですが、そこだけではなく足部全体の可動性を高めていくようにしましょう。

●腓骨筋の収縮が外壁の膨隆防止に有効!

腓骨筋の収縮は、踵骨の外側壁の膨隆を押し戻す力のベクトルを生じ、整復力として作用するといわれており、早期からのトレーニングがすすめられています。
最初は静止性の収縮や無負荷の自動運動から開始し、徐々にチューブなどを用いた抵抗運動を行なっていきましょう。

●タオルギャザーや不安定板のトレーニングで感覚入力を入れていこう!

足部の関節は姿勢調節をするにも重要な関節になります。
術後早期よりタオルを足趾で掴むタオルギャザーや不安定板を利用して感覚入力を入れていくことで、協調性やバランス能力の向上が期待できます
OG Wellnessではロッキングボードセットという不安定板があり、足部の感覚入力やバランス能力の向上に有効です。

●荷重刺激で骨萎縮の予防を!

骨萎縮の予防のためには荷重刺激が必要になります。
しかし、過度な負荷は整復した骨折部の再転位を引き起こす可能性があり、どの時期から荷重刺激を加えるかは主治医と相談した上で行ったほうがいいでしょう。
筆者が勤めていた病院では荷重が始まる1週間程前から砂袋などの柔らかい物を準備し、座ったまま足踏みをするようにして少しずつ荷重刺激を加えていきました。

後遺症の軽減には解剖学的整復位を得ていることが望ましい!

今回、後遺症軽減のためのリハビリを紹介しました。
骨萎縮や変形の予防、可動域を獲得することで後遺症は軽減することができます。
またリハビリの効果を高めるためには骨折部の解剖学的整復位が得られていることが必要になってきます。
大工やとび職など高所で不安定な足場の中で仕事をする方は、後遺症により職業復帰が難しくなる可能性があります。
医師、看護師、理学療法士が連携し、少しでも後遺症を軽減できるように取り組んでいきましょう。

参考:
林 典雄:関節機能解剖学に基づく整形外科運動療法ナビゲーションー下肢・体幹 第1版
.メジカルビュー社,2008, pp.194-197.(2018年9月9日引用)
岡西哲夫:骨関節系理学療法クイックリファレンス 第1版.文光堂,2006,pp.154-158.(2018年9月8日引用)
石井 清一:標準整形外科学 第8版.医学書院,2003,pp.677-679.(2018年9月8日引用)

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