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家事動作の評価はどうする?料理・洗濯・掃除のIADLで役立つポイントを解説

病院のリハビリでは、まずトイレや食事など、身の回りの動作の自立が優先されます。
ただ、実際に患者さんが在宅復帰されると、複雑な家事動作をこなさなければならないケースもあります。
今回は、リハビリの中でやっておきたい家事動作の評価について、料理・洗濯・掃除に着目して解説していきます。

IADL評価の実際は?家事動作のニーズに対応するために

IADLとは、ADLよりも複雑な動作が求められる日常生活上の動作・活動のことです。
トイレや入浴など、身の回りのADLが自立することも大切ですが、在宅へ復帰することを考えたときにはIADLの評価も欠かせません。
特に家事動作に関しては毎日のように行うものであり、患者さんから「できるようになりたい」というニーズが聞かれることも少なくありません。
近年は女性の社会進出が進み、ご夫婦で家事を分担するケースも増えていますが、高齢の患者さんでは特に女性の方から要望として挙げられることが多いです。
IADL訓練を通して、やりたいことができるようになると、大きな喜びにつながっていくものです。
家事動作に関しては、「できる」「できない」という評価ではなく、「機能や能力的にできない」「そもそもやる気持ちがない」「できるけれども不適切」といった視点で状態を的確に捉えていきましょう。
次に、料理・洗濯・掃除の家事動作に着目し、評価の視点をお伝えしていきます。

1.家事動作の評価〜料理編〜

リハビリ開始時にできるようになりたいことをお尋ねすると、「もう一度料理をしたい」「家族に料理をふるまいたい」という希望を口にする患者さんは少なくありません。
ひと言で料理といっても、実際には非常に多くの工程が含まれています。

●献立を考える
●食材を用意する
●調理道具を用意する
●冷蔵庫から物を出し入れする
●野菜の皮をむく
●食べ物を包丁で切る
●食べ物を加熱する(煮る・焼くなど)
●食器に盛り付ける
●食器をテーブルまで運ぶ
●キッチンを横歩きする
●火の取り扱いに注意する

このように非常に多くの工程がありますが、関節可動域の制限で物の出し入れができない方もいれば、安全に包丁を使えるだけの手の巧緻性が乏しい方もいます。
料理は火を扱うものなので、注意・集中・記憶といった認知機能が低下していると、安全に遂行できない危険性があります。
筆者の経験した大腿骨頚部骨折の患者さんでは、認知機能や上肢機能には問題がないものの、一連の流れを評価してみると、冷蔵庫の下段から物を取り出すのが難しい方がいました。
脳卒中による片麻痺がある患者さんでは、釘付きのまな板などの自助具を活用し、その使い方を習得すれば、自分で料理ができるようになる方もいます。
心身の機能評価からある程度予測をしながら、実際に動作を行ってもらいつつ評価し、課題や対応策を見つけていきましょう。

2.家事動作の評価〜洗濯編〜

洗濯は料理ほど工程が多くない家事動作という印象を受けますが、自力で洗濯を遂行するのが難しい方は意外と多いです。
洗濯にはどのような工程が含まれるのか確認し、評価の参考にしてみましょう。

●洗濯機のふたを開け閉めする
●適切な量の洗剤を入れる
●洗濯機のボタンを押す
●洗濯物を出し入れする
●洗濯物を干す
●洗濯バサミをつまむ
●かごを持って移動する
●洗濯物をたたむ

料理のように献立を考える必要はありませんが、身体的にはさまざまな機能が求められる家事動作です。
脱水が終わった洗濯物を取り出すにはある程度の筋力が必要ですし、洗濯物を干すときにはバランス機能やピンチ力が求められます。
実際の洗濯動作を評価して、基本となるバランス機能や筋力などの訓練をするのも、トップダウンアプローチとして行ってみると良いでしょう。
同時に、洗濯バサミをつまむピンチ力がない患者さんにはハンガーで干したり、洗濯機のボタンが認識しにくければシールで印をつけたり、評価内容に基づいて作業療法士が提案することも可能です。

3.家事動作の評価〜掃除編〜

掃除には拭き掃除・掃き掃除をはじめ、掃除機を使った清掃や整理整頓に至るまで、実にさまざまなものがあります。
「きれい」という基準が人によって異なることは前提として頭に入れておきたいですが、ある程度の清潔さを保って暮らすことは大切です。
次に、掃除に含まれる要素をまとめていくので、評価時の参考にしてみてください。

●掃除の必要性を認識する
●雑巾を絞る
●ほうきで掃く
●掃除機をかける
●ごみを捨てる
●整理整頓する

掃除用具はどこの病院にもあるので、施設にある道具を使って、実際の動作を評価することをおすすめします。
また、リハビリのスタッフ自身が掃除に使える道具のバリエーションについて知っておくと、環境調整の提案がしやすくなります。
雑巾を絞ることが難しければ掃除用のウェットシートを活用したり、掃除機を使った反復運動が負担であればロボット掃除機を使ったりと、代替案として役立つものはたくさんあります。
できるかできないかだけではなく、「転倒の可能性はないか?」「なにかにつかまれば安全に実施できるのか?」など、安全面についてもチェックしてみてください。
また、そもそも掃除の必要性を感じていない方もいるので、現実的にどのレベルの掃除を目指せば良いのかを考えながら評価を進めることをおすすめします。

実際の生活環境を想定した評価をしよう

今回は、IADLの中でも代表的な家事動作である「料理(食事の準備)」「洗濯」「掃除」に焦点を当てて、評価の視点をお伝えしました。
リハビリ室では問題なく遂行できると判断されても、実際には複雑な認知機能や身体機能が求められるので、なかなかうまくいかないケースもあります。
リハビリの段階から実際の生活環境を想定した評価を行っていきましょう。

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