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2018年介護保険制度改正で保険者機能を強化!地域ごとに取り組む高齢者の介護予防

急速に高齢化が進む日本において、高齢者の介護予防は切実な課題です。
課題解決には、高齢者をいかにして「介護が必要な状態にさせないか」にかかっています。
本記事では介護予防における地域の役割についてお伝えします。

高齢者の介護予防、その目的は?



2017年に成立した、介護保険法や介護保険にかかわる法律の改正は「地域包括ケアシステム強化法」と呼ばれています。
そして、この改正の多くが2018年4月から施行されました。
地域包括ケアシステムの推進は、言うまでもなく2025年を見据えたものです。
2015年に3395万人であった65歳以上の高齢者人口は、2025年には3657万人まで増加すると予測されています。
団塊の世代(約800万人)が全員後期高齢者となる2025年に向かって医療・介護のニーズが高まることは間違いなく、財源の不足が懸念されています。
また、団塊の世代ジュニアが65歳を過ぎる2040年には、少子化も相まって、その財源を支える労働力も不足すると考えられます。
さらに少子化に伴う生産年齢人口(15歳以上65歳未満)の減少は、もうひとつ重要な問題を含んでいます。
厚生労働省が介護サービス見込み量から介護人材の必要量を推計したところ、2025年末までに245万人の介護人材が必要であると分かりました。
2016年度は190万人であった介護人材を、2025年までにあと約55万人確保する必要があるというのです。
しかし、先ほど述べたように若い世代の人口は減少を続けており、55万人もの人材確保は困難を極めるでしょう。
「介護する側」の確保と並行して、「介護される側」の人数を増やさないよう尽力しなければなりません。

高齢者の介護予防を主導するのは地域である


介護される側の人数を増やさないための対策は「高齢になっても元気でいてもらう」ことにつきます。
現時点で介護の必要がない人はその状態を長く保つこと、軽度要介護者には悪化しないよう関わる必要があります。

●保険者(市町村)の役割

これまでも高齢者の介護予防に対し、地域ごとにさまざまな取り組みがなされていたものの、地域によって大きな差が生じていました。
そこで2018年の介護保険制度改正では、高齢者の自立支援・重度化防止への取り組みに対して保険者(市町村)の機能が強化されました。
具体的には以下の点の制度化です。

○自立支援・重度化防止への取り組み内容と目標を設定する

市町村が3年に一度策定する介護保険事業計画に

  1. 1.高齢者の自立支援・重度化防止への具体的な取り組み
  2. 2.重度化防止への目標

を盛り込むこと。

○取り組みの状況を評価(目標が達成できたか)し、公表、報告する

上記に対し、達成できたかの評価を、国が定めた評価指標をもとに年1回行う。
評価指標項目には介護予防への取り組みのほか、地域ケア会議の活性化、要介護認定の変化率、介護人材確保への取り組みなど数多くの評価項目が設定されている。

○成果に応じてインセンティブ(報奨金)を付与する

市町村が自立支援・介護予防に積極的に取り組んで成果をあげれば、その成果に応じて交付金が支払われる仕組み。
しっかりと保険者機能を果たしている市町村には多く配分され、そうでない市町村には少なく、あるいは配分されない。

元来地域包括ケアシステムは高齢者が「住み慣れた地域で」暮らすことを目指すものです。
地域で暮らす高齢者の状況は、地域が一番把握しているはずです。
地域の高齢者が元気で暮らせるよう支援すれば、介護量は減少し、地域の利益につながるでしょう。
義務だから、インセンティブ交付金があるからといった理由ではなく、地域のために取り組む姿勢が大切ではないでしょうか。

「自立して暮らす」IADLへのアプローチ

高齢者が生活するためにADL(日常生活動作)の維持は欠かせませんが、「自立して暮らす」ことを考えるとIADL(手段的日常生活動作)はさらに必要な能力といえます。(ADL・IADLについて詳しく知りたい方はこちら「今さら聞けない…!医療従事者が知っておきたい「ADL」の知識と考え方」「IADL訓練とは?基本項目から訓練方法・環境調整まで幅広く解説」が参考になります。)
在宅では、歩けるようになった、入浴できるようになったという機能回復訓練だけではなく、その後の生活につながるようなアプローチが大切です。
たとえば、食事は自分で食べられるという人も、買い物、料理、後片付けができるとは限りません。
IADLの状況をアセスメントし、残存する能力を生かしたIADL向上へのアプローチが求められます。
軽くて壊れにくい食器や、片手でも使える調理器具があればIADLが向上する人もいらっしゃいます。(参考:食器・調理器具セットUC-1400
地域が開催する介護予防教室はADL訓練が中心になりがちですが、これからの介護予防は理学療法士や作業療法士と連携しながら、IADLへアプローチしていくことがより重要になるでしょう。

高齢者が暮らしやすい環境づくり

地域が中心となって開催する介護予防教室などは、介護予防のみが目的ではなく、高齢者が社会参加する機会でもあります。
引きこもりがちな人が外に出る理由、他者と接する刺激、独り暮らしの人の体調を確認できる場にもなるでしょう。
地域が担う役割は自立支援・介護予防とともに、高齢者が地域で生きるための生きがいや居場所をつくることだと考えます。

参考:
厚生労働省 第7期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数について 2018年.(2018年10月28日引用)

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