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  • Akiko

    公開日: 2018年10月31日

パニックコントロールが呼吸リハビリで重要なわけ:不安の除去や生命予後にも関係!

呼吸リハビリでは、日常生活動作(ADL)など自宅復帰に向けた訓練を行います。
呼吸器疾患の場合、息苦しくなると危機的な状況に患者さんが陥り精神が不安定になるため、パニックにならないよう、落ち着いた対処が重要です。
本記事では、パニックコントロールの知識と対策、また効果についてお話します。

呼吸器疾患者のパニックコントロール

呼吸困難感によって生じるパニックと日常生活で予測される動作

呼吸器疾患の患者さんは、日常生活のささいな動作でも息が切れることがあります。
どうして息切れでパニックは起こるのか、日常生活の中で予想される動作には一体どのようなものがあるのでしょうか。

●パニックが起こるとさらに息が吸えなくなり悪循環となる

呼吸器疾患の患者さんが呼吸困難に陥った場合、命の危機を感じ安定した精神状態を保つことが難しくなります。
それによりさらに過剰な努力呼吸となり、動悸などの症状が現れます。
パニックコントロールとは、呼吸が苦しくなるなどパニックが起こりそうになったときに落ち着いて呼吸する、楽な姿勢をとるなどの対処ができるようにすることをいいます。
普段から対処法を習得しておき、いざというときに落ち着いて対処できるようにしておくことが重要であり、呼吸リハビリの患者教育の一部として行われます。

●日常生活で呼吸困難が起こりやすい動作

日常生活で呼吸困難が起こりやすい動作は息を止める、腕を動かす、お腹を圧迫する

息を止める、腕を動かす、お腹を圧迫するなどの動作は息が深く吸えず、患者さんは息苦しさを感じます。
普段の何気ない動作にも当てはまるものがあり、繰り返し行うことなどにより呼吸困難の症状が現れる恐れがあります。

○息を止める動作

洗顔、食事、排便などの動作がこれに当たります。

○腕を繰り返し動かす、特に肩より上への挙上

肩より腕を挙上する動作は胸郭の動きを制限するため息苦しくなります。
掃除機をかける、ふき掃除、洗濯物を干す、かぶり物の服を着る、洗髪、高いところの物をとるなど。

○お腹を圧迫するような動作

お腹を圧迫すると横隔膜の動きが制限され、息苦しさが増します。
しゃがんで動作をする、草むしり、靴や靴下をはくなど。

このような動作は呼吸器疾患の患者さんの呼吸困難感を増悪させる恐れがあります。
このほかにも階段昇降などは運動強度も高く、息切れを起こしやすい動作で、温度差や向かい風などもパニックを起こす要因になり得ます。

息苦しくなったときの対処法、パニックコントロール

では実際にパニックに陥ったときにはどのように対処すれば良いのでしょうか。
息苦しくなったときに、できるだけ楽に呼吸ができる姿勢などをご紹介します。

●もしパニックに陥ったら?

パニックに陥る前に、先にご紹介した息苦しくなる恐れのある動作について知っておき、動作を始める前に深呼吸をして呼吸のリズムを整えます。

次に動作中、息を止めないように口をすぼめてゆっくりと息を吐く(口すぼめ呼吸)ようにすると良いでしょう。

パニックを起こすと息苦しさをまねき、その息苦しさのために呼吸が浅くなる、動悸や冷や汗の出現などによりさらに、呼吸困難感やパニックを増強させます。

もし酸素飽和度の測定器があれば、血中の酸素濃度が十分であると測定結果を見ることでパニックを落ち着ける方法も有用です。

●パニックのときに取ると楽な姿勢

パニックを起こしたときには、呼吸とともに重要なのはリラックスした姿勢です。
その日の体調などにより、呼吸困難感が強く現れることがありますが、落ち着いて呼吸できることが大切です。

呼吸器疾患のある方はパニック時に胸郭の動きが制限されるような動き、腹部の圧迫による横隔膜の動きが制限されるような姿勢、また筋肉の緊張により肺が膨らみにくくなることでも呼吸困難感が増強します。

○寝ているとき


仰向けで寝ている場合:上半身を起こした状態(ギャッチアップ・大きなクッションを背中に入れる)で軽く膝を曲げる。
横向きの場合:楽な方向を向き、クッションなどを抱える、足の間に挟む。

○座っているとき


机などがある場合:肘をつく、クッションなどがあればもたれかかる。
机がない場合:両膝に両方の肘をおき、前かがみの姿勢を取る。

○立っているとき


高めの台などがある場合:両肘を置き、もたれかかる。
台がない場合:壁と対面に立ち、壁などにもたれかかり、肘を壁につく。背中を壁につけて両膝に肘をつき前かがみになる。

それぞれの体位で楽な姿勢がとれたら、ゆっくりと深呼吸、口すぼめ呼吸を行いリラックスしましょう。
少し前かがみの姿勢が一般的には呼吸が楽になる姿勢だと言われています。

呼吸リハビリの実際とその効果

呼吸器疾患をお持ちの方の生活を想定したリハビリと、本人だけではなくご家族など周囲の人にも対処法などの患者教育が重要となります。
またパニックコントロールにより得られる効果にはどんなものがあるのでしょうか。

●実際の呼吸リハビリは動作の実践と指導

実際の生活場面を想定し、訓練用階段などでの階段昇降入浴補助具などを用いての洗髪動作、更衣動作など、休憩を入れたりしながら動作を行うこと、呼吸の整え方、呼吸が楽な姿勢などを経験しておくことが重要です。
ご家族にも、落ち着いて対処すること、また患者さんを落ち着いて呼吸させることを促してあげることなどを指導しておくことも必要となります。

●パニックコントロールは身体活動性を向上させ生命予後にも関係

身体活動性を向上させるパニックコントロール

パニックコントロールを含めた息切れの管理を行うことにより、運動を行う際の不安を解消し、身体活動性の向上または維持することが可能となります。
呼吸器疾患患者さんにおいて身体活動性の向上は、

  • ○病気の進行を予防
  • ○再入院率の減少
  • ○生命予後が良い

などの効果が報告されています。
(出典:呼吸リハビリテーションに関するステートメント)

パニックコントロールはQOLだけではなく生命予後の改善にも重要な要素

患者さんだけではなく家族を含めてのパニックコントロールが可能となることは、呼吸器疾患の患者さんにとって実際の生活場面において、身体活動への不安を取り除くことにつながります。
そのためには呼吸リハビリにおいて、十分に説明、また実践しておくことが大切です。
また身体活動性が向上することで、QOL改善、再入院率の低下、生命予後にも貢献することが可能です。

リンク記事:
慢性閉塞性肺疾患(COPD)と診断されたら…?すぐに実践したい7つのセルフケアを呼吸療法認定士が教えます.

OGウエルネス:
歩行練習用階段標準型GH-455.
シャワーシート(ソフトパッド付)背ありUC-1053.

参考:
ぜん息などの情報館/独立行政法人 環境再生保全機構.
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/copd/life/08.html
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/copd/life/07.html
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/copd/life/05.html
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/copd/life/06.html(2018年10月11日引用)
慢性の呼吸器疾患患者さまへの理学療法/国立病院機構 刀根山病院 理学療法 2008_3版.(2018年10月11日引用)
岩城基他:終末期における呼吸リハビリテーション.日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌,第24巻,第2号,2014.8.(2018年10月11日引用)
植木純他:呼吸リハビリテーションに関するステートメント.日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌,第27巻,2号:106,2018.(2018年10月11日引用)

  • Akiko

    公開日: 2018年10月31日

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