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骨粗鬆症が原因の脊椎圧迫骨折。急性期と離床後のリハビリポイントを解説

脊椎圧迫骨折は高齢社会となった日本ではよく遭遇する骨折の1つです。
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の方や高齢者が受傷することから、要介護認定を受ける方も多く、今後ますます圧迫骨折の対策、予防が大切になってきます。
今回は普段から担当しているセラピストに向けて、圧迫骨折のリハビリのポイントを解説していきます。

骨粗鬆症が原因の脊椎圧迫骨折

圧迫骨折急性期のリハビリは患部の安静と廃用症候群の予防を考えよう

圧迫骨折急性期のリハビリは患部の安静と廃用症候群の予防

骨折後は疼痛が強く、安静が必要になりますが、なかにはあまり疼痛を訴えない患者さんもいらっしゃいます。
圧迫骨折の治療は手術をしない保存療法が一般的ですが、安静度や固定方法、固定期間などは主治医の裁量に任されていることが多くなっています。
急性期は安静が基本になりますが、疼痛の程度や骨折部位によっては早期に離床を進めることもあります。
ここでは圧迫骨折の急性期に気をつけたいポイントを述べていきます。

●胸腰椎移行部の圧迫骨折はできるだけ安静を保とう

胸腰椎移行部である第12胸椎、第1腰椎は圧迫骨折の好発部位となっており、これは胸腰椎移行部に屈曲方向への圧力がかかりやすいためとされています。
胸腰椎移行部は圧力がかかりやすいことから、圧潰変形が他部位よりも進行しやすくなります。
圧潰が進むと脊椎の後弯変形が起こり、

  1. 1.腰背部痛
  2. 2.遅発性の神経麻痺
  3. 3.偽関節

などの症状が出現する可能性があります。
そのため、特に胸腰椎移行部での圧迫骨折は無理に離床を図らずにできるだけベッド上での安静臥床を行うことが推奨されます。

●骨折部へのストレスを考慮しながら廃用症候群の予防を図ろう

高齢者の場合、過度の安静や不動は筋力の低下や歩行、ADL(日常生活動作)の低下を起こし、廃用症候群を招いてしまう恐れがあります。
そのためこの時期のリハビリの目的として、
「ベッドサイドでできる範囲から体を動かして下肢、体幹の筋力増強運動を行っていき、廃用症候群を予防すること」
が挙げられます。
このときに気をつけたいのは、腰の回旋や過屈曲、過伸展をさせないようにすることです。
これらの動きも、急性期に行うと圧潰を進行させてしまう恐れがあります。
体幹の筋力増強運動を行いたい場合は、

  1. 1.息を吐きながらお腹をへこませて行うドローイン
  2. 息を吐きながらお腹をへこませて行うドローイン

  3. 2.踵でベッドを下に押さえつけるようにして背筋トレーニング
  4. 踵でベッドを下に押さえつけるようにして背筋トレーニング

などの方法がおすすめです。

●重症例や疼痛が強い場合はティルトテーブルの利用もおすすめ

重症例や疼痛が強い場合はティルトテーブルの利用もおすすめ

痛みが強く残っている場合や骨折が重症で離床を思うように進めることが難しい場合などは、ティルトテーブルを使用してみるのも1つの方法です。
ティルトテーブルは、角度を調整することで疼痛が出ない範囲で立位練習を行うことができるため、

  1. 1.長期臥床による起立性低血圧
  2. 2.座位が困難な方
  3. 3.立位保持が難しい場合

など離床を図りたいけれど難しい場合に有効な手段の1つになってきます。
OG wellnessではティルトテーブルを取り扱っていますので、機器の詳細はこちらで確認してみてください。

離床後は脊柱起立筋の筋力アップを!転倒予防トレーニングも効果あり

離床が始まると疼痛に応じて歩行練習を行っていき歩行能力、ADLの向上を図っていくことになります。
ここでは、離床後に意識して取り組んでおきたいリハビリについて述べていきます。

●脊柱起立筋の強化で脊柱の後弯予防を

圧迫骨折による脊柱の後弯変形は脊柱起立筋の過剰収縮を引き起こし、その結果腰背部痛につながってしまいます。
後弯変形の進行、腰背部痛の出現は、患者さんのQOL(生活の質)やADLの低下を招いてしまうためできるだけ防止していきたいところです。
赤羽根らによると、圧迫骨折の患者さんに対して脊柱起立筋の筋力増強運動を実施したところ、圧潰変形の進行を抑止することができたと述べています。
圧潰の防止は脊柱の後弯の予防にもつながり、その結果腰背部痛も軽減されます。
筋力増強の方法として、

○立位でセラバンドを把持して両上肢を挙上する運動

を赤羽根らは推奨しています。
この運動で気をつけたいポイントは、

  1. 1.負荷を強くしすぎないこと
  2. 2.無理に上肢を挙上しようとして脊椎が過伸展しないように注意する

この2つには注意しながらトレーニングをすすめましょう。

●骨折が癒合するまでは過度の運動は禁物。歩行姿勢にも気をつけよう

歩行姿勢にも注意が必要ですが、ポイントは前かがみになりすぎないことです。
歩行車などの歩行補助具にもたれかかって前かがみになるような姿勢は、骨折部位にストレスが加わりやすくなります。
歩行姿勢にはできるだけ注意し、上記でも述べたような脊柱起立筋や下肢筋力の向上を図ります。
逆にうつ伏せで行う背筋運動のような動作は骨折部へストレスを加えてしまうため禁物です。
骨折部が癒合するまでは

  1. 1.過度な前屈、後屈、回旋
  2. 2.重たい荷物の把持

に注意しましょう。

●転倒予防にはロコモーショントレーニングを取り入れてみよう

圧迫骨折は転倒して尻もちをついたりするときに受傷するため、転倒予防のトレーニングは再受傷を防止するために重要になります。
ロコモーショントレーニング(ロコトレ)とは、日本整形外科学会が提唱したロコモティブシンドローム(ロコモ)の対策として作成された運動です。
ロコトレは

  1. 1.バランス能力をつける「片脚立ち」
  2. 2.下肢筋力をつける「スクワット」

の2つの運動で構成されています。

1.片脚立ち

片脚立ち

方法:転倒に注意し、机や椅子などつかまるものがある場所で行います。
支えが必要な方は必ずなにかを持って行いましょう。
片脚を軽く持ち上げ、床につかない程度で保持します。
左右1分間ずつ、1日3回行いましょう。

2.スクワット

スクワット

方法:肩幅より少し広く足を開いて立ちます。
膝がつま先より前に出ないように注意し、椅子に腰かけるようなイメージで膝を曲げていきます。
スクワットが難しい場合は椅子に座って立ちすわりの練習をします。
支えが必要な方は必ずなにかを持って行いましょう。
ゆっくりなペースで5~6回を1日3回行いましょう。

ロコトレを行う際のポイントは

  1. 1.息を止めない
  2. 2.スクワットのときは膝を曲げすぎないようにする
  3. 3.どこの筋肉を使っているか意識する
  4. 4.支えが必要な人は無理をせずになにかを持つようにする

この4つのポイントに注意して、日々の運動療法の中に取り入れてみてはいかがでしょうか。
ロコモティブシンドロームについてはこちらの記事にもありますので、参考にしてみてください。

圧迫骨折は圧潰・廃用を最小限に抑えながら離床を図れるかが重要

圧迫骨折のリハビリは急性期には、圧潰を進行させないように患部へのストレスに配慮しながら、廃用症候群を予防するために早期より筋力増強運動などの運動療法や離床を進めることが重要になってきます。
離床後も骨癒合が進むまでは過度な運動は控える必要があります。
姿勢には十分注意し、脊柱起立筋や下肢筋力のトレーニングを行っていきます。
また転倒予防のトレーニングを行うことで、再骨折の予防やADLの向上につながることになります。

参考:
日本整形外科学会 ロコモティブシンドローム.(2018年10月14日引用)
日本整形外科学会公認ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト ロコモ チャレンジ! ロコトレ.(2018年10月14日引用)
赤羽根良和 他:骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折に対する運動療法の意義ー椎体圧潰変形の抑止効果について.理学療法ジャーナルVol44,No.6:527ー533, 2010.
尾﨑まり:脊椎圧迫骨折に対する体幹装具.総合リハビリテーションVol.45,No.7:731-733,2017.  

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