整形外科・リハビリ病院が抱える課題(ヒト・モノ・カネ)をサポート

  • Facebook

クリニック・治療院 OGメディック

患者さんのケア

  • Akiko

    公開日: 2018年11月22日

最新ステートメントに学ぶ栄養面での呼吸リハビリテーション

2018年6月、日本呼吸器学会、日本呼吸理学療法学会、日本呼吸ケア・リハビリテーション学会が作成した呼吸リハの定義などについての“呼吸リハビリテーションに関するステートメント”が発表されました。
今回はこの最新のステートメントの一部でもある呼吸器患者さんの栄養についてお話ししましょう。

呼吸器患者さんの栄養について

呼吸器疾患患者さんの栄養に関する特徴

呼吸器疾患患者さんの栄養に関する特徴

慢性の呼吸器疾患を持つ方には高頻度に痩せ(体重の減少)が見られます。
ろくに慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者さんの場合には、筋力やQOLなどとも大きな関係があるとも言われています。

慢性の呼吸器疾患の患者さんはどうして痩せるの?

慢性の呼吸器疾患の患者さんの場合、胃の膨満感により呼吸困難感を生じることと嚥下障害を生じることも大きく関係しています。
COPDの49%に有意な嚥下障害を認めたとの報告もあり、原因の一助には呼吸のパターンと嚥下反射のパターンがうまくマッチせずに嚥下障害を起こします。
食物を飲み込む際に起こる無呼吸の時間が慢性呼吸器患者さんの場合には長くなり、呼吸困難感の原因にもなります。
他にも嚥下に関与する筋肉の弱りや胃食道逆流なども原因となります。
これらのような摂食量の減少により、エネルギー消費に見合わなくなるため痩せる、つまりは摂取エネルギーの不足=栄養失調・痩せとなります。

慢性疾患で起こる痩せ、サルコペニアと炎症

COPDは長期間に及ぶ喫煙などによる肺の炎症性疾患であり、エネルギー消費量が増大しさらなるエネルギーの供給が必要となるものです。
また呼吸困難感によりQOLが低下するため身体活動性の低下が起こり、これにより全身の炎症がさらに起こる可能性もあると言われています。
また身体活動性の低下により加齢性筋肉減少症(サルコペニア)を引き起こす可能性が高くなります
このサルコペニアは年齢を重ねるにつれ骨格筋が減少し、脂肪組織に置き換えられために、ふらつきや転倒を引き起こし悪循環となります。
栄養療法とともに身体活動性の増加、つまり運動療法を組み合わせる包括的な呼吸リハビリテーションが重要となります。

栄養失調になりがちな呼吸器患者さんは生命予後も短くなる?

栄養失調になりがちな呼吸器患者さんは生命予後も短くなる?

慢性の呼吸器患者さんは、前項で説明したような理由から栄養失調になりがちです。
そのため、呼吸リハビリテーションの中でも重要な要素の一つとなっています。
栄養障害により、筋力の・運動対容能の低下、さらには生活の質(QOL)にまで影響を及ぼし、特に脂肪を除いた体重である除脂肪量は予後の因子となっています。
つまり、脂肪を除いた体重量が少ないと予後も良くないという結果です。
しかしながら、栄養療法は単独での効果というよりも運動療法を組み合わせたものが推奨され、栄養療法の原則はエネルギーの十分な供給の重要性と包括的なリハビリテーションが大切です。
他にも栄養補給が十分されている患者さんは呼吸筋力や健康状態などにおいて有意な改善がみられると報告されています。(出典:GOLD 2018report)
十分な栄養を確保し、やせを予防するために、診断早期から栄養指導などの積極的な介入が必要です。

最新ステートメントが勧める栄養指導法

最新ステートメントが勧める栄養指導法

では呼吸器疾患をお持ちの方は食事で気をつけるべきこと、また最良の方法や対処法は何かについてお話ししていくことにしましょう。

バランスの良い食事をとりましょう

呼吸器疾患の中でも慢性の呼吸器疾患においては、体重減少は高頻度に見られます。
食欲の低下や呼吸筋の酸素消費量のために必要なエネルギーが増大するなど、エネルギー摂取量が必要なエネルギー消費量に満たないために痩せが起こります。
また太り過ぎも、横隔膜の動きを遮るために呼吸困難の原因となります。
1日3食、バランスの良い食事や消化のよう食事をとることが大切です。1回の食事が少量の方は、分割食なども効果的です。
特に朝食や昼食などは簡単にすませることが多く、炭水化物や糖質が多めのメニューとなりがちです。
糖質はエネルギーに分解される際に、二酸化炭素の排出が多いため、タンパク質を多く含んだ肉や魚、脂肪などの栄養素をまんべんなく取り入れましょう。
大まかな目安としては1日あたり、体重×1.5 (g)のタンパク質の摂取が理想的です。(出典:呼吸リハビリテーションマニュアル6、栄養療法)

栄養補助食品をうまく利用する

食事指導とともに、最近では経腸栄養剤などを経口から摂取するなどして栄養補給をすることも栄養障害を起こした患者さんには有用です。
最近の報告では、口からの栄養補給により、体重の増加とともに握力や運動対容能改善なども明らかになっています。
特にアミノ酸やタンパク質、カルニチンなどを含む経腸栄養剤を症状に合わせて、摂取することで、効果的な栄養療法となります。
また、COPDの65%に出現するといわれる嚥下障害などにより固形物を飲み込みにくい患者さんは栄養不足になりがちなため、液体状の栄養補助食品を利用することも検討されます。

栄養失調の予防と摂食方法の検討が大切

栄養療法は運動療法などと組み合わせることで包括的呼吸リハビリの一つの重要な要素であると最新のステートメントでは明言されています。
とくにCOPDの場合には生命予後にも関わるとされ、早期からの介入と痩せの予防が大変重要となります。
食事内容の指導とともに回数を増やす、栄養補助食品などをうまく利用して、呼吸器患者さんの栄養面でのサポートが呼吸リハビリテーションにおいても重要です。

参考:
植木純、神津玲他:呼吸リハビリテーションに関するステートメント 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 2018年 第27巻 2号 (2018年11月21日引用)
呼吸リハビリテーションマニュアル6、栄養療法 独立行政法人環境再生保全機構2014 (2018年11月21日引用)
GOLD 2018report (2018年11月21日引用)
木村弘、福岡篤彦他:特集COPDの身体活動性をめぐるサイエンス Topic2身体活動性と全身性炎症 日呼吸誌 4巻 1号 2015年 (2018年11月21日引用)

  • Akiko

    公開日: 2018年11月22日

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)