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クリニック・治療院 OGメディック

  • 桑原

    公開日: 2018年12月28日
  • 患者さんのケア

アメリカの医療費が高いのはなぜ?日本との医療と保険の仕組みの違いを解説します

日本とくらべてアメリカの医療費は高額だと想像される方が多いのではないでしょうか。
旅行先で体調を崩し救急受診したら、とんでもない高額請求が来たというのは本当の話です。
どうして高額なのか?医療保険制度と医療の仕組みをもとにみていくことにしましょう。

日本との医療と保険の仕組みの違いを解説

医療保険を提供する保険会社は民間経営

医療保険を提供する保険会社は民間経営

医療保険の会社はアメリカと日本では経営母体なども大きく異なります。
日本では、国民健康保険や協会けんぽなどが主なものですが、アメリカはどうなのでしょう。

医療保険を提供するのは、ほとんどが民間の保険会社

アメリカの公的医療保険は次の2つとなります。

  1. 1)65歳以上の高齢者
  2. 2)低所得者層や障がい者に対するもの

そのほかの人々は、勤務先の企業などが加入する民間保険に加入するか、自営業の場合などは自費で民間保険会社と契約しなければなりません。

アメリカで保険のプランは車の保険と同じ。高い保険料だと自由度が高い医療が受けられる

アメリカで保険のプランは車の保険と同じ。高い保険料だと自由度が高い医療が受けられる

アメリカの医療保険は、車の保険をイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。
つまり、高い掛け金を払うと良いサービスを安く受けられるという、保険料に比例した医療システムです。

●アメリカの医療保険の特徴

アメリカの医療保険の特徴は以下の通りになります。

  1. 1)もっとも安価で契約者の多い保険プランは、かかりつけ医を決める必要があります。
    専門家を受診する場合は、かかりつけ医に一旦受診する必要があります(直接専門家の受診ができないため、時間を要する)。
  2. 2)日本のように、自由に行きたい病院や科の受診ができる保険プランは高額で、自己負担も大きくなります。
  3. 3)加入する保険会社と提携していない診療所や医師の受診は自費となります。

かかりつけ医の存在は定期検診などの際には有用ですが、緊急時や専門家への受診が必要なときにはデメリットとなることもあります。

●眼科・歯科診療や出産をカバーする保険は高額である

眼科や歯科などの専門家は保険プランの別枠で設定されることが多く、加入の有無により保険料も異なります。
また、契約する保険会社と提携していない場合は、自費になることもあります。
メガネやコンタクトレンズを作る際には眼科の処方が必要なので、眼科の保険プランに加入していないと高額になります。
歯科を受診する場合も同じです。
出産などの医療費の高いものに関しては、高い保険料プランでないと対応できないので、妊娠の確認と同時にプランを変更しなければなりません。
たとえば筆者も加入するCigna(シグナ)では、シルバー、ゴールド、プラチナなどに分けられ、年間にいくらまで保険料が適応可能かも決まっています。

アメリカの医療現場は細分化され多職種が診療に関わる。費用は交渉により決定

アメリカの医療現場は細分化され多職種が診療に関わる。費用は交渉により決定

医療保険の支払額も高額ですが、医療現場の人件費や手技にかかる額も高額です。
医療費は同じ診察内容でも、時と場合によって異なることがあります。

●医療の分業化と診察にかかる人件費

アメリカでは医師や看護師も分業化されています。
日本の場合、手術をした医師が病棟などの担当医師も兼任し、昼夜を通して診察することもありますが、アメリカは分業のため別の医師が担当します。

○医師の場合

  1. 1)ICU医:手術後や高度医療が必要で集中治療室(ICU)に入室している際にはICU医が患者さんを担当します。
  2. 2)入院チームによる夜間入院の担当:夜間に救急から入院する患者さんには、専門家ではなく、入院チームの医師が診療や処置などを担当します。

○看護師の場合

  1. 1)DIVチーム:点滴などのルート確保のスペシャリスト集団で、点滴が入らないと専門機器を持ってやって来ます。
    また、中心静脈の点滴などもこの専門家たちが行います。
  2. 2)ナースプラクティショナー:ナースプラクティショナーと呼ばれる、一部の診察や投薬などの医療行為が行えるナースが存在します。

一人の患者さんに対して多くの職種や人が関わる病院のシステムは、人件費が高額となります。
しかし、訴訟の多いアメリカにおいては、効率化の追求や、ミスをなくすためにも必要となるのです。

●診療費は病院や保険会社との交渉で決まる!

保険料は、基本的に医療機関と保険会社の交渉によって決定します。
たとえば昨年の検査時、胃カメラや麻酔薬も医療保険で全額支払われたが、今年は半額しか支払われず残りは自費になる、といった事象も頻繁に発生します。
自己負担額に不満がある場合はクレームも可能で、受け入れられれば医療費が減額になることもあります。

アメリカの医療費が日本より高い理由は、医療保険の仕組みと医療システム

アメリカの医療保険は、保険料により受けられるサービスが異なります。
保険料が高いほど、より良い医療を受けられ、病気やけがなどの受診時は負担を軽くできます。
つまり、より良い医療、病院への支払いを少額にするには普段から高い掛け金を払う必要があります。
医療を受ける上での人件費は日本よりも高い傾向にあり、サービスに対する対価に関しても患者側から不服を申し立てることができます。
そのため、医療費が高騰し、また医療保険会社が民間経営のため、掛け金も高くなります。
アメリカにおいて、医療はビジネスとしての要素が大きい印象です。

参考:
あめいろぐ著、反田篤志監修:アメリカでお医者さんにかかるときの本.保健同人社,東京,2014,pp.48−57.
Cigna.(2018年12月26日引用)
日本看護協会 看護職の役割拡大の推進と人材育成.(2018年12月26日引用)

  • 執筆者

    桑原

  • 1998年理学療法士免許取得。整形外科疾患や中枢神経疾患、呼吸器疾患、訪問リハビリや老人保健施設での勤務を経て、理学療法士4年目より一般総合病院にて心大血管疾患の急性期リハ専任担当となる。
    その後、3学会認定呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士の認定資格取得後、それらを生かしての関連学会での発表や論文執筆でも活躍。現在は夫の海外留学に伴い米国在中。
    保有資格等:理学療法士、呼吸療法認定士

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