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クリニック・治療院 OGメディック

  • syusei

    公開日: 2019年05月29日
  • 患者さんのケア

テニス肘のリハビリは肘以外の状態にも注目!評価やチェックポイントを紹介

テニス肘は別名、上腕骨外側上顆炎と呼ばれ外側上顆の内側に付着している、短橈側手根伸筋(extensor carpi radialis brevis muscle:ECRB)のストレスが原因の1つです。
しかし、プレースタイルの変化やプレイヤーの年齢から病態を幅広く考える必要があります。
そこで、テニス肘について患部の評価だけでなく、ほかの部位やフォームのチェックポイントを紹介します。

テニス肘のリハビリ

テニス肘の原因を把握するために競技歴や年齢を考慮しよう

テニス肘の原因は競技歴やレベル、年齢によって差が出ます。
それらを把握しておくことで、原因をあらかじめ予測して、効率的かつ正確な評価につながります。

●競技歴や競技レベルによる原因の違い

テニス肘の原因

競技歴が短い場合はテニスのグリップの握り方や打ち方が未熟なことが原因で、肘へ過剰な負担がかかります。
グリップは小指と環指でしっかり握ることで、尺側の手関節が固定されます。
しかし、初心者は示指や中指で握ってしまうことがあり、尺側の手関節が固定できず、橈側を過剰に働かせてしまい、ECRBにストレスがかかります。
また、グリップを常に力を入れて握ったり、下肢体幹と連鎖しての同期ができず手打ちになりやすく、前腕筋群の過剰なストレスにもつながります。
上級者の場合は初心者にくらべ、前腕の回内外をしてスピンをかけるなどストレスのかかる打ち方が多くなります。
バックハンドを両手で打つ比率が高くなると、利き手と反対の肘内側にストレスがかかります。
それらの動作に加えて、練習や試合スケジュールが過密になると、ストレスが蓄積して障害発生につながります。
以上のように初心者では技術的な問題、上級者になるとストレスがかかる量が問題になるケースが多くなります。

●年齢による障害部位や原因の違い

テニス肘はどの年齢でも起こる怪我ですが、年齢により障害が起こりやすい部位が違います。
以下に年齢別の原因や障害の違いを示します。

年齢 少年 青年 中高年
原因 筋力不足
オーバーユース
打ち方(初心者)
筋力不足
オーバーユース
加齢による退行変性
フットワーク不足
打ち方やフォーム
年齢特有の障害部位 骨成長時に特有の障害
(骨端軟骨の損傷)
骨成長時に特有の障害
(骨端軟骨の損傷)
筋肉、腱、靭帯の障害
筋肉、腱、靭帯の障害

少年や青年期は骨の成長が不十分で、離断性骨軟骨炎や骨端線の離開といった特有の障害が起こる場合があります。
中高年以降になると趣味などでテニスをするなかで、打ち方やフォームが不十分であったり、フットワークが低下して手打ちになることが原因としてあげられます
また、加齢により肘関節や周囲の軟部組織の退行変化によりストレスへの脆弱性が強まることも大きな要因となります。

テニス肘の原因はECRBだけじゃない!肘の内側や手関節も評価しよう

テニス肘はECRBの障害を予測して肘の外側を評価をします。
しかし、内側の障害を起こす場合もあり内側に対する評価を考慮に入れる必要があります。
また、肘関節とともに前腕筋群の影響を受ける手関節の評価も重要です。

●肘外側部の評価

肘外側部の評価

肘関節の外側部に対するストレステストを以下に示します。

テスト名 テスト方法 ストレス部位
中指伸展テスト 肘を伸ばした状態で、中指を屈曲させる抵抗に対抗する 短橈側手根伸筋
総指伸筋
示指伸展テスト 肩屈曲、肘伸展、前腕回内位で、手関節を背屈した状態で、
底屈方向への加重に耐える
上腕骨外側の起始筋群
内反ストレステスト 肘に内反方向へのストレスを加える 外側側副靭帯

以上のストレステストに加えて、ECRBなど肘の外側筋群を触診して、圧痛の有無や緊張の程度を確認しましょう。
また、肘関節のアライメントで外反や前腕回外を取っている場合は、肘外側筋の過緊張が推測されます。

●肘内側部の評価方法

肘関節の内側部に対するストレステストを以下に示します。

テスト名 テスト方法 ストレス部位
golfer’s elbow test 肘軽度屈曲、前腕、手関節中間位から前腕回外、
手関節伸展のストレスをかける
そこから、肘関節をゆっくり伸展させる
上腕骨内側の起始筋群
外反ストレステスト 肘に外反方向へのストレスを加える 内側側副靱帯

外側の評価同様に触診をして、前腕尺側筋群の評価をしましょう。
前腕尺側の屈筋群は尺側でのグリップに必要ですので、筋力の有無もチェックしておきましょう。
また、肘関節のアライメントで前腕回内を取っている場合は、肘内側筋の過緊張が推測されます。

●手関節の評価方法

インパクトの肢位を再現して、手でラケットの面を前から押したときに、手関節の固定が不十分だったり、痛みがある場合は手関節の機能低下が考えられます。
その場合、遠位橈尺関節や手根骨の可動性やテニス動作でストレスのかかりやすい手関節尺側部の障害の有無をチェックしましょう。
また、グリップの安定に必要な握力を確認して、健側と比較しましょう。

患部以外も注目!肩甲帯や体幹機能を含めてフォームチェックが必要

肩甲帯や体幹機能を含めてフォームチェックが必要

肩甲帯や体幹の機能が低下してしまうと、手打ちになったり、フォームが不良となったりするため、肘への負担が増えます。
再発防止をするためにも、患部以外の機能を評価して、正しいフォームにつなげることが重要です。

●肩甲帯の評価

テニス肘では肩の可動域や肩甲骨の固定性が低下することで、肘への過剰なストレスの原因となります。
たとえば、片手でのバックハンド時、肩甲帯の内転をスムーズに行わなければ、手打ちになってしまいストレスがかかります。
そのため、肩甲帯の可動域や筋力のチェックはもちろん、インパクト時の肢位やストレステストで肩甲骨を固定して筋力や疼痛に変化があるかを確認します。

●体幹の評価

体幹の回旋可動域や安定性が低下すると、手打ちの傾向が強まり、肘関節へのストレスが増えます。
実際のフォームを確認しながら、回旋や軸足にしっかり体重が乗っているかをチェックすることが重要です。
以下に打ち方別にフォームのチェックポイントを示します。

打ち方 フォアハンド バックハンド サービス
悪い
フォーム
・振り切り時の体幹回旋不足
・体の開きが早く肘が伸びきる
・肘が先行してインパクトが後方になる
・インパクトが後方
・軸足が踏ん張れず骨盤が前方移動
・振り切り時の体幹回旋不足
・テイクバック時の体幹過伸展や回旋不足
・テイクバック時の肘下がり
・振り切り時の体幹回旋不足

体幹の機能チェックでは、片脚スクワットによる、骨盤や体幹の傾斜、動揺の有無を評価して、動的なアライメントや体幹の不安定性の確認をすることができます。
また、片脚スクワットに加えて、ラケットを持った姿勢を取ることで、上肢の過緊張やラケットの位置がブレないかを確認して、テニス動作においてうまく体幹機能を使えているかをチェックします。

幅広い視点で評価をしてテニス肘の再発予防につなげよう

テニス肘では肘周辺の疼痛が主訴ですが、発生の要因として肘以外の機能低下や不適切なフォームが絡んでいることが少なくありません。
そのため、患部だけでなく、周辺の関節や体幹・下肢の機能、フォームのチェックによりテニス肘を引き起こす原因を正確に把握できなければ、再発するリスクがあります。
幅広い視点で評価をして、テニス肘の治療はもちろん、再発の予防につなげ、長くテニスを楽しんでもらいましょう。

  • syusei

    公開日: 2019年05月29日

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