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クリニック・治療院 OGメディック

  • Akiko

    公開日: 2019年05月30日
  • 患者さんのケア

心不全を起こしやすい心臓弁膜症のリハビリ上の注意事項

心臓の弁とは心臓内部にある血液の逆流を防止するもので、大動脈弁、肺動脈弁、僧帽弁、三尖弁の4つの弁があります。
僧帽弁と大動脈弁の狭窄症・閉鎖不全症は心不全の原因となりやすく、運動などにより負担がかかることもあるため注意が必要です。

心臓弁膜症のリハビリ上の注意事項

高齢化社会に伴い、加齢による弁膜症は増加傾向

高齢化社会に伴い、加齢による弁膜症は増加傾向

心臓弁膜症の中でも、全身へ血液を送り出す役割をする左心という名前がつく左心系に大きく関わる僧帽弁と大動脈弁に不具合が起こるものは心不全を起こしやすいです。
以前は幼少時にリウマチ熱にかかった既往歴のある方が、徐々に不具合が発生して起こるという発生機序のものが多くみられました。
しかし高齢化社会の現在では、大動脈弁や僧帽弁が加齢により徐々に変成して狭窄症や閉鎖不全を起こすという発生機序のものが増えているといわれています。
2012年から16年にかけての弁膜症の手術数は増加傾向にあります。
また、高齢者は整形外科疾患や中枢神経疾患などほかの疾患があることも多く、心臓弁膜症との合併も相対的に多いと考えられます。

僧帽弁閉鎖不全は不整脈に注意!

僧帽弁閉鎖不全は不整脈に注意!

僧帽弁閉鎖不全は重度になればなるほど心不全を起こしやすくなります。
リハビリ中や日常生活や運動において、どのような点に注意して行うと良いのでしょうか。

●心不全の兆候を判定するのに有用なNYHA分類

僧帽弁閉鎖不全も弁の障害具合が重度となると、全身に送り出されるべき血液が心臓の収縮によって逆流を起こし、逆流が大きくなると全身への血液の供給が不十分となります
重症度が増すと、心不全を起こし息切れなどの症状が見られます。
この心不全の症状を4つに分類し、重症具合を示したものが以下に示すNYHAの分類です。

I度 日常生活では疲労や動悸・呼吸苦や狭心症の症状を生じないもの
II度 安静時に症状はないが、日常生活上の身体活動で疲労や動悸・呼吸苦や狭心症の症状を生じるもの
Ⅲ度 安静時に症状はないが、ちょっとした身体活動で疲労や動悸・呼吸苦や狭心症の症状を生じるもの
Ⅳ度 安静時にも疲労や動悸・呼吸苦や狭心症の症状を生じ、少しの動作で症状がひどくなる

NYHAⅠもしくはⅡの場合なら、自覚症状に注意しながらのリハビリや運動は可能です。

●僧帽弁閉鎖不全症がある方の運動時の注意点

僧帽弁閉鎖不全症がある方のリハビリや運動には、脈拍数や心房細動などの不整脈に注意する必要があります。
心房細動がある場合には、左心房内に血栓と呼ばれる血の塊ができやすくなり、脳梗塞など臓器の梗塞を起こす可能性が高くなるからです。
心不全の兆候である息切れやむくみ・呼吸苦に合わせて、不整脈・脈拍数や動悸などにも注意を払う必要があります。

大動脈弁閉鎖不全・狭窄症がある方の運動時の注意事項と禁忌!

大動脈弁閉鎖不全・狭窄症も心不全を起こしやすいですが、機序や注意点などが少し異なります。

●大動脈弁閉鎖不全症は心不全症状に注意

大動脈弁閉鎖不全症は体に送られるはずの血液が逆流し、心臓に戻るため肥大して血液をためようとします。
心臓が大きくなってしまうと心臓のポンプの動きも悪くなり、運動により疲労感や呼吸苦・動悸などの心不全の症状を起こします。
そのため体に十分な血液が送れず、ちょっとした運動で息切れを起こし、重度になると体を横にするだけで息切れを起こすため、ベッドを倒した状態で眠ることができなくなります。

●大動脈弁狭窄症は体の動きで失神することも!

大動脈弁狭窄症は、心臓から全身へ血液を送りだす出口がかたくなり、狭くなるもので、血液が送りにくい、もしくは身体活動に必要な血液を体に送り出すために大きな力を必要とします。
大動脈弁の遠位側には脳や心臓への血管が分岐しており、排出される血液量が少なくなると脳や心臓に血液が行き届かなくなり、狭心症のような胸痛が発生したり、失神発作を起こすこともあります。
特に前屈みになりますと脳への血流がさらに悪化し失神発作につながるため、洗髪動作などのうつむく姿勢が必要なリハビリでは特に注意が必要です
また起床時にも失神や立ちくらみ、めまいなどの症状が現れますので、姿勢変換の際にはふらつきなどに注意しましょう。

弁膜症は運動に制限が必要となることも!リスク管理が大切

心臓弁膜症の中でも僧帽弁閉鎖不全症、大動脈狭窄症・閉鎖不全症の3つは運動に強い関係があります。
運動は生活習慣病の予防や健康状態を保つためにも重要ですが、心臓弁膜症は重症度合いによっては注意する点があり、時には中止すべき状況となることもあります。
高齢者で整形外科疾患や中枢神経疾患がある方々のなかには、心臓弁膜症を合併している方もいらっしゃいます。
リハビリを行う上で心不全の症状などに十分留意し、リスク管理に役立てましょう。

参考:
久松隆史,三浦克之:わが国における心疾患の死亡率・罹患率の動向.日循予防誌第53巻第1号,2018.(2019年5月29日引用)
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006 年度合同研究班報告).(2019年5月29日引用)
心疾患患者の学校,職域,スポーツにおける運動許容条件に関するガイドライン.(2019年5月29日引用)
NPO法人ジャパンハートクラブ 心不全の心臓リハビリテーション.(2019年5月29日引用)
東京大学医学部附属病院 循環器内科 大動脈弁膜症.(2019年5月29日引用)

  • Akiko

    公開日: 2019年05月30日

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