整形外科・リハビリ病院が抱える課題(ヒト・モノ・カネ)をサポート

  • Facebook

クリニック・治療院 OGメディック

  • 桑原

    公開日: 2019年08月28日
  • 患者さんのケア

日本とアメリカのアルツハイマー病のケアの違い、類似点

日米を問わず高齢化社会において問題となる認知症を引き起こすアルツハイマー病は、ケアが必要となる病気の一つです。
今回は日本とアメリカにおけるアルツハイマー病のケアの違い、また類似点についてお話していくことにしましょう。

日本とアメリカのアルツハイマー病のケアの違い、類似点

アメリカでのアルツハイマー病のケアはケアプロバイダーと相談

アメリカでは、アルツハイマー病の早期段階で事前計画を立てておくことを提案しています。
その際自宅で過ごすか、どんな状況下になったらどのようなケアの施設に入居するのかなどについて本人も交えて、事前に計画書を作成する場合もあります。

●アルツハイマー病のケアはケアプロバイダーに相談すると良い

アルツハイマー病の疑いがあり、ケアが必要だと感じた場合にはケアプロバイダーと呼ばれる日本のケアマネジャーのような人に連絡を取ります。
ケアプロバイダーはアルツハイマー協会、もしくはかかりつけの医師に問い合わせたり、地域のシニアセンター、同様のケアを受けた人に相談して紹介してもらうことができます。

●あらかじめケアを提供する人とケアを受ける人の情報を共有する

ケアを提供する人とケアを受ける人の情報を共有する

自分の好みや、入所型か自宅にするかなど、ケアを受ける利用者本人や家族などが、“Personal Facts and Insights”と呼ばれる情報共有シートを記入し、ケアプロバイダーや介護者と計画の参考にすることをすすめています。
その内容は、

  1. 1)病歴
  2. 2)個人情報(家族、友人の名前や婚姻の状況など)
  3. 3)個人の性格や日常の生活パターン(趣味など)
  4. 4)宗教や思想
  5. 5)日常生活動作レベルや嗜好など

経済的な観点なども視野に入れ、事前計画書を家族や時に患者も交えて作成し、状況に合わせて都度プランを変更します。

アメリカのアルツハイマー病患者ケアは日本と似ている?

アルツハイマー病の患者さんに対し、入居型や自宅でのケアにもさまざまな施設や選択肢があります。

●自宅でのケアの選択肢は、デイケアや訪問

アルツハイマー病の在宅ケアは日本と同じく、シニアのためのデイケアや訪問介護などの選択肢もあります。
訪問介護に関しては、緩和ケアとしてサービスを受けることもでます。
政府の高齢者向けの保険が利用可能ですが、寿命の半年前のみという期間の目安があるため、導入に関しては慎重に検討する必要があります。
入所型の場合、緩和ケアと呼ばれるホスピス、ケアを十分に受けられる老人ホーム、ある程度生活の自立した方が入居する介護付き住宅など、いずれかを選択する必要があります。
在宅での緩和ケアと同じく、程度と受けられる期間などが限定されます。

アメリカにおいてアルツハイマー病のケアで気をつけるべき点

アルツハイマー病の患者さんがケアを受ける際にその家族はどのような点に気をつけるべきでしょうか。

●利用者の住みやすい環境を作る、家族や友人もケアに参加可能

家族や友人もケアに参加可能

アルツハイマー病の患者さんは、コミュニケーションやケアに困難を生じることも少なくありません。
そのようなとき、手を握る(触覚)、景色を見る(視覚)、匂いや読み聞かせなどが心の安らぎを作ることができる場合もあります。
また家族や友人の訪問なども安心できる環境を作ることや、介護する側の意識を高めるためにも重要です。
アメリカでは、家族や友人がケアに参加できない施設やプログラムは好ましくないとされています。

●レスパイトケアとグリーフィングの利用も推奨!

アメリカでは介護する家族の休息のためにレスパイトケアや、ケア受給者が亡くなった後の喪失感を癒やすグリーフィングなどのケアも必要だとしています。
ご存じのように、アルツハイマー病の患者さんの介護はやさしいものではなく、時には夜間にも及びます。
そのため、家族の休息やイベントなどのための短期入所もケアプロバイダーと相談して利用することを推奨しています。
ホスピスケアの受給者や、その家族の心の安定のためにグリーフィングなどの導入も大切なケアの一つです。

アルツハイマー病のケアは日米で類似点も多いが、異なる点も

これまでお話ししたように、日本とアメリカのアルツハイマー病の患者さんに対するケアは、施設の形態、専門家を通じた計画など類似点も多く見られます。
日米の異なる点としては、ケア受給者の情報の共有、レスパイトケアやグリーフィングの周知などがあります。
特にレスパイトケアについては日本でも周知されつつあるケアの一つです
アルツハイマー病のケアに関する困難さは日米に大きな差はありませんが、違いを知ることにより、ケアがより良きものになるのではないでしょうか。

あわせて読みたい:
アメリカのシニア向け展示会に見たアルツハイマー病への取り組みと啓蒙活動の重要性

参考:
Working With Care Provider/Alzheimer’s Association.
https://www.alz.org/help-support/caregiving/care-options/working-with-care-providers(2019年8月16日引用)
Choosing Care Provider /Alzheimer’s Association.
https://www.alz.org/help-support/caregiving/care-options/choosing-care-providers(2019年8月16日引用)
Personal Facts and Insights /Alzheimer’s Association.
https://www.alz.org/media/Documents/personal-facts-insights.pdf(2019年8月16日引用)
Alzheimer’s disease: Anticipating end-of-life needs /Mayo Clinic.
https://www.mayoclinic.org/healthy-lifestyle/caregivers/in-depth/alzheimers/art-20044065(2019年8月16日引用)
Hospice care /Alzheimer’s Association.
https://www.alz.org/help-support/caregiving/care-options/hospice-care(2019年8月16日引用)

  • 執筆者

    桑原

  • 1998年理学療法士免許取得。整形外科疾患や中枢神経疾患、呼吸器疾患、訪問リハビリや老人保健施設での勤務を経て、理学療法士4年目より一般総合病院にて心大血管疾患の急性期リハ専任担当となる。
    その後、3学会認定呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士の認定資格取得後、それらを生かしての関連学会での発表や論文執筆でも活躍。現在は夫の海外留学に伴い米国在中。
    保有資格等:理学療法士、呼吸療法認定士

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)