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クリニック・治療院 OGメディック

  • 桑原

    公開日: 2019年11月27日
  • 患者さんのケア

呼吸音はどう評価する?呼吸音のアセスメントはどこでどんな音が聞こえるかがキーポイント

呼吸リハビリを行う上で重要な呼吸機能のアセスメントの一つに、呼吸音の評価があります。
呼吸音のアセスメントは聴診器での聴診が主な手段ですが、音の聞き分け、また聴診部位などについて知る必要があります。
今回は呼吸音の聴診を中心に呼吸音の聞き分け、聴診の際の注意点や評価方法について、解説していくことにしましょう。

呼吸音はどう評価する?呼吸音のアセスメントはどこでどんな音が聞こえるかがキーポイント

呼吸音のアセスメントその1:音の強弱と異常音を聞き取ること

呼吸音のアセスメントで重要なのは、呼気と吸気の音の強弱と副雑音と呼ばれる異常音を聞き取ることです。
実際には、どのようなものがあるのでしょうか。

●左右の呼吸音比較、正常呼吸音が適切な場所で聴こえるか

まずは正常な呼吸音の聴取になれることが重要ですが、気管音、気管支肺胞呼吸音、肺胞呼吸音の3つの呼吸音について解説しましょう。

気管音 呼気が吸気より長く、強く高音
気管支肺胞呼吸音 吸気と呼気の長さは同じ。中等度の強さでやや高音
肺胞呼吸音 吸気が呼気より長く、音の強さは弱く、低音

肺胞呼吸音の聴取をしたい場合には、患者に深呼吸してもらうなどの協力が必要となります。
また左右で同じように聞こえるか、通常上記3つの呼吸音が聞こえるはずの場所なのかなども判断する上で重要なアセスメントとなります。

●異常呼吸音の聴取。どのような副雑音が聴こえるか

正常呼吸音より耳につきやすく、気づきやすいのが副雑音です。
ラ音と呼ばれ連続性と断続性の2種類があり、それぞれさらに2種類ずつ合計4種類に分類されます。

連続性ラ音 rhonchi ギーギーという低音、気道閉鎖や気管支喘息で聴かれる
wheeze ヒューヒューという高音、気管支喘息で聴かれる
断続性ラ音 coarse crackle ブツブツという水泡音、肺炎や肺水腫で聴かれる
fine crackle バリバリ(マジックテープをはがすような)という捻髪音、
間質性肺炎で聴かれる

呼吸音アセスメントその2:聴診部位を判定する

もう一つの重要な呼吸音アセスメントのポイントは、聴診される部位です。
肺のどの部分なのか、また、気管や気管支、肺胞などそれぞれの呼吸音が聴診可能な場所なのかについてお話ししましょう。

●正常呼吸音または異常呼吸音が聴こえるのは肺のどの部位ですか?

正常呼吸音または異常呼吸音が聴こえるのは肺のどの部位ですか?

まずは両肺の上葉、中葉、下葉がそれぞれ解剖学的にどの位置にあり、どの部分に聴診器を当てると聴診ができるのか知る必要があります。

前面 後面
右上葉 第4肋骨より上部 第4肋骨まで
左上葉 第6肋骨付近より上部
右中葉 第4~6肋骨付近
右下葉 鎖骨中央線と第8肋間の交わった点より側部
左下葉 鎖骨中央線と第8肋間の交わった点より側部 第4~第10肋間付近

また気管支音は肩甲骨の間または胸骨の第2〜4肋間、気管支肺胞呼吸音は第4〜6肋間より下部、肺胞音はそのほかの肺全体で正常の場合には聴くことができます

●気管支の分岐する位置、横隔膜の位置も知っておこう!

気管支の分岐する位置、横隔膜の位置も知っておこう!

気管と気管支音または肺胞呼吸音が聴ける部位の判定、ほかの臓器との境界などを知っておく必要があります。

  • 左右気管支の分岐:身体の前面からだと胸骨柄結合部の第2肋間、後面からだと第4もしくは5胸骨付近
  • 横隔膜:身体の前面からだと鎖骨中央線と第6肋間付近、側方からだと第8肋間付近。
    身体の後面からの場合、深く息を吸った場合には第12肋間、呼気の場合には第10肋間あたりに存在。

これらの場所は聴診を行う上で重要なマーカーとなります。

呼吸音アセスメントの評価と実践。呼吸リハビリに活用しよう!

これまでにお話しした呼吸音のアセスメントを総合して、レントゲンなどその他の情報と組み合わせることで、原因の特定や治療対象となるか、また治療の効果などを判定することが可能です。

●呼吸音とレントゲンを照らし合わせ、排痰や体位変換などのリハビリが適応となるのかを判断できます

呼吸音のアセスメントを行う際には、胸水や痰は重いため重力で下方に貯留することが多く、両肺の下葉の聴診は特に念入りに行うことをおすすめします
胸水の場合、仰臥位での聴診だけでなく側臥位や座位など体位を変えると安易に呼吸音が変化します。
つまり、体位変換で安易に呼吸音が変化するなら胸水の可能性が高く、排痰リハビリの対象には適応しません。
またレントゲン画像などを聴診と組み合わせることも、呼吸音のアセスメントには有用です。

●副雑音の聴診部位の変化や呼吸音の強弱などを聞き分けることでリハビリの成果を判定できます

副雑音の聴診部位の変化や呼吸音の強弱などを聞き分けることでリハビリの成果を判定できます

副雑音の聴診される部位が、体位変換や呼吸介助などによって遠位から近位へと変化したり、排痰リハビリ後に肺胞呼吸音の変化があった場合、併せてパルスオキシメーターなどを組み合わせることにより、治療効果を判定できます。
また排痰や体位変換などの呼吸リハビリが必要な患者さんは、人工呼吸器や心電図モニターなどほかの医療機器が装着されていることも多く、雑音が入るため入念に呼吸音の聴取を行うことが必要とされます。

呼吸音のアセスメントは呼吸リハビリの有用な情報源!

呼吸音のアセスメントは学内で詳しく学ぶ時間も少なく、また習得に時間がかかります。
まずは、聴診部位と正常呼吸音、副雑音の聞き分けから始めてみましょう。
呼吸音のアセスメント方法を習得することにより、呼吸リハビリを行う上での大変有用な情報を得る事ができます。
聴診の部位や呼吸音についてよく知り、レントゲン画像やパルスオキシメーターなどその他の情報を組み合わせて、呼吸音のアセスメントを行うようにしましょう。

参考:
山内豊明:自身がもてる呼吸音の聴診と評価.月間ナーシングVol.29 No.11,2009.(2019年11月23日引用)
山下直美,川上真樹:呼吸器疾患のフィジカルアセスメント.ファルマシアVol.51 No.9, 2015.(2019年11月23日引用)
小松市民病院 フィジカルアセスメント.(2019年11月23日引用)

  • 執筆者

    桑原

  • 1998年理学療法士免許取得。整形外科疾患や中枢神経疾患、呼吸器疾患、訪問リハビリや老人保健施設での勤務を経て、理学療法士4年目より一般総合病院にて心大血管疾患の急性期リハ専任担当となる。
    その後、3学会認定呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士の認定資格取得後、それらを生かしての関連学会での発表や論文執筆でも活躍。現在は夫の海外留学に伴い米国在中。
    保有資格等:理学療法士、呼吸療法認定士

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