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クリニック・治療院 OGメディック

  • 桑原

    公開日: 2020年01月31日
  • 患者さんのケア

呼吸リハビリで行われるハフィング、呼吸介助(スクイージングなど)、体位変換について解説します

呼吸リハビリの中でも排痰を促す手技として用いられるのが、ハフィングや呼吸介助(スクイージングなど)、体位変換です。
これらの手技はどのような患者さんにどのように行い、どのような効果が得られるのでしょうか。
またそれらの手技を行う際の注意点についてもお話しすることにしましょう。

呼吸リハビリのハフィング・スクイージング

呼吸リハビリにおける排痰法の重要性。どのような患者さんにどんなときに行うのか?

呼吸リハビリにおける排痰法の重要性。どのような患者さんにどんなときに行うのか?

呼吸リハビリには、呼吸器疾患をお持ちの方に運動療法などとともに、排痰が困難な方に対して行うリハビリもあります。

●呼吸リハビリの目的の一つは排痰法。その重要性とは?

呼吸機能とは、肺で酸素と二酸化炭素を交換するガス交換機能で、その過程のいずれかが障害を受けるとガス交換がうまくできずに、呼吸困難が生じます。
呼吸困難が生じると日常生活における動作が難しくなり、生活の質の低下に至ります。
呼吸リハビリでは、日常生活動作における運動療法のほかに、ガス交換能を遮る痰を体外に排泄する排痰法も重要なものとなります。

●排痰法の適応患者さんとは?ICUなどの急性期から在宅などの慢性期まで

排痰法が必要になる患者さんは、ICUなどの急性期において人工呼吸器装着下にいる方、または意識状態が清明ではない方、在宅医療などを受けている寝たきり状態の方、自宅で酸素療法を受けている方など対象はさまざまです。
ほかにも、喘息発作のお子さんに対する呼吸介助による排痰や、外科術後の急性期で排痰が困難な場合などにも呼吸リハビリの一環として排痰法を行う場合があります。
慢性閉塞性呼吸器疾患(COPD)や肺気腫の患者さんに対しては、いかに呼吸の仕事量を増やさずにハフィングなどにより痰を喀出するかなど、訓練や指導を行うこともあります。

排痰手技はハフィングや呼吸介助、体位変換。排痰に器具を用いることで痰の喀出が容易となることも

排痰手技はハフィングや呼吸介助、体位変換。排痰に器具を用いることで痰の喀出が容易となることも

排痰を促す手技には、ハフィング、呼吸介助(スクイージングなど)、体位排痰法があり、排痰器具を用いることで痰が出しやすくなることもあります。

●排痰手技はハフィングや呼吸介助法、体位排痰法など

実際に行われる排痰法の手技は、ハフィング、呼吸介助法(スクイージングなど)、体位排痰法があります。

1)呼吸介助法(軽打法、振動法、ゆすり法、スクイージングなど)

気管や気管支の内側は、繊毛と呼ばれる老廃物や異物の移動を促すような構造になっています。
しかし、その繊毛の動きが何らかの原因で十分でなかったり、空気の出入りが十分でなかったりすると、気管を通じて痰を口まで運び出すことが難しくなります。
そのような場合に胸郭の動きに合わせて、胸を絞るようにして(スクイージング)呼吸を介助し痰の排出を促します。
またクラッピングと呼ばれる軽打法で振動を伝え痰の移動を促したり、振動法やゆすり法などで呼気または吸気を促す呼吸介助法もあります。
いずれの場合もまずは胸郭の動きを目で確認もしくは手で確認してから、その動きに合わせて行いましょう。

2)体位排痰法

口や気管よりも痰が位置する部分を高くすることで、重力を利用し痰の移動、排出を促す方法です。
ベッドでの長期臥床を強いられている方の場合には、肺の背中側下方に痰が貯留する傾向があり、側臥位や腹臥位などを取ることにより痰の喀出を促します。

3)ハフィング

胸郭の動きや呼吸筋の弱さなどにより、呼気の流速が十分でないと気管や気管支を通じて痰を喀出することができません。
息を吐き出す際に、ハッ!という掛け声などとともに呼気の流速を早くして、痰を喀出する方法を用います。

●痰の喀出がしやすくなる排痰器具も!

振動をつくる器具などを利用して、気管や気管支にその振動を伝え、痰が口元に排出されるのを助けます。
排痰器具は、種類によっては呼吸筋が強くないと難しい器具などもあるため、患者さんにあったものを使うことをおすすめします。
また、呼吸介助や体位排痰法などを合わせて行うことも効果的なようです。

呼吸リハビリの手技の一つである排痰法の施行上の注意点

排痰を促す手技は一体どのような効果があるのか、またその手技の施行上の注意点などについてもお話しすることにしましょう。

●ICUなどの急性期における、排痰法施行の際の注意点

急性期患者さんにおける排痰法施行時には、以下のことに気をつけるようにしましょう。

  1. 1)患者さんの血圧や脈拍、呼吸数、酸素飽和度の観察
  2. 2)体位排痰法の際には、褥瘡などができないように配慮する
  3. 3)無理な呼吸介助を行うと、肋骨骨折の原因となったりするため注意して施行する。

特に筆者がICUでの排痰施行の際に気をつけていたのは、血圧や酸素飽和度などの全身状態の評価を行い、安全に呼吸リハビリを行うことでした。
急性期患者さんにとっては大きな負担となることもあるため、顔色などの観察も行いながら施行しましょう。

●在宅や慢性呼吸器疾患に排痰法施行の際に注意すべきことは、呼吸補助筋の活動観察や水分補給などの生活指導!

在宅や慢性期における排痰法施行の場合には、実際の排痰手技のほかにも患者さんの観察や日常生活に対する指導も重要です。
慢性呼吸器疾患の場合には、日常生活での呼吸努力が増えると疲労も増すため、首の筋肉など呼吸補助筋の活動の観察、胸郭の動きなど可動域の観察なども重要です。
呼吸介助を行うことで胸郭の動きが改善され、呼吸努力が減少することもあります。
水分が足りないと、痰の粘度が上がり喀出がしにくくなるため、問診などにより水分補給がきちんとできているかどうかも確認しましょう。

呼吸リハビリの一つである排痰は重要な手技。観察しながら行おう!

痰の貯留は肺のガス交換能を低下させ、呼吸努力も増大させるため、排痰法を駆使して痰の喀出を行う必要があります。
呼吸リハビリの一つである排痰法には、呼吸介助や体位排痰法、ハフィングのような痰を喀出する方法などがあり、呼吸器疾患を持つ患者さんには大変有用なものです。
また排痰法を施行する際には、患者さんをよく観察し施行するようにしましょう。

参考:
国立病院機構 刀根山医療センター 排痰について.(2020年1月27日引用)
長崎呼吸器リハビリクリニック 呼吸リハビリの実際.(2020年1月27日引用)

  • 執筆者

    桑原

  • 1998年理学療法士免許取得。整形外科疾患や中枢神経疾患、呼吸器疾患、訪問リハビリや老人保健施設での勤務を経て、理学療法士4年目より一般総合病院にて心大血管疾患の急性期リハ専任担当となる。
    その後、3学会認定呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士の認定資格取得後、それらを生かしての関連学会での発表や論文執筆でも活躍。現在は夫の海外留学に伴い米国在中。

    保有資格等:理学療法士、呼吸療法認定士

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