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ポイントは体幹!スポーツを楽しむ患者さんに教えたい自主トレーニング

ケガをしたあとにリハビリを行う必要性は、みなさんも十分にご存じかと思います。
しかし、トレーニングによって未然に防げるケガがあることはご存じでしたか?
ケガをしたあとに整形外科や自宅で取り組むリハビリと同じくらい、障害予防トレーニングは重要です。
今回は、スポーツを楽しむ患者さんにお伝えしたい自主トレーニングの方法についてご紹介します。

ポイントは体幹!スポーツを楽しむ患者さんに教えたい自主トレーニング

障害予防トレーニングとは、身体の土台づくり!

そもそも障害予防トレーニングとは、文字どおり障害を予防するためのトレーニングです。
行っている競技によって必要になる能力は異なるため、今回はどの競技でも共通している体幹の強さを高めるトレーニングに焦点を当てます。
障害予防トレーニングの大きな目的は、安定した土台をつくることです。
土台を安定させるには、体幹の筋力が大きく関係してきます
この土台が不安定になることでケガの発生リスクが高まることから、体幹トレーニングを行うことが推奨されているのです。
トレーニングは、以下の3つの原理にのっとり、実施されることが望ましいです。

  • ●可逆性の原理
  • ●過負荷の原理
  • ●特異性の原理

1)可逆性の原理

可逆性の原理とは、「筋肉に継続して負荷をかけなければ筋肉は痩せてしまう」ということです。
たとえば腕の筋力トレーニングを一生懸命行い、筋肉が大きく強くなったとします。
それに満足してトレーニングをやめてしまうと、筋肉は元の状態に戻ってしまいます。
このように、負荷が加わらなくなることで、筋肉がもとの痩せた状態に戻ることを可逆性の原理といいます。

2)過負荷の原理

過負荷の原理とは、「その人に合わせた負荷を加えなければ、筋肉が大きく強くならない」ということを意味します。
たとえばボディービルダーを目指す人が、1kgのダンベルで毎日腕を鍛えたとしても、筋肉は大きくなりません。
かといって、いきなり強すぎる負荷を加えても身体を痛めてしまいます。
自分の身体に見合った負荷量を段階的に調節していくことが重要です。

3)特異性の法則

これは、「目的に合わせたトレーニング方法を選択することが大切」という考え方です。
たとえば、マラソンで速く走ることを目標に設定した場面を考えてみましょう。
持久力を高めるために、長い距離を走るトレーニングを行えば、マラソンは速く走れます。
しかし、そこにダンベルで毎日腕を鍛えるというトレーニングを加えることは、「マラソンで速く走る」という目標に必要でしょうか?
このように、目的に合わせてトレーニングの方法と鍛える場所を明確にすることが、特異性の法則です。

これらの原理にのっとりトレーニングを行うことで、より効果的に障害予防トレーニングを行うことができます。

防げるケガと、防げないケガの違い

障害予防トレーニングは、「スポーツ障害を予防するトレーニング」ともいいかえることができます。
さらにスポーツ分野での障害は、大きくスポーツ外傷とスポーツ障害に分けられます。
防げるケガと防げないケガは、それぞれスポーツ障害とスポーツ外傷にあたります。

1)スポーツ外傷

スポーツ外傷は、「防げないケガ」になります。
なぜ防げないかというと、自分ではコントロールが難しい要素があるためです。

  • ●サッカーで相手とボールを競ったときに、相手に足を踏まれて捻挫した。
  • ●ラグビーで相手選手にタックルをした際に、相手の肘が自分の肩に当たり、肩を打撲した。

例として挙げたように、主にケガは接触プレーが多い競技で頻発します。
自分だけでなく、ほかの要因がからんでいるものをスポーツ外傷と呼び、これが防げないケガになります。

2)スポーツ障害

スポーツ障害は、「防げるケガ」になります。
まれに防げないものもありますが、ほとんどは自分でケアすることで対処することが可能です。
以下に例をあげます。

  • ●ボールを投げるときに、肩の関節が硬くてうまく投げられなかったが、無理して投げ続けているうちに、肩が痛くなってしまった。
  • ●垂直にジャンプをするときに、両膝が内側にカクッと入るクセがあったが、それでも繰りかえし行っていたら、膝の内側が痛くなってしまった。

誤った動作を繰りかえし行うことにより、痛みとして症状が現れるものが防げるケガ、つまりスポーツ障害になります。
スポーツ障害は、正しい動作を理解すること、体幹を鍛えて安定した土台をつくることで予防していくことが大切です。
患者さんにも、防げるケガ・防げないケガの違いを認識していただくと良いでしょう。

患者さんにお伝えしたい自主トレーニングはこの2つ!

患者さんにお伝えしたい自主トレーニングはこの2つ!

体幹のトレーニングときくと、体幹を鍛えるために姿勢をキープすることをイメージされる方が多いです。
実際につらい姿勢をキープしていられる時間、いわゆる我慢くらべで勝ち負けを争う競技であれば、このトレーニング方法で合っています。
しかし、特異性の原理で考えると、動きながらも体幹がぶれない強さが必要になります。
今回は、患者さんに自宅で実践していただきやすい、オススメのトレーニングを2つご紹介します。

●ダイアゴナル

  • 1 四つ這いになります。
  • 2 床面と平行になるように右の腕、左足を持ち上げ5秒数えます。
      このとき、肘と膝が曲がらないように注意します。
  • 3 5秒数えたら、持ち上げていた肘と膝を曲げ、おヘソの前でそれぞれが触れるようにします。
  • 4 肘と膝がふれたら、2の姿勢に戻り、再度5秒数えます。
  • 5 2~4を10回繰りかえし、反対の手足に交換します。

●お尻上げ

  • 1 膝を伸ばし、手は胸の前で組んだ状態で、上向きに寝ます。
  • 2 片膝を90°に曲げ、かかとを床につけたまま、両方のつま先を持ち上げます。
  • 3 反対の膝を90°に曲げた側の太ももと、同じ高さまで持ち上げます。
  • 4 3の状態をキープしたまま、お尻を持ち上げ、5秒数えます。
  • 5 5秒数えたら、お尻を床におろし、持ち上げていた足もおろします。
  • 6 2~5をそれぞれ10回ずつ繰り返し行います。

お尻を持ちあげるときに、腹筋に力をいれるようにへこませることがポイントです。
こうしたポイントも患者さんにお伝えしていきましょう。

これら2つの方法は、姿勢をキープしつつ手足の動きが加わるため、競技に反映できるトレーニング効果が得られます。
普段行っている体幹トレーニングに少し動きを加えるだけで、設定できる目標も変わってきます。
患者さんは「こんな簡単な運動?」と思ってしまうかもしれないので、その意義や効果についてはわかりやすくお伝えしてください。

まとめ

今回は、障害予防トレーニングの意義と、その方法についてまとめました。
競技によって特異性があるため、これを実施すれば必ず障害予防につながるというものは残念ながら存在しませんが、トレーニングを行う目的を明確にし、実施方法を少し変えるだけで、障害予防トレーニングの効果は期待できます。
スポーツを楽しむ患者さんが、ケガで競技を楽しめなくなってしまうまえに、こうした自主トレーニングをレクチャーしてみてはいかがでしょうか。

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