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クリニック・治療院 OGメディック

  • 蔵重雄基

    公開日: 2020年08月31日
  • 患者さんのケア

外来で働く理学療法士が気をつけたいコミュニケーションとは?新人のうちから気をつけるべきポイントを紹介

外来では患者さんが頻繁に往来して、理学療法の場面でも1日にたくさんの患者さんと接します。
そのような状況で言葉使いなどの言語的なコミュニケーションはもちろん、表情、振る舞い方、態度といった非言語的なコミュニケーションが重要になります。
今回は外来でコミュニケーションを取る上での心構えや考え方、具体的な対応方法を紹介します。

理学療法士に必要なコミュニケーション力

外来でコミュニケーションが重要な理由

外来でコミュニケーションが重要な理由

外来に来られる患者さんはさまざまな愁訴があって通院されます。
理学療法士にはその愁訴を少しでも解決することが求められます。
そのために理学療法士の知識や治療技術が重要なのは言うまでもありませんが、「理学療法士が患者さんに与える印象」も患者さんの訴えや症状に少なからず影響を与えます。
そこで具体的なコミュニケーションの方法を紹介する前に、なぜコミュニケーションが必要になるのかを解説します。

●理学療法は一方通行な治療ではない

理学療法士が治療をする場合、弱い立場である患者さんに対して、専門的な知識や経験を一方的に押し付けている場合があります。
もちろん素晴らしい技術で治療の効果や結果を出すことができます。
しかしより望ましいのはそこから患者さん本人が自分自身の体の変化に気づき、それを保てるような行動を継続することです。
そのため、一方通行な治療ではなく、患者さんが治療を受け入れ、自分で実践してもらえるように行動変容を起こす必要があります。
そこで重要になるのが理学療法士と患者さんの相互関係です。

●相互関係を築くためにはコミュニケーションが欠かせない

自分自身が不信感を抱いている相手からアドバイスや指導を受けた場合を想像してみてください。
その言葉に耳を傾け、行動を起こそうとする気持ちが起きづらいことは容易に想像できるでしょう。
理学療法の現場でも同じで、理学療法士に対して不信感を持ってしまうと、行動変容につなげることはとても困難になってしまいます。
逆にあまりに距離が近すぎても、患者さんは理学療法士に依存してしまい、自分自身で行動することを妨げてしまいます。
「つかず離れずの距離感」を保つことは重要で、そのためにはお互いを受け入れ、信頼し合う関係が必要になります。
そこで理学療法士のコミュニケーション能力が大切になります。
特に多くの患者さんと短い時間で関わる外来では、言葉だけでなく第一印象が大事になります。
次の項目では第一印象に大きな影響を与える非言語的なコミュニケーションにスポットを当てて解説します。

※言語的なコミュニケーションの方法については「セラピストにも雑談力?患者さんと上手にコミュニケーションを取る方法」で紹介しています。

身だしなみで印象は大きく変わる

身だしなみで印象は大きく変わる

身だしなみと聞いてコミュニケーションと結びつかない方も多いかもしれません。
しかし、相手に情報を発信して伝えるという点では身だしなみも立派なコミュニケーションです。
「人を見た目で判断しない」とは言われますが、見た目の印象が重要であるということは紛れもない事実です。
そこで理学療法士に求められる身だしなみについて解説します。

●清潔感のある身だしなみをしよう

医療従事者として清潔にすることは当たり前のことかもしれませんが、相手に与える印象を考えても清潔感のある身だしなみをすることは重要です。
以下のような点をチェックしてみましょう。

  • ○爪は伸びていないか
  • ○爪先が汚れていないか
  • ○襟や裾は汚れていないか
  • ○制服にシワがないか
  • ○靴は汚れていないか
  • ○髪が乱れたり寝癖が放置されていないか
    など

このように不潔な状態を放置した理学療法士を目の当たりにした患者さんと信頼関係を築くのが難しいのは言うまでもありません。

●安全性を考えることはリスク管理の基本

臨床場面でリスク管理をすることは当たり前に思われるかもしれませんが、身だしなみでも安全性を考慮する必要があります。
たとえば指輪などの装飾品が患者さんに当たって傷をつける可能性があります。
手につける装飾品は感染のリスクという点でも考慮する必要があります。
ほかにも長い裾が患者さんに引っかかったりする危険性も考えられます。
このように患者さんに危険を及ぼす可能性のある身だしなみをしていれば、患者さんにとって不安の一因となってもおかしくありません。
リスク管理が重要な理学療法士として、身だしなみでも安全性について気にかけましょう。

●靴の履き方をチェック!利便性のある服装をしよう

利便性という点で基本的なことの1つに体のサイズにあった服、靴を着用することが挙げられます。
サイズより大きすぎる服では患者さんにだらしがない印象を与える可能性があります。
また最近は利便性、快適性を考慮したユニフォームが流通しています。
このようなユニフォームは色のバリエーションも多く、患者さんに与える印象を考慮したシルエットにもなっているので職場のコンセプトなどに合わせて導入を検討するのもおすすめです。
また理学療法士として忘れてはならないのが靴の状態です。
患者さんの靴のすり減り具合を観察して、歩行や立位姿勢の評価につなげることは多いと思いますが、自分自身に関してはどうでしょうか。
本来、正しい靴の着用を指導する理学療法士が、靴底のすり減った靴を履いていては説得力がありません。
また利便性の視点でかかとを踏んでしまうことも少なくないですが、そのような履き方も靴の着用を指導する立場としては好ましくなく、信頼感を妨げることにつながる可能性があります。
靴の脱ぎ履きの手間を考慮するならば、初めからかかとの低い靴を選ぶなど利便性を考慮した工夫をしましょう。

体の使い方でコミュニケーション力は向上する

体の使い方でコミュニケーション力は向上する

身だしなみとともに重要な非言語的コミュニケーションとして体の使い方があります。
よく「ボディランゲージ」や「ジェスチャー」と呼ばれる身振り手振りがありますが、それ以外にも体の使い方がいくつかありますので解説します。

●表情

表情の変化が相手に与える印象を左右することは想像しやすいでしょう。
特に「笑顔」は人を引きつけて、安心させるという傾向を持ちます。
初対面の相手に治療を受ける患者さんの立場であれば、常に仏頂面の理学療法士より、笑顔で接してくれる理学療法士のほうが安心しやすいということにつながります。

●うなずき

うなずきの有無は患者さんからの発言の量に影響を与えます。
発言に対してうなずいてもらえると、患者さんは自分の発言を理解されている、同意してくれていると感じて発言しやすくなります。
そのため問診で情報収集をする場合には、うなずきで発言をしやすくすることが重要です。

●視線

患者さんと視線の高さを合わせるようにすることは実習などでも学ぶことは多いです。
ただしどのように合わせるのかを詳しく学ぶことは少ないかもしれません。
次のような点に注意して視線を合わせるようにしましょう。

  1. 1)自分と相手の耳介と上唇を結んだ線が一直線になる高さに目線を調整する
  2. 2)目線を合わせるときは頭だけでなく体の向きを変える
  3. 3)視線を下げるときは首や腰だけをかがめるのではなく、しゃがんだり椅子を活用する
  4. 4)周りをキョロキョロ見ないようにする

●姿勢

姿勢は感情により変化しやすく、相手に与える印象も異なります。
人の話を聞くときに背もたれに寄りかかっているのと、前傾姿勢になっているのとでは、後者のほうが真剣に話を聞いてくれていると感じます。
また「肩を落とす」という言葉のように元気がなかったり、気落ちしたりした感情が姿勢に現れ、患者さんに「先生最近元気ないね」などと言われた経験がある方もいるかもしれません。
このような印象を与えないように姿勢を常に意識するのは大切ですが、感情が無意識のうちに姿勢に現れることは少なくないため、それを常に見せないようにすることは難しいことでもあります。
そのため、基本的には良い姿勢を意識しながら、ついつい感情が姿勢に出てしまった場合は、相手の反応に気を配り、切り替えられるようにしましょう。

●体の向き

体の向きひとつでも患者さんからの信頼に影響を与えます。
たとえば診察の場面でパソコンのカルテを見ながら症状について話を聞く医師と患者さんに正対して視線を合わせたり、うなずきながら話を聞く医師とでは、どちらを信頼しやすいでしょうか。
多くの場合、後者のほうが信頼や安心につながります。
理学療法士の場合でも同様で、挨拶の際に頭だけ振り向いたり、カルテを記入しながら話を聞いたりといった行動は患者さんに負の感情を抱かせ、信頼関係の構築を妨げる可能性があります。

お互いの非言語的な情報を意識しコミュニケーションを円滑にしよう

今回ご紹介した非言語的コミュニケーションと言語的コミュニケーションを上手に組み合わせ、患者さんとの信頼関係を構築すれば外来での治療を円滑に実施する助けになります。
また、自分だけでなく患者さんから発せられる非言語的な情報に敏感になることで、自分のコミュニケーションがどのように捉えられているかを把握することができます。
理学療法の知識、技術だけでなくコミュニケーションスキルも磨いて、外来で楽しく働いていきましょう。

  • 執筆者

    蔵重雄基

  • 整形外科クリニックや介護保険施設、訪問リハビリなどで理学療法士として従事してきました。
    現在は地域包括ケアシステムを実践している法人で施設内のリハビリだけでなく、介護予防事業など地域活動にも積極的に参加しています。
    医療と介護の垣根を超えて、誰にでもわかりやすい記事をお届けできればと思います。

    保有資格:理学療法士、介護支援専門員、3学会合同呼吸療法認定士、認知症ケア専門士、介護福祉経営士2級

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