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パーキンソン病のリハビリはどう進めるべき?ガイドラインから学ぶ8つの運動療法

パーキンソン病の患者さんに対する理学療法や作業療法、どのように進めていけば良いかお悩みの方も多いのではないでしょうか?今回は、ガイドラインをふまえた運動療法のポイントをはじめ、臨床家として知っておきたい注意点についてもお伝えします。

パーキンソン病のガイドラインから考える!効果的な運動療法とは?

パーキンソン病の患者さんのリハビリを進めるまえに、どのようなリハビリであれば効果が期待できるのか、経験則だけでなくガイドラインから確認しておきましょう。
日本理学療法協会が出している「理学療法ガイドライン(2011)」では、多くの文献情報に基づき、運動療法ごとに推奨グレードが提示されています。

項目 推奨グレード
理学療法全般(複合的運動) A
筋力増強運動 B
バランス運動 B
全身運動(aerobic exercise) B
トレッドミル歩行 A
ホームプログラム B
感覚刺激 B
太極拳、ダンス C1(太極拳)
B(ダンス)

ここに記載されている介入方法のうち、推奨グレードが高い運動療法は積極的に用いていくことを意識してみましょう。

パーキンソン病のリハビリで実践したい8つの運動療法

理学療法ガイドラインに記載されている8つの運動療法について、理学療法士や作業療法士が特に知っておきたいポイントをお伝えしていきます。

●理学療法全般(複合的運動)

リハビリでは単一の介入を行うのではなく、いくつかのアプローチを複合的に用いることで効果が高まるという考え方が浸透してきていますが、パーキンソン病についても同様です。
実際にパーキンソン病を対象とした調査では、バランス運動だけを行った群と、バランス運動と筋力増強運動を併用した群を比較すると、後者のほうが改善度が高かったと結論づけられています(Hirsch MA, 2003)。

●筋力増強運動

パーキンソン病の方が筋力を鍛えることによって、歩行速度・移動能力の改善などに効果が生じるケースもあります。
パーキンソン病の場合は姿勢反射障害などが生活動作の制限因子になることも多いですが、筋力低下が認められる場合には、筋力増強運動も必要なアプローチといえます。

●バランス運動

前後左右へのステップ練習のようなバランス運動を取り入れる際は、床・トレッドミル上・トランポリン上など、患者さんの状態に応じて環境を調整します。
パーキンソン病の方では立ち直り反応が障害され、姿勢が不安定となる場合もあるため、リハビリ時の転倒リスクには配慮が必要です。

●全身運動(aerobic exercise)

パーキンソン病の方のリハビリでは、有酸素運動を中心とした全身運動を行うことで、歩幅や歩行速度、運動開始時間の改善などに効果があると示唆されています。
背もたれ式の自転車エルゴメーターやトレッドミルなどを使い分け、状態に応じて使用する機器や環境は調整します。

●トレッドミル歩行

パーキンソン病の方がトレッドミル歩行でリハビリを行うと、歩行速度や歩幅、転倒恐怖感、すくみ足などに効果が期待できます。
トレッドミルを使わない歩行と比較して脱落者が生じにくく、モチベーションを維持しやすいというメリットもあります。

●ホームプログラム

リハビリで患者さんと関わる時間は限られているので、パーキンソン病の方には積極的にホームプログラムも提供していきましょう。
一人で、あるいはご家族の力を借りて安全に実施できる内容であることを前提に進め、随時進捗状況や定着の度合いを確認してください。

●感覚刺激(視覚・聴覚刺激など)

普段の生活のなかで、手拍子やメトロノームの音によってすくみ足が解消されることも多いですが、リハビリのプログラムでも視覚や聴覚の刺激を活用していきます。
どんな刺激が効果的な手掛かりになるかは患者さんによって異なりますが、リズムに合わせて運動するプログラムの有効性はさまざまな文献で示されているので、パーキンソン病のリハビリに取り入れてみましょう。

●太極拳、ダンス

太極拳やダンスをさまざまな分野のリハビリに応用する試みは国内外で実践されており、パーキンソン病を対象とした文献も存在します。
これらの介入によって6分間歩行距離やバランス機能指標が改善するという興味深い報告もあり、ガイドラインでも触れられています。

文献では歩行距離や速度、バランス機能評価などが効果判定の指標になっていることが多いですが、実際のリハビリ前後にも必ず評価をして変化を追っていきましょう

パーキンソン病のリハビリにおける注意点・禁忌事項

パーキンソン病のリハビリでは、安静時振戦、固縮、無動、姿勢反射障害といった4大徴候をはじめとする疾患特有の状態像を十分に理解しておくことが不可欠です。
自律神経症状による血圧変動(起立性低血圧を含む)、薬物療法の副作用としてせん妄や幻覚が生じる方もおり、さらにon-off現象や日内変動の存在など、注意しておくべきポイントは多岐に渡ります。
パーキンソン病のリハビリでは特別な禁忌事項が共通して存在するというよりも、総合的に状態像を捉えて、リスク管理をしながら介入することが非常に重要となります。
リハビリ室の様子だけでは見えてこない部分もあるため、カルテや他職種から情報収集したり、ご本人やご家族からお話を伺ったりと、状態像の把握に努めることもセラピストの役目です。

いま一度見直したい!ガイドラインの遵守でリハビリの質を担保しよう

今回はパーキンソン病の方のリハビリで使える運動療法に焦点を当ててお伝えしました。
実際のリハビリでは、作業療法士による日常生活動作訓練、言語聴覚士による構音や発声の訓練など、必要に応じて他職種と連携しながら治療を進めていくことになります。
どのタイプのリハビリでも基本に忠実に、いま一度ガイドラインの遵守を意識しながら介入に当たっていきましょう。

参考:
パーキンソン病 理学療法診療ガイドライン(2018年6月15日引用)
Hirsch MA, Toole T, Maitland CG, et al.: The effects of balance training and high-intensity resistance training on persons with idiopathic Parkinson’s disease. Arch Phys Med Rehabil 84: 1109-1117, 2003.

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