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心臓リハビリは外来継続が必須?外来運用における重要なポイントをご紹介します

心臓リハビリテーション(心臓リハビリ)の概念は少しずつ普及してきましたが、急性期における在院日数の短縮とともに、外来でのリハビリ継続が重要視されています。
外来リハビリではどんなメニューを実施するのか、運用を安定させるポイントなどについて心臓リハビリテーション指導士が解説します。

心臓リハビリ外来が担う3つの目的

入院中のリハビリでは、廃用症候群の予防や自宅退院が目標になりますが、外来での目的は大きく異なります。

●運動耐容能を向上させる

エルゴメーターやトレッドミルを用いた有酸素運動をはじめ、セラバンドやトレーニングマシンを使った筋力トレーニングが一般的です。
運動耐容能とは最高酸素摂取量とほぼ同義語であり、心肺運動負荷試験(CPX)によって求められます。
運動耐容能は、虚血性心疾患や心不全の予後と関係しているため、運動療法は心臓リハビリのなかでも中心的な役割を担っています。

●生活習慣の管理

外来では再発予防にむけての患者教育が重要であり、運動療法と同様に必須業務であるといえます。

◯血圧の管理

血圧の管理目標は140/90mmHg以下とされていますが、起床時や就寝前など時間帯によって血圧は変化するため、必ず朝・夕でチェックするように指導します。

◯塩分・水分摂取量の管理

高血圧の予防には摂取塩分6g以下が推奨されていますが、退院後の生活では調味料の増加などで容易に6gをオーバーします。
食事内容に不安を感じているのであれば、管理栄養士による栄養相談を提案してもよいです。
水分に関しては、摂取量が個々に設定されていますので、医師の指示を確認し、過剰に摂取していないか聞き取りを行います。

◯体重の増減

1週間で2kg以上の体重増加がある場合は、心不全が増悪している恐れがあるため、心臓リハビリ医に相談します。

●再入院を予防する

心不全の増悪は、不整脈や心筋梗塞など心機能に起因するものではなく、塩分の過剰摂取や薬の飲み忘れなど、患者さん自身に原因がある場合が多いのです。
定期的な診察は1〜2カ月に1回の頻度ですが、その間に体調を崩して入院する方もいます。
心臓リハビリ外来では、次の診察日まで患者さんの体調を把握し、生活習慣の改善や薬の調整などを行い、再入院を予防することも重要な目的になります。

心臓リハビリ外来に必要な職種とその役割は?

心臓リハビリは多職種が関わる包括的なリハビリですが、施設によって関わる職種や業務内容はさまざまです。

●心臓リハビリ外来に関わる主な職種は?

◯医師

チーム医療のリーダーであり、患者さんの診察や運動処方、投薬などの指示を行います。

◯看護師

バイタルチェックをはじめ、生活習慣改善についての相談・指導を担当します。

◯薬剤師

患者さんの状態に応じて医師に薬の調整を依頼したり、服薬状況の確認などを行います。

◯理学療法士・作業療法士

医師の処方にもとづいた運動療法の実施や、自宅での自主トレーニングを指導します。
また、集団での運動療法のみではなく、筋力トレーニングやADL練習なども実施します。

◯臨床検査技師

心電図モニターを監視して、運動中の不整脈の有無をチェックします。
また、医師の監視下において心肺運動負荷試験(CPX)を実施し、運動耐容能を評価します。

◯管理栄養士

食習慣について聞き取りを行い、必要に応じて減塩メニューの考案や栄養バランスのよい食事を提案します。

◯臨床心理士

カウンセリングを通じてのメンタルケアは、患者さんの生活の質(QOL)を向上するためにも有用です。

●リハビリ専門職や看護師は他の職種の業務も兼ねる?

前述した職種全てが関わることが理想ですが、マンパワーや時間の関係で困難な場合もあります。
また、心臓リハビリ外来を開始するにあたり、最低限必要な職種は定められていないため、医師と看護師(または理学療法士)のみで実施している施設もあります。
筆者の施設では、医師・理学療法士・検査技師の3職種で外来を運用していますが、理学療法士がCPXや心電図のモニタリング、また服薬状況のチェックを行うこともあります。
また、食事内容の相談が必要であれば医師に栄養指導の提案をしたり、多職種連携のための橋渡し役として業務にあたっています。
他の施設においても、医師・理学療法士・看護師が中心に業務を行う場合も多く、関係職種が少ないほど、リハビリ専門職や看護師の業務範囲は広くなります。

ここで差がつく!外来運用のポイントをご紹介します

ここでは、筆者が日頃感じている課題点も踏まえて、外来運用で注意したいポイントについてご紹介します。

●外来継続率アップのためには、入院早期からのアプローチを

退院後の外来継続率をアップすることは収益性の面からも重要な課題です。
そのためには、以下の点をおさえておくことをおすすめします。

  • リハビリ開始時(計画書説明時)に外来継続の必要性を伝えておく
  • 医師からも外来リハビリの必要性を指導する
  • 具体的な運動メニューや期間を伝えておく

筆者の施設では、急性心筋梗塞で入院された方の場合、リハビリ介入時に理学療法士が、退院前に主治医が外来リハビリについて説明をしています。

●収益性だけではなく、適正人数をしっかり考える

外来リハビリは集団療法で算定することが可能であるため、セラピスト1人あたり5人程度を適正患者数としている施設も多いでしょう。
しかし、設置機器の台数や安全性を考慮すると、セラピスト1人あたり3人程度にしておくことが望ましいです。
患者さんが急変した場合や、ご家族から相談があった場合などは、そのあいだ現場が手薄になります。
まずは一人ひとりの患者さんにしっかりと対応できるような運用方法を検討するべきでしょう。

●安全な運動環境を設定する

運動時における急変リスクを考慮して、環境面にも配慮しておく必要があります。
筆者の施設において、注意している点を以下にご紹介します。

  • 運動機器から休むスペース(ベッド)までの動線を確保する
  • AEDや救急カートなど、急変時に必要な備品の定期点検をする
  • スタッフ間で患者さんの体調を共有するファイルを作成する
  • 心電図モニターは、確認しやすいように運動機器のあるほうに画面を向ける

施設によって工夫すべき点はさまざまですので、まずはスタッフ間で安全な運動環境を検討することから始めてみましょう。

安全・安心の外来運用が大切

外来での心臓リハビリは、運動療法や患者教育をはじめ、再入院の予防など目的は多岐にわたります。
しかし、いたずらに患者数を増やすと安全管理が不十分となり、またサービスの質を低下させることにもなります。
まずは配置できる職種や各々の役割について話し合い、安全で質の高いサービスが提供できる運用方法を考えていくことが大切です。

関連記事:
心臓リハビリという言葉を聞いたことがありますか?

参考:
後藤葉一:わが国における心臓リハビリテーションの現状と将来展望,冠疾患誌,21号,58-66,2015.(2018年7月21日)
神谷健太郎:慢性心不全に対する運動療法の最前線,理学療法学,43巻4号,342-348,2016.(2018年7月21日)

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