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パーキンソン病にトレッドミル歩行は効果あり!その理由を科学的根拠に基づき解説します

パーキンソン病の方に対する運動療法として用いられることも多い、トレッドミル歩行。
トレッドミルとは、動くベルトの上で歩行できる機器のことであり、ルームランナー・ランニングマシンなどをイメージするとわかりやすいです。
今回は、トレッドミル歩行の効果を研究報告に基づきご紹介していきます。

パーキンソン病のリハビリには、トレッドミル歩行を活用!

パーキンソン病の方では、ヤールの分類でⅢ以降の段階になると姿勢反射障害やすくみ足が生じます
これらの症状を改善するためにさまざまな運動療法が行われますが、経験則だけではなく、ガイドラインを参照しながらリハビリを進めていくことが大切です。
理学療法診療ガイドラインでは、パーキンソン病に対する運動療法として、筋力増強運動、バランス運動、有酸素運動などが挙げられています。
特に「トレッドミル歩行」は推奨グレードが「A」、エビデンスレベルが「1」となっており、推奨度が高いアプローチです。
患者さんのニーズに応じてプログラムを構成することが第一ではありますが、選択するリハビリメニューとしての優先度は高くなります
トレッドミル歩行を含む各運動療法の推奨グレードや実施のポイントについてはこちらの記事(パーキンソン病のリハビリはどう進めるべき?ガイドラインから学ぶ8つの運動療法)で解説しています。

パーキンソン病に対する研究報告からわかるトレッドミルの効果

リハビリにおいてトレッドミル歩行を推奨できるのは、相応の科学的根拠があるためです。
研究報告からどのような知見が得られているのか、パーキンソン病におけるトレッドミルの効果をみていきましょう。

●Herman T(2009)の報告:トレッドミル歩行には即時効果・長期効果がある

パーキンソン病を対象にトレッドミルの効果を調べた14の研究のシステマティックレビューを行った報告です。
システマティックレビューとは、網羅的に研究をレビュー・分析していく方法のことです。
レビューで用いた3つの研究では、トレッドミルを用いた歩行訓練には即時効果があり、1回のセッションで歩行速度、歩幅が増加するとしています。
また、11回のセッションを経た長期的な効果に関しては歩行速度、重症度の評価スケールであるUPDRSの運動項目などに効果があったと報告しています。
さらに、持ち越し効果が4週間から5カ月であったと示されている点は興味深いです。
エビデンスを高めるためにはランダム化比較試験が必要という見解も示しているものの、複数の報告から同様の効果が示されています

●Frazzitta G(2009)の報告:視覚・聴覚刺激+トレッドミルの併用が効果的

この研究では、40名のパーキンソン病患者を次の2群に分けて介入効果を検証しています。

グループ1 視覚+聴覚の手掛かりがあるトレッドミル歩行訓練
グループ2 視覚+聴覚の手掛かりがあるリハビリ
(※トレッドミル歩行は実施しない)

結果、両群ともにUPDRSの運動項目、すくみ足、歩行速度、6分間歩行距離などの指標で改善がみられましたが、介入効果はグループ1>グループ2となっています。
特に6分間歩行距離については、グループ2では57mの増加であったのに対し、グループ1では130mも距離が伸びています。
トレッドミル歩行以外に視聴覚刺激という要因が加わっていますが、少なくともそれらの手掛かりとトレッドミル歩行を併用した場合には運動機能がより改善するといえます。

●Miyai I(2000)の報告:20%免荷のトレッドミル歩行がUPDRS・歩行を改善

体重の20%を免荷する条件でトレッドミル歩行を実施する時期(介入期)と、理学療法を行う時期(対照期)に分け、4週間の介入による効果を検証している研究です。
理学療法では、関節可動域訓練・歩行訓練・日常生活動作訓練を実施しています。
この結果、介入期にはUPDRS、歩行能力が改善し、従来の理学療法よりも効果的だと示されました。
日本の理学療法ガイドラインにおいては、理学療法全般も推奨グレードAとされていますが、研究でこのようなデータが得られたという事実は興味深いです。

これらの研究では、実施条件は少しずつ異なるものの、トレッドミル歩行という要素が加わることによって運動機能や歩行能力の改善度合いが大きかったことを示しています。
多くの研究報告から裏付けがとれた介入方法であるため、ガイドラインでも推奨されているのです。

トレッドミルを使った歩行訓練におすすめの製品2選

トレッドミルをリハビリ室に導入したい、追加したいという方もいることでしょう。
おすすめの製品を2つピックアップしたので、仕様を比較してみてください。

●ラボードNEXT

ラボードNEXTは、標準モデル・ロング手すりモデルの2種があり、それぞれ100V電源、200V電源のタイプが用意されています。
このトレッドミルのメリットは、前手すりのグリップセンサーや、イヤーセンサー式脈拍計によって脈拍をリアルタイムに検出できることなどが挙げられます。
見やすい液晶タッチパネルで速度や時間などの情報が容易に視認できることや、クッション性を備えた歩行面によって着地時の衝撃が14%軽減されることも魅力です。
さらに、センサーによって歩行者の位置がずれた場合には警告音が鳴り、一定時間内に戻らなければ自動的に停止する仕組みもあります。

●ラボードLXS

省スペース設計のトレッドミルで、ラボードNEXTよりも価格がリーズナブルです。
歩行中の時間、距離などの表示ができる点、自動停止装置がついている点はラボードNEXTと共通しています。
また、グリップの高さや歩行面の床からの高さが低いので、高齢者の安全な使用を想定して設計されていることが特徴です。

トレッドミルは、パーキンソン病の方はもちろんのこと、ほかの疾患の方のリハビリにも活用できる機器なので、上手に活用してみてはいかがでしょうか?

転倒リスクに配慮しながらトレーニングを

パーキンソン病では、症状の進行とともに歩行障害が強まっていきますが、運動療法によって予防・改善できる部分もあります。
特にトレッドミル歩行については、国内外の多くの研究報告で効果検証が行われています
転倒リスクには十分配慮しながら、トレッドミル歩行を積極的に取り入れていきましょう。

参考:
パーキンソン病 理学療法診療ガイドライン(2018年7月20日引用)
Herman T, Giladi N, Hausdorff JM: Treadmill training for the treatment of gait disturbances in people with Parkinson’s disease: a mini-review. J Neural Transm116: 307-318, 2009.(2018年7月20日引用)
Frazzitta G, Maestri R, Uccellini D, et al.: Rehabilitation treatment of gait in
patients with Parkinson’s disease with freezing: a comparison between two physical therapy protocols using visual and auditory cues with or without treadmill training. Mov Disord24: 1139-1143, 2009.
(2018年7月20日引用)
Miyai I, Fujimoto Y, Ueda Y, et al.: Treadmill training with body weight support: its effect on Parkinson’s disease. Arch Phys Med Rehabil81: 849-852, 2000.(2018年7月20日引用)
セノー株式会社 ラボードNEXT(2018年7月20日引用)
セノー株式会社 ラボードLXS(2018年7月20日引用)

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