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リハビリ専門職が臨床研究を始める前におさえておきたい8つの研究プロセス!(後編)

本シリーズの前編では、研究プロセスを8項目に分類し、疑問をかたちにするところから、研究デザインを作成する作業までをご紹介しました。
第2弾となる本記事では、研究計画書の作成から学会発表までのプロセスについてご紹介します。

研究には倫理委員会の承認が必須!研究計画書を作成しよう

デザインが完成したあとは、第三者によってその研究の正当性を判断してもらう必要があります。
ここでは、倫理委員会における検討項目や研究計画書の書き方について解説します。

●倫理委員会は研究の正当性を判断する機関

臨床研究の倫理観については、1964年に世界医師会が採択したヘルシンキ宣言が有名であり、主に以下の内容が記載されています。

  • ◯臨床研究において患者の安全や利益を第一に考えること
  • ◯自由意思による同意が必要であること
  • ◯患者のプライバシーに配慮すること
  • ◯倫理審査会による審議・承認が必要であること
  • ◯計画書には倫理的配慮を具体的に記載すること

倫理委員会では、上記のような倫理性に問題がないか、また結果がもたらす恩恵などについて検討し、倫理的に問題がない場合に研究が承認されます。

●対象者への直接介入がなくても倫理審査は必要?

「データ収集だから患者さんに危害が及ばない」という理由であっても、倫理委員会の承認は必要です。
リハビリ専門職の関連学会においても、抄録作成の際に倫理的配慮について記載が求められることが多くなっています。
極論すれば、一人で黙って研究を始めることは可能ですが、その成果を公表できなければただの自己満足で終わってしまいます。
関連因子の検討やアンケート調査においても、対象者に同意を得ること、研究の正当性について倫理委員会に承認を得ることは必須です。

●研究計画書はA4一枚程度で簡潔にまとめる

研究計画書とは、事前に作成した研究デザインについて詳細に記載した書面です。
研究の背景(目的)や倫理的配慮などを記載する必要があり、学会における抄録と同じようなものといえるでしょう。
研究計画書に記載する項目の代表例を以下に挙げてみます。

  • ◯主任・共同研究者
  • ◯研究の目的
  • ◯対象と方法
  • ◯倫理的配慮
  • ◯調査期間
  • ◯調査によって得られるもの
  • ◯結果の公表について

計画書はあくまでも概要を説明するものですので、おおよそA4用紙一枚程度で、箇条書きなどを用いて簡潔にまとめます。

データ収集と結果のまとめ作業で注意するポイント

調査期間中と結果のまとめ作業において注意するべきポイントについて解説します。

●進捗状況について定期的に確認をしよう!

データ収集期間で注意しておきたいことは、スタッフのモチベーション維持と入力ミスの防止です。
調査開始時には高かったモチベーションも、時間の経過とともに低下し、日常業務の忙しさに追われてデータ入力を忘れがちになります。
筆者の苦い経験として、主任研究者と共同研究者との間に熱量の差が出てきて、徐々に収集データに空欄が多くなったことがありました。
そのような状況を避けるためにも、研究チームで定期的に進捗状況の確認をして、途中経過をまとめたり、他の業務量との兼ね合いを確認したりするとよいでしょう。

●予期せぬ結果が出たらどうすればいい?

長かったデータ収集期間が終わり、研究結果のまとめ作業に入ると臨床研究も大詰めです。
ここで気をつけなければいけないことは、仮説と反対の結果が出た場合です。
自分が疑問に思ったことを証明したいという気持ちは、ややもすると結果を都合のいいように操作してしまいがちになります。
しかし、望んでいた結果が出なかった場合でも、ネガティブデータとして考察する意義はあります。
なぜそのような結果になったのか、その結果から考えられる対策がないかなど、ネガティブデータは今後必ず生かすことができます
無理に仮説に近づけるのではなく、ありのままを解釈して公表することが大切です。

●抄録を上手に作成するコツ!

研究成果を学会で発表する場合、まずは抄録を作成しなければいけません。
抄録は主に以下の項目で構成されており、文字数は400字〜1200字と学会によってさまざまです。

  • ◯目的(背景)
  • ◯対象・方法
  • ◯倫理的配慮
  • ◯結果
  • ◯考察

抄録を作成する際に、「背景」をどう書けばいいかと悩む方は、以下の三段論法を心掛けるとよいです。

  1. 1)わかっていること
  2. 2)わからないこと
  3. 3)明らかにしたいこと

この順序で研究の目的を表現すると、読み手側に研究者の意図が伝わりやすいです。
「結果」の項目については、データ全てを羅列するのではなく、研究の骨子である部分を簡単明瞭に記載するように心掛けましょう。

準備は万端?学会発表にむけて準備しておくこと

●発表予演会は必ず実施しよう!

学会発表に向けてスライドやポスターを作成したあとは、必ずスタッフ間で予演会をして以下のポイントをチェックしましょう。

  • ◯発表時間は制限内におさまっているか
  • ◯パソコンの動作不良や文字化けがないか
  • ◯重要なポイントをしっかり説明できたか
  • ◯聴者からの質問に対する答えを用意できているか

筆者の経験上、予演会を終えた際に「時間が足りない」と悩む方が多いです。
発表時間は各学会ごとに規定がありますが、スライド(口述)発表ならおおよそ7分、ポスター発表は5〜7分であることが多いです。
自分の気づきや他者のアドバイスを生かし、さらっと説明する部分と強調したい部分でメリハリをつけることが大切です。
「質問に対する答え」に関しては、スタッフから質問された内容や、曖昧な表現だと感じている部分に対して、自分なりの答えを用意しておくことをおすすめします。

●発表当日、受付時間には注意しておこう!

発表当日、会場入りしたあとに忘れてはいけないのが演者登録の作業です。
学会抄録集やプログラム集などの「演者のかたへ」という項目に受付時間が記載されています。
スライドでの発表であれば、会場にあるパソコンにデータをコピーして動作確認をする必要があります。
ポスター発表の場合は、設置時間が決められているため、その指定の時間内に自分のスペースに貼る必要があります。
自分の発表前に受付をするとは限らないので、演者の注意点についてはしっかりチェックしておきましょう。
うっかりしていると、最悪の場合は発表できないこともあるので気をつけてください。

さあ、明日からあなたも研究者

臨床研究は、臨床現場で働くセラピストの特権であり、医学の発展には基礎研究と臨床研究の両方が重要です。
効果的なリハビリを提供したい、自分の疑問を解決したい、その探究心をもっている時点ですでに臨床研究の入り口に立っています。
研究発表までは長い道のりになりますが、その達成感はきっとあなたを成長させてくれるでしょう。

関連記事:
リハビリ分野で役立つ文献抄読のまとめ方は?研究・臨床で役立つ基本知識を解説

参考:
福原俊一:臨床研究の道標〜7つのステップで学ぶ研究デザイン〜.認定NPO法人 健康医療評価研究機構,京都,2014.

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