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チーム制のメリット・デメリット。急性期リハビリでの実際と効果

リハビリ適応の患者さんを各科のセラピストが個別担当する担当制を用いている施設と、チームで患者担当をするチーム制を用いている施設があります。
それぞれのメリットやデメリット、急性期リハビリチーム担当制について筆者の経験をお話します。

担当制とチーム制のメリット・デメリット

リハビリを受けられる患者さん1名に対して担当するセラピストの人数の違いによって担当制、チーム制に分かれます。
個別に担当する場合を担当制、複数名のセラピストで担当することをチーム制といいます。
それぞれのメリット・デメリットには一体どんなものがあるのでしょうか。

●担当制とチーム制

担当制とは:1人の患者さんに対して理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)が各1名ずつ個別に担当し、患者さんのリハビリを行うもの。
チーム制とは:1人の患者さんに対してPT・OT・STがチームを作り、患者さんを担当してリハビリを行うもの。

病院などの施設の場合、病棟のほかのスタッフとのコミュニケーションや情報共有のために、チームを病棟担当とするチーム制としているところも多いようです。

●それぞれのメリットとデメリット

担当制とチーム制共にメリット・デメリットがあります。
実際に考えられるものをご紹介します。

メリット デメリット
担当制 ・患者との信頼関係の構築
・訓練効果を実感しやすい
・仕事属人化のためのトラブル
・セラピストの能力により効果が異なる
チーム制 ・情報共有化の改善
・業務の効率化
・新人教育などにも有益
・在院日数短縮、部門収益向上の可能性
・担当患者の偏り
・チームスタッフ外との情報交換不足

担当制のメリット

患者とセラピスト間の信頼関係の構築などの心理的効果、また双方に効果が実感できることで、共通のモチベーション向上が期待できます。

担当制のデメリット

ワーク・ライフバランスコンサルタントである村上氏も、特定の人に業務が偏る仕事属人化により、担当者不在になると業務が滞る又は損失が発生することがある、としています。
セラピストの場合、この損失は患者さんに損失をもたらすことになってしまいますので避けたいものです。

チーム制のメリット

杜若の報告にもある、情報、業務、教育におけるセラピストと他職種からの評価、橋口らの報告による在院日数の短縮にも効果が見られます。

チーム制のデメリット

杜若によると主にセラピスト側へのデメリットである、症例の偏りやセラピスト間の情報交換不足などが主なものです。

チーム担当制は病院やリハ部門の収益向上の可能性、人材育成にも効果的

前項では担当制、チーム制のそれぞれについて考えられるメリット・デメリットをご紹介しましたが、実際のリハビリの現場ではどうなのかについて検証してみましょう。

●病院経営に対する影響はあるのか

堤の報告では、365日体制の急性期リハビリチーム制の導入により、以下の効果が見られます。

  • ◯患者一人当たりのリハビリ時間が減少するが、ADL指標による評価には変化なし
  • ◯セラピスト一人当たりの単位制級数は減少
  • リハビリ部門の減収は見られない

在院日数の短縮は回復期の転院などの諸問題により、実現できませんでしたが、上記のように病院のリハビリ部門の運営システムは改善できたようです。
チーム制の導入により、リハビリの生産性を向上させることで、在院日数の短縮とセラピスト一人当たりの保険点数が上がり部門の増収も期待できます。

●新人や若手の教育にはどう寄与するのか

365日体制のリハビリや急性期・回復期リハビリの需要増加により、人材育成も大きな課題となっています。
若手中堅セラピストの人材育成の資料や杜若も言っているように、チーム制を取り入れることにより以下のことが効果として挙げられます。

  • ◯チーム制は質の安定したリハビリを提供できる
  • ◯チーム制を取り入れた新人教育
  • ◯スキル向上による一人当たりの保険点数請求増

チーム制はこれらの課題をクリアすることで、質の高い人材育成を可能にし、セラピストの経験年数に関係なく安定したリハビリを提供できます。

チーム担当制は急性期リハビリにおいても有用。導入における必要事項と実例

回復期リハ病棟、訪問リハビリではチーム制導入の報告も見られます。では急性期リハビリに導入する際は、どんな対策が必要でしょう。
チーム制で実務経験のある筆者の体験も交えて解説します。

●急性期リハチーム担当制のためにはマニュアルの完備と見直し、的確な患者情報の共有

特にICUにおける集中管理の必要な現場では、離床に向けたリハビリによって血行動態などの変化も見られるため、全身状態又はバイタルサインの著変が見られます。
急性期リハにおけるチーム制の導入には、以下のことが重要です。

  • ○リスク管理に対するマニュアルを作成
  • ○マニュアルの定期的な見直し
  • ○評価項目の統一(コンセンサスの運動開始基準などを参考に)
  • ○安静度の確認

これらを活用することで、事故の予防、セラピスト間の情報交換、質の良いリハビリの提供が可能となります。

●急性期リハビリチーム担当制での実際。患者さんに損失を与えないリハビリ

ICUなどでケアを受けている患者さんは、血圧や脈拍、呼吸状態などが不安定な方が多いです。
運動を開始していいのか、安静度の判断が困難な場合もあるために経験の浅いセラピストは消極的な訓練になりがちです。
しかし、筆者が経験したICU や急性期リハビリにおけるチーム制の導入では、

  • ○経験値の高いセラピストに指導を仰げる
  • ○経験に関係なく質の安定したリハビリが提供可能
  • ○突然の欠勤などでも訓練代行が可能で患者に損失を与えない

などのメリットが得られ、経験の浅いセラピストにとっては知識・技術面での向上、また仕事属人化を避けられるため、休暇などのセラピストのQOLの向上も図ることができます。

チーム制は優れた患者担当システムの一つ

急姓期リハビリにおけるチーム制の導入は、在院日数の短縮や増収、新人や若手の教育などに効果が期待されます。
また、患者さんへの質の高いリハビリの提供、セラピストのQOLの向上が可能となることから、チーム担当制は患者・セラピストの双方に優れたシステムの一つといえます。

関連記事:
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参考:
杜若竜司:病棟担当制についての実態調査報告.第30回九州理学療法士・作業療法士合同学会 抄録集,2008.
橋口喬他:チーム制リハビリテーション体制が在院日数およびFIMに及ぼす影響の検討.第33回九州理学療法士・作業療法士合同学会 抄録集,2011.
sound design for office 効果的な働き方.(2018年9月11日引用)
若手・中堅セラピストの人材育成 〜回復期セラマネ1・2期生座談会〜 回復期リハビリテーション 2014.1 .(2018年9月11日引用)
堤偉史:当院における急性期病棟365リハビリテーション導入の効果の検証.理学療法学supplement,2009.
集中治療における早期リハビリテーション〜根拠に基づくエキスパートコンセンサス〜.日本集中治療医学会,26−31,2017.(2018年9月11日引用)

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