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クリニック・治療院 OGメディック

  • 奥村 高弘

    公開日: 2018年10月18日
  • リハビリ病院の悩み

リハビリ職の確保にお悩みのかた必見!ビジネスモデルキャンバスの活用方法について解説します

2018年は約16000人のリハビリ専門職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)が誕生し、セラピストの数は年々増えています。
新卒者の就職難が問題となる一方で、施設側も離職率の増加に頭を悩ませることがあるでしょう。
優秀な人材を獲得するために、なぜビジネスモデルキャンバスが有効なのかについて解説します。

ビジネスモデルキャンパス

リハビリ業界でビジネスモデルが必要な理由とは?

リハビリ職にとって、ビジネスモデルというワードは聞きなれないものかもしれません。
ここでは、ビジネスモデルを作成する目的について解説します。

●ビジネルモデルとは

ビジネスモデルとは

一般的にビジネスモデルとは、収益を高めるための戦略を指し、企業にとってほかの競合社と差別化を図るために重要なものです。
また、新規事業構想を練る際にも、自社の資源や販売ルートを考えるために必要です。
ビジネスモデルを作成する際は、ローザンヌ大学のイヴ・ピニュール教授が考案されたビジネスモデルキャンバスを用いることが多く、このモデルは以下のセグメントにわかれています。

  • ◯キーパートナー(KP)
  • ◯主要活動(KA)
  • ◯キーリソース(KR)
  • ◯価値提案(VP)
  • ◯顧客との関係(CR)
  • ◯チャネル(C)
  • ◯顧客(CS)
  • ◯コスト構造(CS)
  • ◯収益の流れ(RS)

●リハビリ業界におけるビジネスモデルキャンバスの必要性

リハビリ業界において、ビジネスモデルキャンバスが重要な理由は以下のとおりです。

◯介護保険事業では差別化が重要

デイサービスや訪問看護ステーションなど介護サービス事業所では利用者さんの確保が第一の課題となります。
個別機能訓練や夜間対応の有無だけでほかと差別化を図ることは難しく、収益性をあげるために自社のビジネルモデルキャンバスを作成することが重要です。
最新機器や専門分野に特化したスタッフなど(KR)が強みなのか、中心となるサービス以外に付随するサービスがあるか(KA)などを考える必要があります。

◯職場の魅力を具体的に伝える

優秀な人材を確保するためにも、ビジネスモデルキャンバスは有用です。
急性期病院の求人案内で、「当院では急性期の医療が学べます」、「教育体制がしっかりしています」など抽象的なうたい文句に魅力を感じるでしょうか?
行動理念(KA・VP)や現場スタッフの能力(KR)を明確にすることで、組織の魅力をさらに伝えることができます。
臨床以外の取り組みや院外での活動、自分たちがなにを目指しているのか、どのような人材を育成・輩出したいのかを具体的に提示することが重要です。

人材育成とは若手の可能性を見いだすこと

ここでは、ビジネスモデルキャンバスの作成と人材育成の関係性について考えてみます。

●新人カリキュラム=人材育成ではない

新人教育における最初の目標は、治療や書類作成などの業務を一人でこなせるようになることです。
しかし、ある程度業務ができるようになったあと、次の目標を提示できているでしょうか?
決められたカリキュラムを終えた時点で終わりではなく、そのスタッフが今後どのような分野に進むとよいのか、次のステップについて指導することが重要です。
自分たちしかできないこと、ほかの病院や介護施設とくらべて有利である環境を理解し、人材育成に臨むことが大切です。
優秀な人材を獲得・育成するためには組織の魅力を外部に伝えることが必要であり、そのために組織のビジネスモデル(特にKP・KA・KR)を構築しておくべきです。

●どう育てたいかを明確にする

人材育成の目標として、以下に3パターンの働き方をご紹介します。

◯特定の分野でスペシャリストになる

特定分野の治療において第一人者となる、論文を書いて研究者として大成するなどが代表例です。
しかし、この分野は競合相手の多いレッドオーシャンであり、また指導するスタッフの能力や施設の特徴などの環境面に影響されます。

◯地域などで広く活躍できるジェネラリストになる

医療・介護間での連携や地域事業など、リハビリ専門職の求められるフィールドは拡大しています。
介護予防事業への介入や、障がい者の就労支援事業への関わりなど、臨床以外の業務を幅広く行うことが挙げられます。
連携をするパートナーや対象者への介入方法が重要になるため、施設側はあらかじめ地域でのつながりをもっておくことが必要です。

◯市場を新規開拓できるパイオニアになる

自費の治療院や介護事業所をはじめ、専門職としての知識・技術を生かして、ICTや建築などほかの分野で起業する道もあります。
スペシャリストとは異なり、こちらはいわばブルーオーシャンであるため、成功すればその業界での第一人者となるでしょう。
新規事業を計画している場合が該当しますが、優秀な人材が独立して去ってしまわないよう注意が必要です。

スタッフそれぞれのビジネスモデルキャンバスを作成してみよう

ここでは、ビジネスモデルを作成するに当たってのポイントを挙げてみます。

●役職に応じたモデルを作成する

管理職と一般職では、組織管理や治療技術など焦点が異なるため、経験や役職に応じてモデルを作成します。

◯管理職

管理者は労務環境や収益性をはじめ、事業の方向性を提示しなければなりません。
また、組織強化のキーマンである主任クラスのスタッフを育成していくことも重要です。

◯主任クラス

主任クラスのビジネスモデルキャンパス

自社の特徴をしっかりと理解し、人材育成において中心的役割を担うといってよいでしょう。
より専門的な指導を行うスタッフを育成したり、外部との連携を進めてパートナーを確立したりと、組織運営のカギを握ることになります。

◯一般職

一般職のビジネスモデルキャンパス

新規採用者や5年未満の若手スタッフの場合は、自分自身のビジネスモデルを作成してみるとよいでしょう。
自分が一人の専門職としてどうあるべきか、自分の提供するサービスにどのような価値があるのかなど、普段の業務を振り返る機会にもなります。
今後における自身の方向性や、組織における役割を考えることにもつながるでしょう。

●ビジネスモデルキャンバスは必ずスタッフ間で共有する

前述したように、管理職は組織の収益性や方向性について、中間管理職は人材育成や各部門の強みに重点を置いた内容になるでしょう。
それぞれが作成したモデルを伝え合うことによって、組織の目標を共有することができるため、組織の結束は固くなります。
また、さまざまな視点から自分たちを見直すことによって、自社ではどのような人材を育成できるか、ほかの病院や事業所とくらべて優れている点などが明確になります。

ビジネスモデルキャンバスは優秀な人材を獲得するためのスタートライン

リハビリ病院や介護事業所での若者離れが問題になるなかで、いかに優秀な人材を確保できるか、長く働き続けてくれるかは重要な課題です。
ルーティンワークの習得が人材育成のゴールではなく、今後の働きかたや将来像を明示してあげることが大切です。
そのためにはビジネスモデルキャンバスを作成し、自社の特徴や目標を社員が理解することがスタートラインになります。
社員の誰もが夢を語り、また若手に夢を与えられる環境になれば、自然と優秀な人材が集う職場になるでしょう。

  • 執筆者

    奥村 高弘

  • 皆さん、こんにちは。理学療法士の奥村と申します。
    急性期病院での経験(心臓リハビリテーション ICU専従セラピスト リハビリ・介護スタッフを対象とした研修会の主催等)を生かし、医療と介護の両方の視点から、わかりやすい記事をお届けできるように心がけています。
    高齢者問題について、一人ひとりが当事者意識を持って考えられる世の中になればいいなと思っています。
    保有資格:認定理学療法士(循環) 心臓リハビリテーション指導士 3学会合同呼吸療法認定士

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