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リハビリ病院の悩み

  • yukie

    公開日: 2018年12月20日

高齢者の電話やスマートフォンに関するIADLアプローチ〜リハビリで役立つ評価や介入のヒント〜

電話の使用は、リハビリにおける介入の優先順位が低くなってしまいがちなIADLです。
「食べること」は生きる上で欠かせないため、買い物や料理などのIADLにプライオリティを置いてアプローチする場合が多くなります。
しかし、いざというときに電話を使えないと困ってしまうので、今回は「電話」というIADLの評価や介入についてお伝えします。

高齢者の電話やスマートフォンに関するIADLアプローチ

「電話を使う」というIADL 日常生活における必要性とは?

「電話を使う」というIADL 日常生活における必要性とは?

電話に出る、電話をかけるといった作業は、果たして日常生活において重要なものなのでしょうか?
高齢者・シニアが電話を使えたほうが良い理由を2つのポイントに沿って考えていきます。

●「電話」は社会とのつながりの確保にも寄与

皆さんは誰と電話をすることが多いでしょうか?
家族、友人、職場の同僚と話をしたり、飲食店や美容室の予約をしたり、いろいろな用途で電話は活躍するものです。
どんなシチュエーションを思い浮かべてみても、多かれ少なかれ、電話によって「社会とのつながり」を持てることは事実です。
高齢者が心身の健康を維持するためには「社会参加」が重要ということがわかっていますが、電話は人とのつながりを保つのに寄与するツールの一つともいえます。

●電話は緊急時の連絡にも役立つ

近年は、携帯電話やスマートフォンを持つ高齢者・シニアも増えています。
地域で公衆電話をほとんど見かけなくなった現在では、困ったときにSOSを出せるツールという意味でも、外に持ち運びできる電話があると重宝します。
特に独居の高齢者や転倒リスクのある方では、なにかあったときにすぐ外部に連絡できるよう、首からストラップで携帯電話をさげておくこともリスク管理につながります。
携帯電話があったほうが安心と判断される場合は、リハビリのスタッフからご本人やご家族に提案すると、利用を検討されるケースもあります。

電話をかける・応答する!リハビリにおける基本的な評価方法

電話をかける・応答する!リハビリにおける基本的な評価方法

リハビリでも評価でよく使うIADL尺度では、「自分から電話をかける」「よく知っている番号に電話をかける」「電話に出るが自分からはかけない」「全く電話を使用しない」という4段階で採点をします。
この視点で採点することも一つの方法ですが、近年は携帯電話やスマートフォンを持つ高齢者も増えているため、評価のあり方も複雑になってきています。

●まずは電話の使用状況の確認から!

どのADL、IADLにも共通していますが、まずはその人にとっての電話の必要性、使用状況をチェックしてみてください。
家族の方にお話を聞くことで、「いざというときのために携帯電話かスマートフォンを持ってほしい」などのニーズが挙げられることもあります。
また、スマートフォンや携帯電話のメッセージ、メールを使う習慣があり、病気によって文字入力ができなくなった方では、「もう一度使えるようになりたい」という希望を持つ方もいます。
人によって電話というツールの位置づけは異なるため、個別のニーズを汲み取るようにしましょう。

●実際の動作を分析して課題を抽出

固定電話の場合は、家屋評価に行った際などに併せて実際の動作を評価することができますし、病院で使っていない電話があればそちらを模擬的に使うことも可能です。
どの範囲の人に電話をかけることができるのか、応答だけ可能なのか確認しましょう。
また、携帯電話やスマートフォンであれば、実際に患者さんが所有している端末を使い、どんな操作ができるのか、リハビリ場面で評価してみることも方法です。
スマートフォンの場合、機内モードに設定すると電波を発しない状態になるため、実際に電話をかける工程を一通り評価できます。
認知機能の面、上肢機能を含む身体機能面のそれぞれについて、なにが電話の操作を阻害しているのか分析していきましょう。
高齢の患者さんであれば認知機能の低下から手順がわからなくなってしまう方もいますし、脳卒中などの病気の方では巧緻性の低下によってうまく電話番号を押せない方もいます

リハビリにおける介入の参考に!環境調整のアイデア3つ

リハビリにおける介入の参考に!環境調整のアイデア3つ

リハビリの一環として電話の使用にかかわる介入をするときには、ボトムアップのアプローチとして、認知機能や身体機能の訓練をするという方法もあります。
基本的な訓練の効果は、ほかのADLやIADLにも汎化されていくものですが、それらにプラスして対応したい「環境調整」のアイデアを中心に解説します。

1.高齢者・シニアが使いやすい電話の導入

固定電話、携帯電話、スマートフォンは、いずれも高齢者・シニア向けのラインナップが増えており、多くの選択肢が存在します。
最近では多機能でおしゃれな固定電話も普及していますが、ボタンが大きくてシンプルな機能の電話も販売されています。
また、携帯電話やスマートフォンでも着信時や受信時に押すべきボタンが光る製品、緊急用の電話帳がすぐに開ける製品などがあり、ユーザビリティを高める工夫が凝らされています。
ご本人のニーズや家族の意向を踏まえて、高齢者・シニア向け電話の導入について検討することも、リハビリでできる環境調整の一つです。

2.電話操作の手順書を作成する

いざ電話を使うシチュエーションになると、どの順番で操作すべきか混乱してしまうこともあります。
筆者の祖母(90代)も急用で知人に電話をかけようとした際に、普段は着信履歴のみを参照して電話を使っているため、手順がわからなくなったことがありました。
そんなときは「1.中央のボタンを押す」「2.『電話帳』というボタンを押す」といったように、工程をわかりやすくまとめた手順書を作成しておくと便利です。
リハビリの中で患者さんとともに作成しても良いですし、手順書があれば操作できるという評価の結果をお伝えした上で、ご家族に提案してみることも可能です

3.スマートフォンでは音声入力を活用

いわゆるガラケーと呼ばれる折りたたみ式の携帯電話とくらべると、スマートフォンでは音声認識の技術が向上しました。
脳卒中やパーキンソン病などによって上肢の細かな動きが制限されていて、発語に問題がない方であれば、音声入力の活用も視野に入れてみましょう
iPhoneの音声アシスタント機能の「Siri」では、「◯◯さんに電話をかけて」と伝え、電話帳に登録している名前の読み仮名をもとに自動で電話をかけることも可能です。
Siriはホームボタンの長押しで起動できるため、上肢機能や手順の理解に課題のある方でも練習すると利用しやすい機能です
高齢者の方でも、スマートフォンの音声入力を活用して、インターネットでの情報収集ができるようになる方もいます。

患者さんのライフスタイルに応じたアプローチを

固定電話、携帯電話、スマートフォン、ひと言で電話といってもその形態はさまざまですが、連絡手段を持つことは大切です。
電話よりも優先度が高いと判断されるADLやIADLのアプローチも多いですが、患者さんのライフスタイルによっては、電話が使えたほうが良い場合もあります。
リハビリの視点の一つとして、電話に関するアプローチの知識を持っておいて損はありません

参考:
日本老年医学会 手段的日常生活動作(IADL)尺度.(2018年12月13日引用)

  • yukie

    公開日: 2018年12月20日

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