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リハビリ病院の悩み

  • syusei

    公開日: 2019年01月28日

リハビリのやる気を引き出すために PT・OT が気をつけたいポイント

リハビリを嫌がる患者さんの対応に困ったことは、誰もが経験したことがあるのではないでしょうか。
特に経験の浅いPT・OTはなかなかリハビリが進まず焦ることも少なくないでしょう。
そこで、リハビリのやる気を引き出し、効果的に治療を進めるポイントを紹介します。

リハビリのやる気を引き出すために PT・OT が気をつけたいポイント

失敗させない練習をしてやる気を引き出そう

失敗させない練習をしてやる気を引き出そう

リハビリのやる気を引き出すポイントは「成功体験」を繰り返して、失敗をさせない練習をすることです。
まずは失敗をさせないことで、なぜリハビリの意欲が高まるのかを解説します。

●「意欲」や「やる気」が出ないのは行動前後の刺激が影響

「意欲」や「やる気」を出して行動を起こすことは、3つの段階に分けられます。

  1. 1.行動をするきっかけになる理由がある(先行刺激:antecedent stimula)
  2. 2.行動をする(behavior)
  3. 3.行動をした結果によってまた行動したくなる(後続刺激:consequent stimula)

以上のように行動の前後には、行動を起こす(意欲ややる気を高める)ための刺激があるとする分析方法を、行動分析学におけるABC分析と呼びます。

●行動を引き起こすには適切な刺激が必要

ABC分析を参考にすると、行動を起こすような「やる気」、「意欲」を引き出すためには、行動の前に適切な先行刺激を与えるとともに、行動の後に、また行動をしたくなるような結果を導くことが必要です。
たとえば、「リハビリで立ち上がりをする」という行動を引き起こすための刺激について考えてみましょう。

<立ち上がり練習における失敗例>
立ち上がりをするという場合に、「体を前傾させて足に力を入れて立ちましょう」と指示します。
でも、どのくらい前傾させるのか、どのように足に力を入れるのかわからず、うまくできないことも少なくないでしょう。
そこで、PTが「もっと前傾させないできません」と口頭で指示を繰り返しても、曖昧な表現がうまく伝わらず失敗を繰り返してしまいます。
PTが曖昧な指示を繰り返すことや立ち上がりを失敗する体験は、患者さんがリハビリで立ち上がりをした結果(後続刺激)と考えられます。
そうすると、「何度やっても、どうせ立てない」、「こっちは一生懸命なのに、曖昧な指示ばかり…」など負の感情が生まれ、リハビリを嫌がるきっかけになります。

以上のように不適切な刺激を与えてしまうと、意欲の低下を引き起こしてしまいます。
そこで、「またリハビリがしたい」と思えるような成功体験を導くコツを紹介します。

成功体験を導き「やる気」を引き出す介入の方法のコツ

適切な先行刺激を与えて行動を引き出すために、介入方法のコツを紹介します。

●介入方法のバリエーションを知ろう

介入方法のバリエーションを知ろう

先に紹介した事例では、「口頭指示」を繰り返していましたが、実際のリハビリ現場でもPT・OTが熱心に動作のコツなどを口頭で説明している場面をよくみます。
しかし、口頭指示は高次脳機能障害や認知症で理解力が低下した患者さんはもちろん、病気で思うように体を動かしにくい患者さんにとっては、なかなか理解しにくい介入方法です。
以下にリハビリの場面で行う介入方法の例を挙げます。

介入の方法 具体的な内容
口頭指示 動作の手順などを口頭で説明する
文字での指示 文字で動作の手順などを示す
ハンドリング PT・OTが動作に必要な重心移動などを手伝う
視覚的な補助 テープや線を利用して動作の目印を示す
鏡の利用 鏡を見てもらいながら動作の範囲を確認してもらう
ブザー 適切な動作の範囲がくるとブザーを鳴らす

以上のように、さまざまな介入方法の工夫があります。
口頭指示にくらべて、文字での指示は理解をしやすかったり、何度も自分で確認できるため成功を導きやすい刺激となります。
また、PT・OTの適切なハンドリングは、正しい動作を体験するには、とても良い刺激になります。
口頭指示で失敗する場合は、文字で示すなどの工夫をして、失敗をしないようにすることで、「できる」という体験を促すことが意欲を引き出すコツです。

●さまざまな介入方法を生かすために課題を細かく分けよう

介入方法のバリエーションがわかれば、それを生かすためのプログラムを考える必要があります。
そのためには「課題を細かく分ける」ことが有効です。
たとえば、「寝返り」という動作をみても、以下のように細かく動作を分けることができます。

<片麻痺の寝返りの例>

  1. 1)非麻痺側で麻痺側の上肢をつかむ
  2. 2)非麻痺側の下肢を麻痺側の下肢の下にいれる
  3. 3)頸部を寝返る方向に回旋する
  4. 4)非麻痺側で麻痺側を寝返る方向へ引っ張る
  5. 5)非麻痺側の下肢で麻痺側の下肢をすくう
  6. 6)非麻痺側の方向へ寝返る

この中で、どの部分ができて、どの部分ができないかを細かく分析することが必要です。
そして、できない部分を、先程の介入方法を駆使しながら、失敗しないような方法で介入しましょう。

●成功を導き続ける段階的なプログラムを考えよう

できない部分を成功させる介入を続けていくとしても、自分でできるようになるためには、徐々にプログラムの難易度を変える必要があります。
そこで、一気に難易度を高めるのではなく、段階的に難易度を上げるプログラムを考えましょう。
以下に、「寝返りで下肢をうまく挙上できない」という患者さんを練習していく上での段階的なプログラム例を紹介します。

介入の難易度 介入方法の例


・下肢の下に寝返りが成功できる高さの台を置いて練習
・台の高さを◯cm下げて練習
・台をなくして練習

以上のように下肢の挙上を代償する環境を設定して、寝返りの成功体験を重ねながら、徐々に台を低くして自力で寝返りができるように段階的に難易度を上げることが効果的です。

ただほめるだけじゃない!意欲を引き出すフィードバック

ただほめるだけじゃない!意欲を引き出すフィードバック

リハビリをした結果をうまく伝えることが、リハビリをする意欲を引き出す刺激(強化刺激)になります。

●プラス面にしっかり注目してほめる

PT・OTはリハビリで「できない部分」に注目して注意や指示をしがちです。
しかし、あくまでフィードバックは「できる部分」にしっかり注目して、「ほめる」ことで強化刺激になり、またリハビリをしたいという気持ちを引き出せます。
できない部分は、わざわざ指摘するのではなく、できるような介入方法に工夫してほめられるような先行刺激を考えるようにしましょう。

●細かく分けた課題を点数化して具体的にフィードバック

介入の例として細かく課題を分ける方法を紹介しましたが、その課題を点数化することで、FIMなどのADL評価表とくらべて、より具体的なフィードバックができます。
その際、「ハンドリングによる介助は1点、口頭指示は2点、指示なしは3点」というように、介助量でも点数に差をつけると、点数の変化がでやすく、「改善した」という結果が現れやすくなります。

●ほめ方のバリエーションを持とう

点数化による具体的なフィードバックのほかにも、いろいろなほめ方のバリエーションがあります。
患者さんに合ったフィードバック方法を試してみましょう。

フィードバックの方法 具体的な内容
言葉で伝える 「上手です」など言葉でほめる
ジェスチャー 表情、拍手、うなずきなどジェスチャーでほめる
点数で示す 点数化して結果を示す
報酬を与える 好きなもの、賞状、休憩など報酬を与える

適切な刺激で意欲を高めてリハビリの効果を高めよう

リハビリを拒否する患者さんを前にすると、PT・OTとして無力感を感じてしまうことも少なくありません。
しかし、成功を繰り返す介入を行い、適切なフィードバックができれば、患者さんも少しずつリハビリが好きになってくれます。
PT・OTとして、「自分らしい生活」を取り戻してもらうために、リハビリのプロとして諦めずに適切な刺激を工夫していきましょう。

参考:
山本淳一:リハビリテーション「意欲」を高める応用行動分析ー理学療法での活用ー.理学療法学41(8):492-498,2014.

  • syusei

    公開日: 2019年01月28日

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